2013年8月31日土曜日

南米首脳会議がシリア攻撃反対を宣言


 第7回南米諸国連合(ウナスール)首脳会議は8月30日、「パラマリボ宣言」を採択して閉会した。宣言は、風雲急を告げているシリア情勢に多くが割かれた。

 「国連調査団の報告を待つべきであり、国連憲章に違反する外部からのシリアに対するいかなる軍事攻撃にも反対する」と、宣言は謳っている。

 同時に「いかなる形でも化学兵器使用は糾弾する」、「外部からのシリアへの兵器供給の中止を要求する」とも主張している。そして「両当事者間の対話」を呼び掛けた。

 ウナスールについては、「官僚主義を排するための改革」を宣言に盛り込んだ。また外相会議に対し、2カ月以内に行動計画まとめるよう指示した。それは工業、経済、金融、防衛、保健、エネルギー、教育、識字、および資源開発について策定する。
 
 シリア問題は、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領が主導した。チャベス前政権以来の石油資金に物を言わせた外交的影響力が依然続いていることをうかがわせた。
 

ベネズエラ大統領が南米首脳会議でシリア攻撃しないよう警告


 スリナムの首都パラマリボで8月30日、第7回南米諸国連合(ウナスール)首脳会議が開かれた。輪番制議長国はペルーからスリナムに引き継がれた。

 スリナムのデジ・ボーターセ大統領は開会演説で、「違いを超えて統合しよう」と呼び掛けた。加盟12カ国のうち亜国、ウルグアイ、チリ、コロンビアの大統領は欠席した。

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は会議で、「主権国家シリアへの軍事攻撃は正当化できない。マーティン・ルーサ・キングとマルコムXの名において攻撃しないよう呼び掛ける」と、米仏両国大統領に警告した。

 南米ではエクアドール、ブラジル、亜国、ボリビアも攻撃に反対している。

 ウナスールに今月復帰したパラグアイのオラシオ・カルテス大統領は、ヂウマ・ルセフ伯大統領の仲介でマドゥーロVEN大統領と30分間会談し、関係正常化に向け対話することで合意した。

 またルセフ大統領とボリビアのエボ・モラレス大統領も会談し、ボリビア上院議員のブラジルへの「脱出」事件の扱いについて話し合った。

 一方、パナマ市の米大使館はこの日、スリナム大統領の息子ディノ(40)が29日パナマ市内で逮捕された、と発表した。この日の発表が、「南米統合」を嫌う米政府の首脳会議牽制策であることは疑いない。ディノの身柄は米国に送られた。

2013年8月30日金曜日

スリナムで南米諸国連合の外相会議開く


 南米12カ国で構成する南米諸国連合(ウナスール)の外相会議が8月29日、スリナム首都パラマリボで開かれた。30日の首脳会議に備えての最終調整が目的。

 域内には、①ベネズエラとパラグアイの断交状態②ボリビア上院議員のブラジルへの逃亡をめぐる両国間の確執③アルゼンチン航空当局によるブエノスイアレス市内空港アエロパルケからのチリ航空LAN締出し-などの問題があり、首脳会議議題の調整は難航している、と伝えられる。

 昨年6月の「国会クーデター」以降、資格停止処分を受けていたパラグアイは、今月15日新政権が発足したことで処分を解除された。オラシオ・カルテス大統領は29日、早々とパラマリボ入りし、南米外交の復活を印象づけた。

 パラグアイは同じく、南部共同市場(メルコスール)の資格停止処分を解除されたが、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領が同市場の輪番制議長であるため、市場復帰を遅らせている。

 首脳会議での両大統領の会談が実現するか否かが、最大の焦点となっている。

2013年8月29日木曜日

映画「ジンジャーの朝」トークショーのお知らせ


 映画「ジンジャーの朝-さよなら、私が愛した世界」(サリー・ポッター監督)が8月31日(土)に封切られる。渋谷のシアター「イメージフォーラム」(03-5766-0114)で。その第4回上映の前にトークショーがある。

演題「ジンジャーたちの時代~東西冷戦とキューバ危機」

講師 伊高浩昭(ジャーナリスト)

時間 8月31日17:15~17:35(予定)

 映画は2012年製作。英国、デンマーク、クロアティア、カナダ合作。90分。

エクアドールもシリア攻撃に反対


 エクアドールのラファエル・コレア大統領は8月28日、シリアに対する外部からのいかなる軍事攻撃にも反対する、と述べた。この声明を同国国連代表部は各国に配布した。

 別件だがコレアは19日、木材伐採(パルプ製造)に根差す新聞紙(ニュースペイパー)を排しディジタル新聞だけにすることの是非を問う国民投票を実施するのはどうか、と語った。

 同大統領は15日、07年から禁止していたヤスニ国立公園内の油田開発を解禁すると発表し、内外から激しい批判を招いてきた。国民投票案は、批判に対するコレアの反発と受け止められている。

 この国立公園内の一部油田を開発して生じる二酸化炭素を排出させない代わりに、国際社会から36億ドルを集める計画だったが、ほんのわずかしか集まらなかったため、禁止を解除した。

2013年8月28日水曜日

コロンビアゲリラELNがカナダ人を解放


 コロンビアの第2のゲリラ組織「民族解放軍」(ELN)は8月27日、カナダ人ジャーノック・ウォバート氏(47)を解放した。カナダ鉱山会社ブレイアル副社長で地質学者。

 ELNは1月拉致し人質としていたが、同社がコロンビアからの撤退を7月決定したため、解放を決めていた。赤十字とカトリック教会の仲介で実現した。

 これを受けて政府が、ELNとの和平交渉開始に踏み切る公算が大きくなった。ブラジルが仲介国になる可能性がある。

 一方、JMサントス大統領は同日「和平は今実現しなければ、再び機会は来ない」と述べ、FARC最高幹部<ティモチェンコ>(ロドリーゴ・ロンドーニョ)と会談する用意があると表明した。

2013年8月27日火曜日

「週刊朝日」が「メキシカン・スーツケース」の談話掲載


 「週刊朝日」9月6日号(8月26日発売)の「ツウの一見」欄(55ページ)に、映画「メキシカン・スーツケース」(マレタ・メヒカーナ)についての、感想談話が掲載されている。談話の主は、伊高浩昭。

 この映画は、今月24日から、東京・新宿の「新宿シネマカリテ」で上映中。映画評は、月刊LATINA9月号(8月20日刊行)に掲載されている。

ベネズエラが大統領・国会議長暗殺計画を摘発


 ベネスエラのミゲル・ロドリゲス内務・法務相は8月26日、ニコラース・マドゥーロ大統領とディオスダード・カベージョ国会議長の暗殺を狙った陰謀を摘発した、と発表した。

 同相は、今月13日コロンビアのククタ国境から潜入した10人の暗殺団のうちの2人を15日逮捕したと前置きし、2人はレーザー照準器付きライフル銃、ベネズエラ陸軍兵士制服、大統領と国会議長の写真を携行していた、と明らかにした。

 一身は、ボゴタ近郊ソアチャ市で組織された。だが陰謀はマイアミ、パナマ市、コロンビア国内で為された、という。

 発表によると、米国の対ラ米極右勢力を代表するオットー・ライク、ロジャー・ノリエガの両元米州担当国務次官補や、米政府から匿われているラ米きってのテロリスト、ルイス・ポサーダ=カリレス(LPC)が関与している。またコロンビア極右の前大統領アルバロ・ウリーベも絡んでいる。(ウリーベは同日、否定した。)

 マドゥーロ大統領は同日、「国際右翼はベネズエラでマグニシディオ(大物暗殺)を画策している。陰謀は米国に発しており、オバマ大統領、あなたは回答せねばならない。あなたはライクやLPCが絡む陰謀をご存じないのか」と、オバマ政権を批判した。

 そして、「私を殺せば、ベネズエラは内戦に陥る」と警告した。 

コロンビア和平交渉が再開


 コロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)は8月25日、ハバナでの和平交渉を再開した。23日から中断されていた。

 両者は同日ボゴタで、9月下旬ボゴタで、10月初めグアビアレ州で、「非合法麻薬」問題をめぐるフォロ(フォーラム)を開くことで合意した。

 軍・警察と繋がる極右準軍部隊「コロンビア統一自衛軍」(AUC)と、FARCは、軍資金獲得、当局買収などのため、コカイン、大麻などの密造・密売に関与してきた。

 フォロは、和平成立後の麻薬密造・取引を取り締まる準備の一環として開かれる。

ブラジル外相が引責辞任


 ブラジルのアニトニオ・パトゥリオタ外相は8月26日、ボリビア国会議員入国事件の責任をとり辞任した。後任は、ルイス・フィゲイレド国連大使。パトゥリオタは交代で、国連大使になる。

 ボリビアのロジャー・ピント上院議員は公金横領などで昨年起訴され、うち一件で禁錮1年の実刑判決を受けている。他の訴訟は継続中だが、去年5月末からラパスのブラジル大使館に亡命していた。ボリビア政府は議員の出国を認めていなかった。

 ところがラパスのブラジル臨時代理大使エドゥアルド・サボイアの一存で、議員は23日夜、大使館を脱出。大使館公用車でブラジルの外交官、武官らに守られて走行、25日ブラジル・コルンバーに入国した。

 ブラジル上院外交委員会のリカルド・フェラーソ委員長に迎えられ、フェラーソが手配していた小型機でブラジリアに到着した。

 外相がピントの大使館脱出を知ったのは事後であり、外相も大統領も事前に知らされることなく、脱出劇が遂行されたようだ。外務省は26日、サボイアを召還し、事実関係の調査を開始した。

 今事件によって、ブラジル外交の失態が強く印象付けられた。ボリビア政府は、ピントの身柄送還を求めることにしている。

2013年8月26日月曜日

ボリビアの国会議員が密かにブラジル入国


 ボリビア政府は8月24日、野党国会議員がブラジルに逃亡した、と発表した。ロジャー・ピント上院議員で、去年5月末からラパスのブラジル大使館に亡命していた。

 ピントは170万ドルの公金横領事件で起訴され、昨年6月被告不在の裁判で、禁錮1年の実刑判決を受けていた。

 議員の弁護士によると、議員は24日未明、ブラジル人外交官に付き添われ、車で国境を越えた。ボリビア政府は、ピントの出国を保障する安導権授与を拒否してきた。

 ブラジル外務省は25日、議員入国の事実を24日事後的に把握したため、ブラジリアのボリビア大使館に通報した、と発表した。

 ボリビア政府は怒りを露わにしており、「対伯関係が悪化することはありえないが」とことさら付言しながら、伯政府に説明を求める、と表明した。

チリ大統領がクーデター40周年行事挙行と語る


 チリのセバスティアン・ピニェーラ大統領は8月25日、「過ちから学び、過ちを繰り返さないために」、9月11日の軍事クーデター40周年記念行事を催す、と語った。

 11月17日の大統領選挙に向けて民主勢力と、ピノチェー軍事独裁の流れを汲む右翼・保守勢力が対峙している。この点からも記念行事は関心を集めている。

【既報の通り9月5日夜、イスパニカ特別講座「軍事クーデター40周年のチリ」が開かれる。講師は伊高浩昭。】

2013年8月25日日曜日

ベネズエラ大統領がシリア政府への連帯表明


 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月24日、「米国は中東で戦争を促進しようとしている」と米国を非難し、シリア政府への連帯を表明した。

 ロシア政府は、「化学兵器使用非難は国際世論をシリア政府糾弾に導こうとする挑発」と非難したが、ベネズエラはロシアと立場を同じくする。

 マドゥーロ大統領はまた、昨年8月25日にファルコン州内のアムアイ製油所で起きた爆発炎上の惨事は破壊活動によるものだった、と明かにした。この事件では42人が死亡、8人が所在不明となった。

 当時は大統領選挙戦のさなかで、優勢だったウーゴ・チャベス大統領の石油政策を扱き下ろすために仕組まれた事件、と見なされている。チャベスは当選したが、癌で今年3月死去した。

 一方、カラカスで24日、ベネズエラ・パレスティーナ外相会談が開かれ、ベネズエラが石油を支援する協定に調印した。

2013年8月24日土曜日

ブラジルが外国人医師導入開始、キューバ人多数も


 ブラジルのルセフ政権は僻地の医師不在状況を解消するため、外国人医師導入計画に着手し、8月23日、第1陣として亜国、スペイン、ポルトガル、ロシアなどの医師がサンパウロ、リオデジャネイロ、ポルトアレーグレ、ブラジリアに到着した。

 ブラジルの医師数は1000人当たり1・8人。僻地には無医村も少なくない。全国で医師5万4000人が不足している。

 計画の眼目は、キューバ人医師4000人の導入だ。ブラジル政府は米州保健機構(OPS)と契約、今月末から11月にかけて順次到着する。月給は1人4200ドルだが、OPSを通じて、うち2600ドルがキューバ政府へ、1600ドルが医師個人に支払われる。キューバ政府は毎月1040万ドルを受け取ることになる。

 キューバ人医師は、「ブラジルの貧困塊」とされてきた東北地方、酷暑と豪雨のアマゾニーア(アマゾン川流域地方)に配置される。

 外国人医師はこの計画で最高3年まで働くことができる。ブラジル医師協会の一部などからキューバ人医師導入に反対する声が出ているが、そのような医師が東北地方などに行くことを望んでいるわけではない。   

コロンビア和平交渉が中断


 昨年10月からハバナで続けられてきたコロンビア政府とゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC=ファルク)との和平交渉は8月23日、一時中断となった。

 フアンマヌエル・サントス大統領は22日、「和平合意が成れば将来の選挙日程に合わせて国民投票を実施する」とする法案を国会に提出した。これを受けてFARCは、法案をコロンビアに持ち帰り検討するためとして、交渉中断を発表した。

 大統領はFARCの決定の直後に、「これまでの交渉結果を総括するため」、ハバナの政府代表団に帰国を命じた。

 FARCは交渉で、和平には制憲議会開設による新憲法制定が不可欠と主張。政府はこれに反対してきた。FARCは23日、この主張をあらためて表明した。

 一方、国連は22日、国際社会にコロンビア和平交渉を支援するよう呼び掛けた。ウルグアイ政府は、新たな仲介役としてハバナ交渉に参加する意思を表明している。

 現在、仲介国はキューバ、ベネズエラ、ノルウェー、チリ。

2013年8月23日金曜日

チリのピノチェー旧軍政の化学兵器保有明るみに


 シリア内戦での化学兵器使用が問題化しているが、チリのピノチェー軍事独裁政権が化学兵器を保有していたことが、あらためて明らかになった。

 公共保健庁(ISP)のイングリッド・ハイトマン元長官は8月22日メディアに、長官だった2008年、同庁地下の部屋でボツリヌス毒素入りの容器の詰まった箱2箱を発見した、と語った。多数の人々を殺すのに十分な量だった、という。

 だが元長官は、自分の一存で廃棄処分にした。彼女は1973年9月の軍事クーデターの後、2度逮捕され拷問された。この悪夢から解放されるため、心理的治療を受けていたが、その関係で、「悪夢に繋がるもの」として、毒素の廃棄を部下に命じた、と説明している。

 当時は、ミチェル・バチェレー大統領の政権下だったが、元長官は同大統領にも知らせなかった。バチェレー前大統領(次期大統領候補)は今回初めて知り、驚愕したという。

 これまでの軍政による人道犯罪を裁く法廷で、「政治囚に対する科学兵器の実験」が証言されたことがある。だが具体的に存在が証言されたのは初めて。

 この毒素はブラジル・サンパウロ州の州立ブタンタン研究所が製造したもので、1981年にISPに搬入されていた、という。以来27年間、隠匿されていた。

 元長官は、現物を法廷に提出すれば決定的な証拠となる、ということについては、当時まったく考えが及ばなかったという。 

 

2013年8月22日木曜日

コンドル18羽、元気になってアンデス山脈に還る


 チリ農業省は8月21日、飛べなくなっていたコンドル19羽のうち18羽をアンデス山地に還した。今月初め牛の腐肉などを食べて中毒症状が出て保護され、獣医や動物園で治療を受けていた。

 農業省は、チップを付けてコンドルを放った。GPSで観察する。

 最近、コンドル2羽と野生の狐2匹が、腐肉を食べて死んでいる。農薬が浸透した牧草を食べた家畜の肉が原因との見方が出ている。

 コンドルはチリの国章にも刻み込まれている。18羽の新たな飛翔は「久々のいいニュース」としてチリ人から歓迎されている。

2013年8月21日水曜日

セミナー「軍事クーデター40周年のチリ」お知らせ


◎ラ米特別セミナー「軍事クーデター40周年のチリ」

講師:伊高浩昭(ジャーナリスト)

9月5日(木)1900~2030 (その後、懇親会)

イスパニカ溜池山王教室で(最寄りは地下鉄溜池山王駅)

参加費 4500円

申込はイスパニカ 03-3630-9711

FARCもコロンビア内戦での殺戮の一部責任を認める

 コロンビア革命軍(FARC)は8月20日ハバナで、コロンビアメディアを通じ、内戦中の犠牲者の一部に対する責任を認めた。FARCは昨年10月からハバナでコロンビア政府と和平交渉を続けている。

 同国のフアン・サントス大統領は7月25日、「50年間の内戦中の治安部隊による重大な人権蹂躙の責任は政府にある」と、国家責任を初めて認めた。FARCは、大統領発言に呼応したもの。

 コロンビアの国家歴史記憶センターは7月24日、内戦中の人道犯罪状況をまとめた報告書を大統領に渡した。サントスは、これを受けて責任を認めた。

 1958~2012年の間に22万人が死亡したが、うち81%は市民。このほか2万5000人の強制失踪者がおり、事実上、殺されたと見られている。

 虐殺事件の67%は軍・警察および、これと連携する極右準軍部隊の犯行。ゲリラは17%とされる。

2013年8月20日火曜日

LATINA誌がイースター島ルポルタージュ掲載


 月刊誌[LATINA」9月号(8月20日発売)の伊高浩昭執筆記事は次の通り。 

ラ米乱反射・連載第91回「絶海の孤島に沈黙の賢者モアイを訪ねて ラパヌイの将来担うマリオ・トゥキ青年」(5ページ特集、写真8枚掲載):イースター島訪問時のルポルタージュ。 

書評:石田憲著『日独伊三国同盟の起源』講談社:スペイン内戦に絡めて評す。 

映画評:トリーシャ・ジフ監督「メキシカン・スーツケース」(マレタ・メヒカーナ):スペイン内戦の戦線で命を懸けて写真取材したロバート・キャパら3人の写真家の遺作フィルムをめぐるドキュメンタリー。(8月24日新宿シネマカリテで公開) 

グアテマラでジャーナリスト殺害相次ぐ


 グアテマラでジャーナリスト殺害事件が相次いでいる。今年4人が殺され、1人が重傷で入院中。同国記者協会(APG)は8月19日、ペレス=モリーナ大統領に会見を申し入れた。

 今月6日サカパ県内で記者1人が殺されたのに続き、12日にはスチテペケス県都マサテナンゴで、ラジオ放送記者フレディー・ロダスが殺し屋から3発撃ち込まれた。だが一命を取り留め、入院中。

 そして19日、同県内でラジオとテレビのベテランキャスター、カルロス・オレジャーナ(72)が射殺された。オレジャーナは、マサテナンゴ市長を務めたこともある。

 グアテマラでは2007年以降、ジャーナリストが計14人殺されたことになる。

2013年8月19日月曜日

「エコノミスト」誌が「ニカラグア運河計画」特集記事掲載


 週刊誌「エコノミスト」(毎日新聞社)8月27日号(19日発売)が、「ニカラグアに新運河建設計画、背後に中国の世界戦略」(伊高浩昭執筆、4ページ)を掲載している。

 パナマで7月起きた北朝鮮貨物船臨検事件も、中国の新運河建設の意思を一層固めさせるのに貢献した。このことも盛り込まれている。E・スノーデン事件やボリビア大統領機事件も関連付けられている。

 パナマ運河閘門式新水路が建設中だが、これとニカラグア運河は競合関係に入る。米中両国は遠くない将来、パナマ運河とニカラグア運河で競争し合うことになる。

 御一読をお勧めしたい。 

「パラグアイ人民軍(EPP)」が5人殺害


 パラグアイ政府は8月18日、北東部のサンペドロ県タクアティーで17日、「パラグアイ人民軍」(EPP)により5人が殺された、と発表した。

 ブラジル人経営の農場を巡視していた農場主の用心棒5人が拉致され、森の中で射殺されたという。5人のうちの一人は警官だった。

 当局統計では、2007年にEPPがサンペドロ、コンセプシオン両県で活動を開始してから16日までに、EPPにより31人が殺された。

 一方、人権団体は、ストロエスネル独裁が終わった1989年以降、小農131人が当局や用心棒によって殺されてきた、と指摘する。

 政府は、EPPがコロンビア革命軍(FARC)と連携している証拠がある、と発表している。

 だが「農村ゲリラ」EPPは、昨年6月の国会クーデターで追放されたフェルナンド・ルーゴ改革政権揺さぶりのため、CIAやパラグアイ諜報機関がつくった地下結社、との見方もある。依然、謎めいた組織だ。

2013年8月18日日曜日

キューバがエジプトの市民虐殺を糾弾


 キューバ政府は8月17日声明で、エジプト情勢に懸念を表明し、連日の市民虐殺を糾弾した。キューバが「非同盟」や「第三世界」の国を非難するのは異例のことだ。

 だが声明は、外務省北アフリカ・中東局長名であり、キューバなりの配慮がうかがえる。
 
 前日のベネズエラ政府のエジプト駐在大使召還決定に呼応した形となった。

2013年8月17日土曜日

ベネズエラがエジプト駐在大使を召還


 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月16日、エジプト駐在大使を召還すると発表した。「新たな決定まで」帰任しない。

 大統領はまた、ALBA(米州ボリバリアーナ同盟)は、国際社会にムルシ前エジプト大統領復帰を働き掛ける、と述べた。

 さらに、「エジプトクーデターの背後に米国がいた。だから米国に友人はおらず、利害だけがある」と指摘し、米国を非難した。

2013年8月16日金曜日

パラグアイでオラシオ・カルテス新大統領が就任


 パラグアイで8月15日、オラシオ・カルテス新大統領(57)が就任した。第49代。就任演説で、貧困との闘い、犯罪取締などを表明した。

 カルテスは、共和国民協会(ANR=コロラード党、保守・右翼)候補として4月の大統領選挙に出馬し当選した。富豪で、過去に麻薬密売、資金洗浄に関与した疑いがもたれている。

このため政敵の間では「ナルコプレシデンテ」(麻薬大統領)との辛辣な蔑称が使われる。

 就任式には、亜伯URU智秘5カ国大統領、台湾総統、スペイン皇太子らが出席した。

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、外相だった昨年6月にパラグアイで
起きた「国会クーデター」直後の発言が「内政干渉」と受け止められており、招かれな
かった。

 マドゥーロは書簡を通じ、南部共同市場(メルコスール)の輪番制議長として、パラグアイの復帰を求めるとともに、カルテス就任を祝福し、関係改善を呼びかけた。

パラグアイはクーデター後、メルコスール、南米諸国連合(ウナスール)から資格停止処分を受けてきた。

 マドゥーロは、「違いを超えて南米統合の共通目標達成を目指したい。我々の分断を望む域外利権を糾弾する」と述べ、暗に米国を非難した。

 ベネズエラからは、野党議員が招かれて就任式に出席した。

2013年8月15日木曜日

ボリビア大統領が法王と「解放の神学」論議へ


 ボリビアのエボ・モラレス大統領は8月14日、ローマ法王フランシスコに9月6日謁見すると発表した。会談の中心は、「解放の神学」の復活に置かれるという。

 「解放の神学」は、キリストは本来、貧しく弱い人民の側にあり、社会変革こそが教義に沿った正しい道、とする考え方。1960年代にペルーのグスタボ・グティエレス神父らによって唱えられ、ラ米中に拡がった。

 保守路線のヴァティカン(ローマ法王庁)は当時、この新しい潮流を厳しく批判したが、ラ米司教会議を2度開き、一定の反省をし、新たな教義確立を目指してきた。

 モラレスは、フランシスコ法王が7月ブラジルを訪問した際、ミサや訓話で貧者救済や社会正義実践に触れたことを評価し、謁見の際に「解放の神学」について話し合うことにしたと説明している。

 法王は青年神父だったころ、「解放の神学」には反対する立場だったと伝えられる。

 「解放の神学」は1959年元日のキューバ革命の影響を受け、提唱された。コロンビアのカミーロ・トーレス神父は、さらに一歩進んで「革命の神学」を実践し、チェ・ゲバラ路線のゲリラ「民族解放軍」(ELN)に参加し、国軍との戦闘中に死亡した。

2013年8月14日水曜日

ホンジュラスで労働者に「おしめ」はかせ生産性維持


 オンドゥーラス(ホンジュラス)に進出している韓国系保税加工工場(マキラドーラ)が、労働者を便所に何度も行かせないため「おしめ」をはかせて仕事させたいたという実態が報道され、問題化している。

 米ミシガン州に本社を置く「キュンシン・リアー配電システム社」は10年前に進出し、ヒョンデ車などの部品を生産し、米国に輸出してきた。たが、労組結成を許さず、労働者へのひどい待遇を続けてきた、という。

 ある女性労働者は、便所へは午後1回しか行くことが許されず、行けば罰金を払うことになるが、女性は罰金を払って生理の処理をせざるを得ない状態だ、と語っている。

 労働省は過去に何度か立ち入り調査を試みたが、その都度拒否されたという。問題が大きくなったことで、労働省は同社に16日までに労組結成を認めるよう勧告した。

 本社が米国にあるため、米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)が、同社労働者の労組結成を支援している。

  

2013年8月13日火曜日

ブラジル軍政は核武装計画を推進していた


 ブラジル軍政4代目のエルネスト・ガイゼル大統領(1974~79)は、原爆開発計画を推進していた。このほど解禁された、国軍参謀本部機密文書で明らかになった。

 オ・エスタード・デ・サンパウロ紙が8月12日、同文書を基に報じたところでは、ガイゼルは74年6月10日、参謀本部会議で計画推進を命じた。当時インドが核実験に踏み切ったが、これに誘発されてアルゼンチンが核実験をするのではないか、と警戒を強めたのが計画推進の理由だった。

 当時、南米ではブラジルとアルゼンチンは相互に仮想敵国視し合っていた。

ガイゼルは、対亜核戦争の可能性を踏まえ、国防戦略の見直しの必要性について検討するよう命じた。

 ガイゼルは、核開発と原発開発で後れを取らないようにするため、計画を定めたと説明した。

 ラ米では、1962年のキューバ核ミサイル危機の教訓からラ米非核地域化条約(トラテロルコ条約)が生まれ、ブラジルも68年に調印したが、批准は後年おこなわれた。ブラジルが核拡散防止条約(NPT)に加盟したのは98年だった。

 ブラジルはガイゼル命令に沿って76年、ドイツとの協定で原発3基の開発に着手した。ヂウマ・ルセフ現大統領は今年6月下旬に予定していた訪日で、原発を購入する商談をまとめる考えだった。だが、都市政策をめぐる政府への全国的な抗議デモで、訪日は中止された。

 民政移管後の1988年に制定された憲法は、核武装を放棄している。

2013年8月12日月曜日

フアン・ペロン将軍亡命時代の映画が好評博す


 マドリーを中心とする亡命時代(1955~73)の故フアン・ペロン亜国大統領の生き方を描いた映画「プエルタ・デ・イエロ-エル・エクシリオ・デ・ペロン」が亜国各地での試写会で好評を博している。

 亜国人俳優兼監督ビクトル・ラプラセ(70)が主演し、ディエギージョ・フェルナンデスと共同監督を務めている。

 去年11月のマルデルプラタ映画祭で、イベロアメリカ最優秀作品賞となった。

 ラプラセは「エバ・ペロン」(1996)、「パデレ・コラヘ」(2004)でもペロン役を演じた。

 軍政時代にラプラセは脅迫されメキシコに亡命していた-。ある試写会場で彼は、「最悪の時期で、毎日酔っぱらっていた。だがペロンは亡命地で抵抗し続けた」と述べ、ペロンを評価した。ペロンは73年に18年ぶりに政権に就いたが、74年病死した。

 「プエルタ・デ・イエロ」は、ペロンがマドリー亡命期に住んでいた邸宅の名前だ。

2013年8月11日日曜日

メキシコの麻薬王が「裁判手続き上の不備」で釈放さる


メキシコの麻薬王ラファエル・カロ=キンテロ(61)が8月8日、禁錮40年の実刑を12年残して釈放され、姿を隠した。「裁判手続き上の不備」が理由だった。

 カロは殺し屋を使って1985年1月、拠点のハリスコ州都グアダラハーラで、米国人2人を殺害した。米国・麻薬捜査局(DEA)の要員と間違えての犯行だった。

 次いで同年2月7日、DEA要員エンリケ・カマレーナとメキシコ人1人を殺した。カマレーナは拷問され、去勢されてから殺害された。

 カロはコスタ・リーカ逃亡中の85年4月逮捕され、メキシコに身柄を送還された。その後、連邦法廷で裁かれ、禁錮40年の実刑を言い渡されることになる。

 ハリスコ州の下級審は、カマレーナは外交官でなく一般市民として入国していたため、その殺害は一般の刑事事件であり、カロは連邦法廷で裁かれるべきではなかった、との弁護側主張に沿って、カロを釈放した。

 米政府は身柄引き渡しを何度も要請していたが、実現しなかった。釈放に怒り、必ず米国内でカロを裁く、と異例の強い意思表示をした。

 米墨麻薬取締協力は、7月凶悪な麻薬結社「ロス・セタス」の頭目ミゲランヘル・トゥレニーニョ逮捕に繋がった。だがカロ釈放で、メキシコのEPN大統領は、対米関係上、苦しい立場に追い込まれた。 

2013年8月10日土曜日

中等校に進学するメキシコ先住民児童は100人中7人のみ


 メキシコの先住民族1110万人のうち、家庭に上水が届いているのは300万人にすぎない。

 同国の国家社会開発政策評価会議(CONEVAL)と国家先住民発展委員会(CONDEPI)が、8月9日の国連「世界先住民族の日」に発表した。

 先住民世帯の9割は、炊事などに薪や石炭を使っている。女性の出産率は3・23人で、非先住民女性の2・1人より1人以上多い。

 先住民児童100人中、24人が小学校を卒業する。中等学校に進学するのは100人中7人だけ。

 先住民語は90種類ある。700万人が話している。多いのはナウアトゥル語23%、マヤ語11・5%、ミステカ語7・1%、ツェルツァル語6・9%、サポテカ語6・3%など。

 一方、コロンビア全国先住民機構(ONIC)は、同国内で今年前半、先住民24人が殺害され、1200人が土地を終われた、と発表した。

2013年8月9日金曜日

イースター島にモアイの群像を訪ねて


私は今年初めて、ラパヌイ=パスクワ島(イースター島)を訪れた。四十数年来チリを何度も訪れていたが、以前はラパヌイまでの航空便が極めて不便で、いったん行くと10日前後の滞在を余儀なくされる可能性もあって、島への出張は憚られた。

 今回、ペルーのカヤオ港からラパヌイに行き、ラパヌイからタヒチに抜ける<大航海>で、訪島が実現した。船中からじっくり構えて、島の若手指導者へのインタビューを踏まえ、長めのルポルタージュを書いた。

 おそらく日本では、これまで知られていない話が少なくないと思う。多くの人々にぜひ、読んでほしい。

 月刊誌LATINA9月号(8月20日刊)の、伊高浩昭執筆「ラ米乱反射第91回」がラパヌイ訪問記。乞う、ご期待! 

2013年8月8日木曜日

アルゼンチン軍政に奪われた「孫」を新たに発見



 亜国軍政時代に政治囚から奪われ軍政関係者に与えられた赤子がまた一人発見された。109人目。「奪われた孫たち」約500人を探してきた「五月広場の祖母たちの会」のエステラ・デ・カルトット会長が8月7日記者会見し、経緯を明らかにした。
 
 この元赤子は、ブエノスアイレス(BA)在住のパブロ・アタナシウ=ラスチャン(37)。父アンヘル・アタナシウと母フリーダ・ラスチャンはBAで1976年4月、軍政秘密警察に拉致され、拷問された後、殺害された。
 
 生後5カ月半だったパブロは、軍人夫婦に与えられた。祖母たちの会は4月パブロに接触し、DNA鑑定を受けるよう説得した。パブロは7月鑑定を受け、このほど真の出自が確定した。
 
 殺された両親はチリ人で、若者の革命運動「革命的左翼運動」(MIR=ミル)の活動家だった。73年9月の軍事クーデター後、二人は別々にBAに亡命し、再会した。二人は亜国のゲリラ組織「人民革命軍」(ERP=エルプ)に参加した。
 
 秘密警察はチリ軍政と連携して二人を監視し、拉致に至った。CIAおよび南米南部軍政諸国が展開していた、亡命者を相互に抹殺し合う「コンドル作戦」により殺害された。
 
 この日の記者会見には、パブロの叔母二人がチリから駆けつけた。祖母たちの会は残る約400人を探している。
 
 パブロを育てた軍人は死去、その妻は存命中。
 
【伊高浩昭執筆「祖母の会」カルロット会長インタビュー(月刊誌LATINA2013年7月号掲載)参照】
 

 

ベネズエラ最高裁が野党側訴えを却下


  ベネズエラ最高裁は8月7日、大統領選挙やり直しを求めた野党側の訴えを却下した。

大統領選挙は4月14日実施され、故ウーゴ・チャベス大統領の後継者ニコラース・マドゥーロ現大統領が接戦を制し、20万票差で当選した。だが、敗れた右翼・財界候補エンリケ・カプリレスは納得せず、開票集計時に不正があったとして選挙無効化と再選挙を要求していた。

  この日、グラディス・グティエレス最高裁長官は、野党側は不正を裏付ける十分な証拠を提示していない、として、訴えを却下した。

  カプリレスは、米州人権委員会、国連、ラ米議会などに訴えると表明、併せて制憲議会開設により大統領多選防止のため改憲の道を探るとの考えも示している。