2012年12月31日月曜日

チャベス大統領の容体は微妙、と副大統領が発表


▼▼▼ベネズエラのニコラース・マドゥーロ副大統領兼外相は12月30日、ハバナからベネズエラ全国向けのラジオ・テレビ統一放送で、「医師団の報告によると、術後19日経ったウーゴ・チャベス大統領は、呼吸器系感染症により新たな問題が生じており、危険が無いわけではない医療過程にあるが、容体は依然微妙だ」と発表した。

▼マドゥーロはまた、「私は何度も医師団と話し合った。大統領に直接挨拶し、国内情勢を伝えた。大統領は幾つかの指示を出した」、「大統領自ら術後の問題点に触れた。大統領は強靭な肉体と精神で困難に立ち向かっている」と述べた。

▼副大統領は、「今後数時間ハバナに留まる」とも語った。

▼テレビ画面にはマドゥーロとともに、チャベスの娘ロサ=ビルヒニア、その夫で科学技術相のアレアサ、マドゥーロの妻で検事総長のシリア・フローレスも登場した。

2012年12月30日日曜日

月刊誌「世界」がメキシコ麻薬戦争ルポを掲載


★☆★月刊誌「世界」2013年2月号に、「政権交代だけでは解決できないメキシコ麻薬戦争」というルポルタージュが掲載される。文は工藤律子、写真は篠田有史。

★カルデロン前政権は6年間、メキシコ全土を<麻薬戦争>の戦域とし、治安が乱れに乱れ、国中が大混乱に陥った。2012年12月1日発足したペニャ政権は、12年ぶりに復権したPRI政権。PRIは、特に1980年代末から麻薬マフィアとの癒着が問題になっていた政党だ。

★新政権は、以前の手法で癒着し、取締の手を抜くことで<麻薬戦争>を鎮静化させる選択肢も持つ。北の隣人で、最大の麻薬消費国USAの当局が気にしているのは、その点だ。

★本ルポは、12年7月1日の大統領選挙の経緯と絡めて、深刻な麻薬問題を描く。日本では、ラ米の状況を伝える長物記事が極めて少ない。このルポは、現代メキシコの、ある断面を知るのに格好の記事だ。

【参考記事:月刊「LATINA」2012年8月号「ラ米乱反射・メキシコ大統領選挙」特集。】

チャベス暗殺狙ったフランス人を国外追放


▼▼▼ベネズエラ政府は12月29日、ウーゴ・チャベス大統領暗殺を狙い収監されていたフランス人諜報員フレデリック=ローラン・ブケーを同日、国外追放処分にした、と発表した。

▼ブケーがベネズエラに最初に入国したのは1996年だった。そのころチャベスは政治運動を始め、98年の大統領選挙で初当選した。

▼ブケーは、ドミニカ共和国人3人とともに09年5~6月逮捕された。ブケーは禁錮3年半の実刑の後、追放された。

▼ブケーら一味は、大量の高性能武器類を貯蔵していた。爆発物、起爆装置、各種銃弾2万発、ライフル銃、自動小銃、拳銃、無線機など。

▼ベネズエラ当局は、ブケーの背後関係は明らかにしていない。

2012年12月29日土曜日

チリ法廷がビクトル・ハラ殺害容疑者を手配


★☆★チリ法廷は12月28日、著名な歌手ビクトル・ハラを拷問し殺害した退役軍人8人の逮捕を命じた。ハラは、ピノチェー将軍率いる軍部による1973年9月11日のクーデター直後の16日、首都サンティアゴの国立競技場で殺された。

★手配されたのは主犯格のウーゴ・サンチェス元大佐、ペドロ・バリエントス元中尉ら。この両容疑者は米国に居住しており、国際刑事警察機構を通じて手配された。

★ハラは、バリエントスから頭部に1発撃ち込まれ即死状態になったが、直後に43発の銃弾を浴びせられた。遺体は、市内の墓地に近い荒れ地に放置された。

★これまでに逮捕されたのは、現場にいて、上官の命令によりハラの体に銃弾を撃ち込んだ元新兵1人だけ。この元新兵の証言が捜査を進展させた。

★ハラは、ラ米の「新しい音楽」の旗頭の一人だった。クーデターで崩壊したアジェンデ社会主義政権やチリ共産党に近かったことから軍部の恨みを買い、殺害された。41歳の誕生日まであと12日という日に殺された。

★国立競技場は民政移管後、「ビクトル・ハラ競技場」と改名された。墓地は、死の外れの一般墓地内の団地墓にある。ギターを手にした支持者たちの墓参りが今も絶えない。

2012年12月28日金曜日

2012年ラテンアメリカ重要ニュース


1、ベネズエラ:ウーゴ・チャベス大統領が癌再発で4度目の手術。後継者を指名。

2、メキシコ:大統領選挙がまたも不正と腐敗で混迷。PRI政権復活。

3、パラグアイ:国会クーデターでフェルナンド・ルーゴ大統領弾劾さる。

4、ニカラグア:国際司法裁判所裁定でコロンビアから広大な経済水域を獲得。

5、コロンビア:ハバナで政府とFARCが和平交渉開始。

6、キューバ:出入国管理法改正。

7、アルゼンチン:海軍練習帆船リベルターがガーナで抑留さる。

8、ウルグアイ:堕胎法成立。

9、エクアドール:在英大使館にジュリアン・アサンジ氏が亡命。

10、     パナマ:人民蜂起で、コロン自由貿易地域の土地払い下げ法廃棄さる。

11、     ドミニカ共和国:大統領選挙でダニーロ・メディーナが当選し就任。

12、     メルコスール:パラグアイ資格停止。その間にベネズエラが正式に加盟。

13、     ブラジル:ルーラ前大統領の側近たちが議員買収罪で長期禁錮刑に。

14、     ペルー:各地で開発による環境破壊めぐり住民が蜂起。

15、     ボリビア:鉱山労働者革命60周年盛り上がらず。

16、     グアテマラ:元極右軍部高官オットー・ペレス=モリーナが大統領就任。

17、     コスタ・リーカ:機密情報保護法施行。

18、     ハイチ:ミシェル・マルテリ大統領が世界外交展開。

19、     ホンジュラス:国会が最高裁判事4人を弾劾。

20、     チリ:市長選で故アジェンデ大統領の姪が僅差で敗北。

21、     エル・サルバドール:青少年暴力組織ロス・マラス対策。

22、     マヤ民族:第13バクトゥン終焉。

23、     プエルト・リーコ:住民投票で米国併合票が初めて1位になる。

2012年12月27日木曜日

安倍政権発足めぐる海外メディア論調

▼▼▼ラ・バングアルディア紙(バルセローナ):鷹派安倍と中道右翼自民党が政権に復帰した。安倍は、真珠湾を攻撃した東條内閣の閣僚(岸信介)の孫で、国家主義者の血を隠さない。自衛隊の自衛軍化や改憲を掲げており、尖閣で対立する中国および太平洋地域は懸念している。太平洋では中国が存在を強め、米国は存在を強化させつつある。安倍が活力と慎重さを兼備するのを期待したい▼▼▼NYT紙:安倍は、日本人高齢化、長年の経済低落傾向、自己主張を強めている中国の挑戦に直面する。だが近隣諸国との対立姿勢を和らげ、まずは経済回復に力を入れようとしている。景気が上向けば、来夏の参院選での勝機をつかむことになる。新外相は、普天間基地移転問題で軋轢が生じている対米関係の修復に取り組む。安倍が長年願ってきた改憲にどう取り組むのかは、いま一つ明らかでない。安倍ら保守勢力は、中国台頭に鑑み自力で対処する必要性を唱え、日米安保における日本側負担の増大を図りたい考えだ。こうした動きを中国は挑発と捉えるだろう▼▼▼朝鮮日報(韓国):社説「<独島突撃隊員>を入閣させて韓国に握手を求めるのか」ー安倍内閣の新藤総務相と稲田行政改革相は去年8月、独島(竹島)領有権を主張し金浦空港で韓国入国を拒否された。小野寺防衛相は一昨年、当時の菅首相が「日韓併合」100周年の機会に謝罪の談話を発表した際、激しく反発した。古屋国家公安委員長は今年5月訪米し、ニュージャージー州内にある「慰安婦の碑」の撤去を要求した。安倍政権は妄言・妄動を繰り返す政治家を意図的に選んで「復古オールスターチーム」を作り上げた。韓日間と東アジアに暗雲が立ち込め始めた▼▼▼AFP:自民党は圧勝したが棄権率は40%と高く、有権者は民主党を懲らしめたのだった。安倍は選挙戦中は右翼で柔軟性のない国家主義者として際立っていたが、政権に就いた今、優先政策は経済だ。安倍は日本の保守政権の伝統的政策である公共事業、紙幣増刷、金融緩和で景気を回復させようとしている。濫費家として知られる麻生副首相兼財務相は、デフレ対策を担う。安倍は、尖閣問題で対立しながらも往復貿易が去年3400億ドルだった中国なしに経済政策が成り立たないことを理解している。原発問題も抱えている▼▼▼EFE(西エフェ通信):安倍は、世界第3位の経済を活気づける課題をもって政権に復帰した。来年の参院選で勝てば、強大な権力を握ることになる▼▼▼PL(玖プレンサ・ラティーナ通信):安倍は、新しい原発の建設に意欲を示している▼▼▼ロイター:安倍は、対米関係強化を図る一方で、中国の挑戦に直面する▼▼▼新華社:安倍は選挙戦中、対中強腰と対米関係強化を公約した▼▼▼AP:安倍は過去に、国家主義的姿勢で近隣諸国を怒らせたことがある。その近隣諸国との領土紛争に煽られて、対米関係強化を図ろうとしている。鷹派安倍は、対中関係と原発問題で頭を悩ませることになりそうだ。安倍は、国際舞台では、経済・外交面で中国に後れを取っている日本の存在強化を望んでいる。中国は、尖閣問題で慎重に振る舞うよう既に警告している。

2012年12月25日火曜日

ベネズエラ副大統領が「チャベスと電話で話した」と発表

▼▼▼ベネズエラのエルネスト・ビジェガス通信情報相は12月24日、「ウーゴ・チャベス大統領は術後の絶対安静状態にあるが、わずかながら快方に向かっている」と述べた。▼▼▼チャベスから後継者に指名されているニコラース・マドゥーロ副大統領兼外相は同日夜、「大統領から直接電話があり、20分間話した。社会、経済、政治政策上の指示を受けた」と述べた。▼▼▼マドゥーロはまた、「大統領は気分がよさそうだった。歩行し、体操もしているとのことだった。全ベネズエラ人にフェリース・ナビダー(良いクリスマスを)の言葉を贈った」と語った。▼▼▼一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は22日から23日にかけて「チャベスを見舞うため」ハバナに滞在したが、同市でも帰国後の24日もチェベスに関し一切発言していない。チャべスに直接会ったか否かも不明。▼▼▼ボリビア政府広報役の通信相は、「チャベスは術後の回復過程にある、とモラレス大統領は語った」と述べている。▼▼▼ベネスエラ政府高官の発表と、ボリビア大統領の態度には隔たりがあり、チャべスの容体は同高官発表とは異なるのではないか、との見方が出ている。

2012年12月23日日曜日

サパティスタ民族解放軍(EZLN)が行進

★☆★メキシコのマヤ民族主体の政治・社会変革運動組織、サパティスタ民族解放軍(EZLN)が12月21日、チアパス州内を平和行進した。マヤ暦の第13バクトゥン終焉の日に合わせて行進した。★☆★20日のアクテアル虐殺15周年と来年元日のEZLN蜂起19周年にも因む。さらに12月1日、12年ぶりに復活した制度的革命党(PRI)政権を牽制する狙いがある。★☆★行進したのはオコシンゴ、サンクリストーバル・デ・ラスカサス、パレンケ、アルタミラーノ、ラスマルガリータスの5か所。参加者は最低1万2000人、最大4万人と伝えられる。全員がパサモンターニャス(目出し帽)をかぶり、丸腰だった。★☆★マルコス副司令官は直接行進には参加しなかった。だが久々に沈黙を破り、「この足音は世界が崩壊する音だ。我々の再出現の音だ」との短い声明を発表した。

2012年12月22日土曜日

『グアダラハーラを征服した日本人』を読む

   ☆★☆『グアダラハーラを征服した日本人』という本の訳本を読んだ。墨国グアダラハーラ大学教員のメルバ・ファルク=レジェスとエクトル・パラシオスの共著。現代企画室から2010年12月に出た。極めて興味深い内容だ。                                                                                                                             ★17世紀にメキシコ中西部のグアダラハーラ市で勢力を張った大阪出身の日本人移住者フアン・デ・パエスの生涯を、資料を駆使して検証する研究書だが、訳者も指摘するように、日本からメキシコへいつ、どのようにして渡航したかの追究が謎解きのように面白い。                                                                                                  ★来年2013年で、仙台藩主・伊達政宗の命を受けた支倉常長一行が宮城県月の浦を出航した1613年から丸400年経つ。だが著者は、フアンが支倉一行に加わって渡航した可能性は小さいと見る。                                                                        ★フィリピンのルソン島には1570年以降、日本人居住者が増え、1620年ごろには3000人に達していた。考えられる原因は、カトリック教徒への迫害で急増した脱国者と、大坂夏の陣で敗北した側の侍たちの脱国者がルソン島に逃れたこと。著者は、フアンがルソン島経由でメキシコに渡った可能性の方が高いと見る。                                                                                                                                 ★フアンは成功し有力者の地位に達し、信用されて管財人になった。古文書から、フアンが奴隷の売買にも携わったことが証明されている。                                                                                                               ★日本人絡みの「大航海時代」の歴史の一端を、本書は暴き出した。労作である。訳者は服部綾乃ほか。   

2012年12月21日金曜日

「LATINA」掲載:作家エドゥムンド・デスノエスは語る

☆★☆月刊「LATINA」2013年1月号(12月20日発売)の連載企画「ラ米乱反射第83回」は、小説『低開発の記憶』(1965年)の著者であるNY在住のキューバ人作家エドゥムンド・デスノエス氏(82)との電脳インタビュー特集。質問者は伊高浩昭。                                                                                                            ☆言論の自由、革命政権の過ち、チェ・ゲバラ、スペイン語国民の特質、政権の行方などについて極めて興味深い見解を示している。                                                                                                                    ☆伊高による書評は、キルメン・ウリーベ著『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』(白水社)。 

Jアサンジ氏が人権蹂躙100万件を暴くと表明

                                                                  ☆★☆「ウィキリークス」創設者ジュリアン・アサンジ氏は12月19日、在英エクアドール大使館に亡命を求めて駆け込んでから半年となった。エクアドール政府は8月、亡命を認めた。                                                                                    ★アサンジは20日、ロンドンの同大使館バルコニーに姿を現し、記者団に向けて声明を発表した。世界諸国政府による人権蹂躙を暴く情報100万点を近く暴露する、と述べた。                                                                                         ★また、「我々の情報開示は、他の手段では一般人が知ることのできない嘘を暴くためだ」、「言論と表現の自由のため2013年も電子情報を流し続ける」と表明した。                                                                                              ★亡命を認めたエクアドールのコレア政権には感謝の意を明らかにし、理解と連帯を示してきたラ米諸国にも謝意を表した。

映画「八月の鯨」を観る

                                                                                                                                       ★☆★米国映画「八月の鯨」(1987)を12月20日、東京・神田神保町の岩波ホールでの試写会で観た。リンゼイ・アンダーソン監督、91分。1988年11月、岩波ホールで公開された。31週間連続上映され、連日満員で、社会的に大きな反響があった。                                                                                                                        ★☆★老姉妹と年老いた男女の友人たちが繰り広げる、晩夏のある数日間の物語。老いと死、若き日の美しい思い出と直面する老醜、友情と打算が、鯨が泳ぎ来る美しい海に囲まれた米メイン州の島の老姉妹の住む別荘で展開される。                                                                                                                   ★☆★「老い」の問題がテーマだ。長生きすれば誰もが対決せざるを得ない大問題だ。生き続けたいと思う限り、きれい事では済まされない重大問題だ。                                                                                                      ★☆★岩波ホールは来年2月、創立45周年を迎える記念に、この名画を再上映する。2月16日(土)が初日だ。                                                                                                                                ★☆★何度も画面に出る海が美しい。その美しさも鯨の到来も、老姉妹の娘時代と変わらない。ただ人だけが老いていく。それが切ない。この映画では、海は永遠性を象徴している。                                                                                    ★☆★リリアン・ギッシュ、ベティー・デイヴィス、ヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリーjrの名優5人が演じている。                                                                                                                      ★☆★「老いの問題」は、多くの人々にとって今既に始まっている明日に続く大問題だ。そのことを考える機会を与えてくれる秀作だ。               

2012年12月19日水曜日

ベネズエラ大使公開講演会ご案内

   ☆★☆★☆駐日ベネズエラ大使講演会のお知らせ★☆★☆★ ▼立教大学ラテンアメリカ研究所主催 ▽日時 来年(2013年)1月19日(土)1500~1800 ▼場所 立教大学池袋キャンパス14号館3階D301教室 ▽公開講座(無料、予約不要) 当日、資料配布 通訳あり ★講師 セイコウ・イシカワ(石川成幸)大使、司会 伊高浩昭 ☆内容 大使講演、大使と伊高の対談、会場と大使との質疑応答 ★ウーゴ・チャベス大統領の新任期は1月10日に始まります。ハバナで癌の再手術を受け療養中の大統領がベネズエラ国内での10日の宣誓式に出席できない場合、憲法規定に基づき、新たな大統領選挙が2月以降実施されることになります。講演会は、宣誓式当日の結果を受けて行なわれます。チャベス政権が重大な危機に直面しているさなか、大使発言が注目されます。

2012年12月17日月曜日

日本総選挙結果めぐる海外論調

▼▼▼日本の総選挙結果について12月16日、キューバ通信社プレンサ・ラティーナ(PL)は、「安倍晋三は過去に、国家主義の立場から戦時中の日本軍慰安婦の存在に疑問を呈した」と論評した。 ▼スペイン通信社EFE(エフェ)は、 「日本政界の旧勢力が復活した。安倍は鷹派だ」と指摘した。また「安倍は対米関係重視派であり、首相就任後、まず訪米することになろう」と伝えた。 ▼バルセローナのラ・バングアルディア紙は東京特派員電で、「安倍は、戦争犯罪人で追放処分になったが首相に納まった岸信介の孫だ」として、岸・佐藤両家の政治家一族の系譜に触れた。 ▼マドリードのエル・パイース紙は北京支局発で、「投票日直前の北朝鮮のミサイル発射と中国機の尖閣領空侵犯が安倍を圧勝させた」と論評した。 ▼フランス通信AFPは、「安倍は福島原発事故のトラウマがあるにも拘わらず原発稼働推進派だ」と指摘した。「安倍は、尖閣諸島は日本領土だと中国に警告したが、同時に日中関係を停滞させたくはないと述べた」とも伝えた。 ▼AFPはまた、「新華社論評」の一部内容として、「今選挙の勝利者は、近隣諸国との関係を鎮静化させる実践的で長期的な外交政策を考えるべきだ」との主張を紹介した。 ▼英ロイター通信は、「安倍は、金利や通貨発行で大胆な政策を打ち出そうとしている」と報じた。さらに安倍を「対中強硬派」、「原発稼働推進派」とも指摘した。

2012年12月16日日曜日

国連法廷がアルゼンチン帆船の解放を命ず


☆★☆ハンブルクの国連海洋法裁判所(ITLOS)は12月15日、ガーナ政府に対し、抑留中のアルゼンチン海軍練習帆船リベルター号を22日までに解放するよう命じた。

★ガーナは、NYの法廷の判断を受け、寄港したリベルター号を10月2日から抑留してきた。同船は世界周遊の練習航海中だった。乗員の多くは既に帰国している。

★NY法廷は、米国のヘッジファンド(禿鷹ファンド)NMLキャピタルの訴えを認めて、ガーナに同船の抑留を命じた。

NMLは、亜国に貸している資金3億ドルの返済を求め、同船解放には2000万ドルの保証金支払いが必要と主張した。これが認められていた。

★ITLOSの判断を発表したエクトル・ティメルマン亜国外相は、MNLを「まさに現代の海賊だ」と糾弾した。

2012年12月14日金曜日

チャベス大統領が出血、術後経過は「複雑」


★☆★ベネズエラ政府広報官エルネスト・ビジェガス通信情報相は12月13日、全国中継放送で、「ウーゴ・チャベス大統領は昨日出血したが止血できた。大統領は徐々に回復しつつある」と述べた。

★だが、「実施された手術の複雑さ、および、術後に浮上した複雑さが回復過程にどのような影響を及ぼすかを慎重に見極めねばならない」と付言した。

★またニコラース・マドゥーロ副大統領兼外相は13日、「チャベス大統領は出血し止血されたが、困難を招いた。その後、容体は安定から良好な状態に移行しつつある」と述べた。

★しかし続けて、「いかなる事態にも対応できるよう備えよと、大統領はベネズエラ人民に命じた」と明らかにした。

☆ベネズエラでは16日、統一州知事選が実施されるが、13日選挙戦が終了した。

2012年12月13日木曜日

チャベス・ベネズエラ大統領の宣誓式出席は困難か


★☆★☆★ベネズエラのニコラース・マドゥーロ副大統領兼外相は12月12日、全ラジオ・テレビ放送を中断しての全国向け統一政府放送で、「大統領が昨日受けた手術は複雑できついものだった。術後も複雑で厳しい過程にある」として、「愛の心で団結し、この事態に対処しよう」とベネズエラ人に訴えた。

★★★またエルネスト・ビジェガス通信情報相は12日、同省電子広報版で、「1月10日のウーゴ・チャベス新任期開始時の宣誓式に大統領が出席できない事態に備えてほしい」と呼び掛けた。同相は、「大統領の術後の容体は安定している」と述べている。

★11日にハバナにチャベス大統領を見舞ったエクアドールのラファエル・コレア大統領は12日キトでの記者会見で、チャベスの早期回復を祈りながらも「革命は指導者が消えても続く。チャベスは非常に重要な人物だ。だが誰も不可欠な人材ではなく、そうあるべきではない」と述べた。

★またブラジル政府は、ジルマ・ルセフ大統領が今後、マドゥーロ副大統領と接触する方針であることを明らかにした。 

2012年12月12日水曜日

チャベス大統領の「手術は成功」とベネズエラ政府発表


★☆★☆★ベネズエラのニコラース・マドゥーロ副大統領は12月11日、全ラジオ・テレビ放送網の番組を中断しての全国放送を通じて、「ウーゴ・チャベス大統領は同日(ハバナで)、6時間の手術を成功裏に終え、病室で静養している」と発表した。政府は静養期間中、経過を毎日発表する、という。

★マドゥーロはまた、「チャベス大統領への悪意と憎悪を捨てるよう、祖国の敵に訴える」と述べた。米国や、欧州の右翼政権を念頭に置いている。

★10日ハバナでチャベスを見舞ったエクアドールのラファエル・コレア大統領は11日、コロンビアのフアン=マヌエル・サントス大統領と会談し、「チャベスの手術は微妙だが、成功を信じている」と伝えた。

★一方、マイアミ在住のベネズエラ人の腫瘍専門医ホセ=ラファエル・マルキーナはメディアに対し、今回の手術について11日「病状の緩和のためであって治療のためではない」と指摘し、「チャベスの寿命は数カ月だろう。4月ごろまでもつか」と述べた。

2012年12月11日火曜日

コレア・エクアドール大統領がチャベス大統領を見舞う


★☆★エクアドールのラファエル・コレア大統領は12月10日、ハバナの病院にベネズエラのウーゴ・チャベス大統領を見舞い、話し合った。コレアは帰国後、「チャベス大統領はとても元気だった」と述べた。

★コレアはまた、「我々は皆、最も困難な戦いに挑むチャベスを知っている。これまでチャベスが闘志と実践で我々を励ましてくれた。今回は我々がチャベスを励ます番だ」と語った。

★コレアは、ハバナ滞在中、カストロ兄弟と会談したことも明らかにした。

★ハバナではキューバ、ベネズエラ、ロシア、ブラジルなどの医師で医師団が構成されている、と伝えられる。

エル・サルバドール内戦中の虐殺事件の政府責任認定


★▼★米州人権裁判所(本部サンホセ)は12月10日、エル・サルバドール内戦中に発生した「エル・モソテ虐殺」事件の政府責任を認定した。

▼1981年12月11~13日、同国北東部のホンジュラス国境に近いエル・モソテ村一帯で、政府軍特殊部隊が地元民1061人を無差別に殺害した。女性の一部は強姦されてから殺された。

▼同国内戦中、最悪の虐殺事件として記憶されている。

★マウリシオ・フネス大統領は今年1月、現地を訪れ、事件被害者遺族らに謝罪している。

▼事件に関与した軍人らの多くは、死ぬか無処罰かで、断罪されていない。

2012年12月10日月曜日

マルテリ・ハイチ大統領が来日


☆★☆ハイチのミシェル・マルテリ大統領が12月5~8日、日本を公式訪問した。同国大統領の来日は初めて。

☆野田首相との首脳会談で、日本がハイチの農業生産性を2010年1月のハイチ大震災前の水準に戻すための農業生産性向上計画向けに5億4000万円(約650万米ドル)の援助を供与することが決まり、その協定が調印された。

☆ハイチ大震災時に日本は、緊急支援金1億ドル、復興費7000万ドルを贈り、自衛隊土木部隊を長期間派遣した。大統領は野田首相を通じ、日本の支援に感謝した。

☆大統領は天皇と会った後、東北大震災の被災地仙台を訪れ、地震国同士として連帯を表明した。たまたま滞在中にM7・3の強い地震に見舞われた大統領は、日本人への連帯を表明した。

☆マルテリは8日、帰国の途に着いた。

2012年12月9日日曜日

チャベス大統領が再手術に備え後継者を指名


▼▼▼▼▼ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領(58)は12月8日、癌を以前摘出した部位に悪性細胞が現れたため新たな手術が必要になりハバナに行くことになった、とテレビ放送を通じて発表した。9日にも手術を受けると伝えられる。

▼▼▼チャベス大統領はまた、「大統領選挙が必要となった場合、ニコラース・マドゥーロ副大統領兼外相(50)を後継大統領に選んでほしい」と支持者に訴えた。チャベスが後継者問題に触れたのは初めて。この発言は、癌の症状が重大な段階に達したことを示唆している。

▼大統領は11月28日から6日までハバナに滞在し、治療と診察を受けたばかりだった。その診察結果が出て、再手術が必要と判断された。

▼癌の部位は骨盤と見られているが、大統領は「腰部」としか明らかにしていない。大統領は一昨年末に腰部から脚部にかけて異変を感じ、昨年6月ハバナで最初の手術を受けた。手術は2度に及び、「野球のボール大の腫瘍を摘出した」と自ら明らかにした。

▼今年2月、癌が再発し、ハバナで手術を受けた。定期的にハバナ通いをし、治療を受けていた。

▼10月7日の大統領選挙では得票率55%で快勝、4選を果たし、来年1月10日からの新任期(6年)に備えていた。

▼今月16日には統一知事選挙が実施される。大統領の再手術と後継者指名が、その選挙戦と政局に重大な影響を及ぼすことは疑いない。

2012年12月6日木曜日

建築家オスカル・ニーマイヤーが104歳で大往生


★★★★★ブラジルの建築家オスカル・ニーマイヤーが12月5日、リオデジャネイロの病院で死去した。104歳だった。1907年12月15日リオ生まれで、あと10日で105歳を迎えるところだった。29年、リオの国立美術学校に入学し、建築を学び始めた。

★11月初め脳内出血で、リオ・ボタフォゴ地区の病院に入院し、徐々に容体が悪化していた。

★世界中で多くの重要建築物を設計したが、1947年にル・コルビジェとともに設計したNY国連本部ビル、50年末から建築家ルシオ・コスタとともに設計した首都ブラジリアなどが有名。

★「曲線の詩人」と呼ばれたほど、曲線の使い方が際立っていた。84年には、リオ・カルナヴァルのサンバ行進が催されるサンボードロモを設計した。

★1928年に結婚した妻アニータ・バルドに04年先立たれたが、06年、99歳で、長年秘書として仕えたヴェラルシア・カブレイラと再婚した。この妻や多くの家族に看取られて昇天した。

2012年12月3日月曜日

「不正当選」を非難されたメキシコ大統領が就任


▼▽▼メキシコのエンリケ・ペニャ=ニエト新大統領(EPN、46)が12月1日就任した。任期は6年。7月1日の選挙で当選したが、6年がかりで大手テレビ会社と組んでの売名お手盛り報道作戦を展開し、投票日には大金をばらまいて大がかりな買票作戦を繰り広げたことから、不正選挙として内外で非難されていた。

EPNは制度的革命党(PRI)に所属する。PRIは2000年に政権を退いたが、12年ぶりの政権復帰となった。PRIは保守、右翼、民族主義、新自由主義などさまざまな傾向を持つ政党。

▼就任式は国会下院で行なわれ、大統領肩章がフェリーペ・カルデロン前大統領(PAN=国民行動党、財界・カトリック系右翼)から下院議長の手を経てEPNに渡された。

▼この後EPNは、首都中心街の大統領政庁中庭で就任演説をした。犯罪取り締まり、飢餓撲滅、教育制度改革、国内格差解消、歳出削減など13項目の「優先政策」を打ち出した。

▼市内のチャプルテペク城で晩餐会が催された。就任演説と晩餐会には来賓たちが出席した。ニカラグア、グアテマラ、オンドゥーラス(ホンジュラス)、コスタ・リーカ、コロンビア、ペルーの6カ国大統領、ベネズエラなど南米4カ国副大統領、キューバ副議長、米副大統領らが出席した。

▼メキシコ市内では、EPNの不正を糾弾する左翼政党、学生ら4000人が集会を開き、新政権に抗議した。デモ隊と警官隊の小競り合いで92人が逮捕され、105人が重軽傷を負った。主催者側は早くも、治安担当の新内相の更迭を要求した。