2014年2月28日金曜日

パナマ運河拡張竣工は、また遅れ来年12月の見通し

 パナマ運河庁(ACP)は2月27日、運河拡張工事を担っている企業連合GUPCとの交渉が終わり、「解釈上の合意に達した」と発表した。今月4~5日から中断していた工事は20~21日に再開した、とも明らかにした。

 拡張工事の中心は、閘門式第3水路の建設にあるが、来年6月完成の予定が12月に半年延期されることになった。当初の目標は今年10月完成だったが、来年6月に延期されていた。再度延期されたことになる。

 ACPは、今回の合意について文書化、点検、署名が残っていると指摘し、完全な決着でないことを示唆した。

 ACPとGUPCはそれぞれ1億ドルを投入し、3月の工事進度を維持するという。またACPは、工事労働者への未払い賃金3600万ドルを支払った。 

キューバ革命の<岩窟王>ウベール・マトス死去

 クーバ革命の「悲劇の英雄」ウベール・マトス(95)が2月27日、心臓発作により亡命地マイアミで死去した。

 マトスは、教師をしていた1950年代後半、反独裁闘争の地下活動に参加、57年コスタ・リーカに亡命した。

 当時のCR大統領ホセ・フィゲラスから贈られた武器を満載した輸送機で58年、クーバ東部のマエストラ山脈近くに帰還、フィデル・カストロ率いるゲリラ部隊の武器補給に貢献した。

 マトスはゲリラ部隊に入り、頭角を現す。やがて縦隊司令官になって、サンティアゴ攻略作戦で戦功を挙げた。

 59年元日の革命勝利後、カストロに眼をかけられたが、穏健な社民主義者マトスはカストロ兄弟と合わず、離反していく。

 マトスは、革命指導部でフィデル、チェ・ゲバラと並ぶ数少ない知識人だったこともあって、知的、思想的な対立が避けられなかった。

 59年10月逮捕され、裁判で「反逆罪」となり、79年10月まで禁錮20年の実刑に服役した。その後CRに去り、次いでマイアミに移った。

 2002年に自伝『夜はいかにして訪れたか』を出版し、カストロ体制の裏面を暴いた。カストロは59年1月のハバナ入城時、左横にマトスを伴っていたが、その歴史的写真からもマトスの姿を消しさった。

 遺骨は、遺言によりCRの地に還る。


 
 

ベネズエラ政府が実情把握のため「経済真実委員会」設置決定

 ベネスエラのホルヘ・アリアサ副大統領は2月27日、「経済真実委員会」(仮称)を同日設置すると発表した。26日開かれた「平和国民会議」(CNP)で、出席した財界人が経済の現状を把握するためとして提案していた。同委設置は当面、CNPが挙げた最大の成果だ。

 エリーアス・ハウア外相は26日ボリビアとパラグアイでベネスエラの状況を説明、27日には亜国とウルグアイで同様の説明をした。次いで28日にかけてブラジル、スリナム、ガイアナを訪問する。

 ベネスエラは、自国の問題を南米諸国連合(ウナスール)で話し合いたい立場だ。パナマが提案した米州諸国機構(OEA)での話し合いには反対している。OEA本部はワシントンにあり、米政府の影響が強すぎるからだ。

 一方、ベネスエラ中央大学(UCV)学連を中心とする大学生組織は27日、政府との対話拒否の姿勢を崩さず、3月2日に大規模なデモ行進を実施することを決めた。街頭で政府に揺さぶりをかける戦略を変えていない。

 この日、欧州議会は、ベネスエラ政府に「根拠なき告発と逮捕命令を撤回し、武装勢力を武装解除し、殺傷者断罪を求める」決議を採択した。賛成463、反対45、棄権37だった。欧米メディアの反政府勢力寄り報道が奏功した形が現れた。
 

2014年2月27日木曜日

ベネズエラで「平和国民会議」、財界が経済再建策を要望

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月26日、ミラフローレス政庁で「平和国民会議」(CNP)を開き、反政府勢力の抗議行動や暴力事件によって陥った事態の打開策と融和の道を探った。

 大統領は冒頭、憲法遵守、非暴力、外国による干渉排除の3原則を掲げ、経営者、産業界、宗教界など国内の幅広い分野の代表で構成する「連絡委員会」の設置を提案した。

 反政府行動を指揮した野党連合MUDの幹部は「中立的な会合ではない」として参加しなかった。これについて大統領は、この会合は政党間の対話ではないと釘を刺し、「対話を恐れるな」と批判した。

 マドゥーロはまた、ウーゴ・チャベス前大統領の一周忌の3月5日から10日間、一周忌に因んだ行事を催すと明らかにした。

 CNPには、経団連会長、中小零細企業連盟会長、大手企業社長、民放重役陣らも出席した。経済人は、経済建て直しに対する強い要望を提示した。またMUD加盟の伝統政党COPEI(キリスト教社会党)も出席し、対話開始を評価した。

 亜国人ローマ法王フランシスコは26日、ベネスエラ情勢への懸念を表明し、対話による和解を促すメンサヘ(メッセージ)を発した。このメンサヘ全文がCNPで読み上げられた。

 一方、エリーアス・ハウア外相は同日、状況を説明するためボリビアを訪問、エボ・モラレス大統領と会談した。次いでパラグアイを訪れた。続いて亜国、ウルグアイ、ブラジルを歴訪する。28日には、ウナスール議長国スリナムに行く。

 米国のジョン・ケリー国務長官は、ベネスエラ外務省が、次期駐米大使としてマキシミリアン・アルベラーエス元ブラジル駐在大使を指名したのを受けて26日、関係改善の方針は変わらないが、ベネスエラ政府が米国を「黒幕」呼ばわりしている間は進展しないと述べ、「ベネスエラは真剣になるべきだ」と呼びかけた。

 ベネスエラ検察庁は26日、今月12日の抗議デモのさなかに介入し2人を射殺した容疑で、国家情報局(SEBIN)の要員5人を逮捕した、と発表した。

伝説のフラメンコギタリスタ、パコ・デ・ルシア死去

 フラメンコの伝説のギタリスタ、パコ・デ・ルシーアが2月26日、心臓発作により死去した。66歳だった。

 パコ(本名フランシスコ・サンチェス=ゴメス)はメヒコ・カンクン市のカルメン浜に別荘を持っていた。浜辺で息子とサッカーに興じていたところ倒れたという。

 パコはアンダルシーア州アルヘシラスのロマ人(ヒターノス)の家に生まれ、幼年時代に父アントニオからギターを弾かされた。少年時代には、いっぱしのギタリスタになっていた。

 芸名の「デ・ルシーア」は、母の名ルシーアからとった。

 カディス出身のフラメンコ歌手カマロン・デライスラとは1960年代から盟友で、数々の舞台で共演した。1979年には二人のアルバム「時の伝説」(ラ・レジェンダ・デル・ティエポ)を出したが、ことしはその35周年だった。

 カマロンは1992年に癌で死去。以来、孤独に耐えてきたという。

 パコは、ジャズを取り入れるなど、フラメンコの「革命」を推進した。

 スペイン国王、文化相、アルヘシラス市長らが一斉に哀悼の意を表明している。

2014年2月26日水曜日

米政府がベネズエラ外交官3人を追放

 米政府は2月25日、在米ベネスエラ大使館員3人に対し、「好ましくない人物」として48時間内に国外退去するよう命じた。ベネスエラ政府が17日、カラカス駐在の米大使館領事担当官3人を追放したことへの対抗措置。

 この日パナマ政府は、ベネスエラ問題を国内対話で解決する道を探るためとして、米州諸国機構(OEA)緊急外相会議の開催を提案した。

 一方、ブリュッセル滞在中のヂウマ・ルセフ伯大統領は24日、「ウクライナとベネスエラを同列に並べて論じてはならない。事情はまったく異なる。我々はベネスエラの社会的発展を重視している。ラ米の枠組みの中で引き続き民主主義を支援していく」と述べた。これはマドゥーロ政権を支持したものである。
 
 ロシア外務省も24日、ベネスエラに内政干渉しないよう欧米に警告している。
 
 亜国サッカー界の英雄ディエゴ・マラドーナは24日、今年6~7月ブラジルで開かれるサッカーW杯大会の解説者として、カラカスに本拠を置くテレスール(南テレビ)と契約を結んだ。その際、反ベネスエラの国際宣伝運動を非難し、「ベネスエラの兵士になる用意がある」と、マラドーナ節を披露した。

 ベネスエラは25日からカルナバルの特別警戒態勢に入る。
 

ベネズエラ当局がアラブ人を逮捕し爆発物押収

 ベネスエラ政府は2月24日、政府、州、市の行政官が一堂に会する「政府連邦会議」(CFG)を開き、今年度の全国各州向け開発予算を発表した。23州知事のうち、ミランダ州のエンリケ・カプリレスだけが欠席した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は、カラカス暴動事件(カラカソ)25周年の今月27、28両日を休日とする政令を発した。両日はカルナバル期間と重なる。

 大統領は別途、アラグア州マラカイ市で23日、アラブ人工作員を逮捕したと発表した。これを受けて同州のタレク・エル・アイサミ知事は、アラブ人の氏名を「ハイサム・モケデー」と明らかにし、他の2人も逮捕したと発表した。

 それによると、モケデーは2月9日からマラカイのホテルに滞在していた。逮捕時に、米国、コロンビアなどに繋がる国際携帯電話11器、パソコン、爆発物、書類、防弾装甲措置済み乗用ワゴン車などを押収した。

 書類には、数十万ドルの送金通知記録、在マイアミ某会社との関係を示すものなどが含まれている。

 知事は、3人組は車爆弾を設置する場所を探っていた、と語った。

 また、検察庁は24日、今月12日以来、暴動事件関係の死者は全国で15人に達したと明らかにした。

 一方、ロシア外務省は24日声明を発表し、主権国家ベネスエラの内政に干渉しないよう欧米に警告した。

2014年2月25日火曜日

コロンビアで共産党系大統領候補の車が銃撃さる

 コロンビアでは5月、大統領選挙が実施されるが、2月23日、アラウカ州タメ市で、共産党系の愛国同盟(UP)の候補アイーダ・アベージャ一行の乗った車列が銃撃された。候補らは無事だった。

 フアン・サントス大統領は、同候補の身辺警護を当局に命じた。大統領も再選をかけて出馬する。

 UPは1980年代に共産党が結成した政党だが、80~90年代に党首2人を含む幹部5000人が暗殺・殺害された。

 ハバナでコロンビア政府と和平交渉中のゲリラFARCは、共産党の武闘部門。FARCは和平後の復員と政党としての政治参加についても交渉する。UPは和平後に備えて活動を再開している。

 今回の銃撃事件は、かつてのUP幹部殺戮をコロンビア社会に想起させている。

エクアドール地方選挙で政権党が主要都市で苦杯

 エクアドールで2月23日、統一地方選挙が実施された。首都キトの市長選挙では、野党のマウリシオ・ロダスが政権党パイース同盟(AP)の現職を破って初当選した。これは、ラファエル・コレア大統領にとって痛手である。

 太平洋岸地方の中心都市グアヤキルでは、現職野党市長が再選を果たした。第三の都市クエンカの市長選挙でも野党候補が現職を下した。また重要都市マンタの市長選挙でも野党が優勢と伝えられる。

 大統領は、首都などでの政権党の退潮を認めている。野党は、大統領の「市民革命」政策が飽きられた、と観ている。

 市長選挙のほかに県知事、市会議員、農村評議会評議員の選挙も実施された。

2014年2月24日月曜日

「産油国のパラドックス」に陥ったベネズエラ

 ベネスエラ政府を支持する年金生活者の群が2月23日、カラカス中心部を行進した。前日の女性行進に次ぐ、マドゥーロ政権の平和醸成策である。

 一方、20日設置された「反ゴルペ国家コマンド」(CNA)の代表ディオスダード・カベージョ国会議長(元陸軍中尉)は22日、国家警備隊がカラボボ州内で火炎瓶など多数の暴力用危険物資を押収し、2人を逮捕した、と発表した。

 押収されたのは、ビール瓶などを利用した火炎瓶360本、火薬16キロ、ガソリン200リットル、撒き菱420個など。

 今回の反政府行動の背景には、外貨不足による輸入不足がある。消費財と原材料の不足率は28%、食糧だけでは26%に及んでいる。

 絶えず入ってくる石油外貨は、対外債務返済、輸入、国内へのばらまき政策、腐敗によって枯渇状態にある。

 原油を生産し後は輸入するという経済構造が招いた「豊かなはずの産油国のパラドックス」に陥っている。ここから脱出するのは容易ではない。

2014年2月23日日曜日

ベネズエラ大統領と野党指導者が24日話し合いへ

 ベネスエラの政府支持派女性組織と、反政府派市民は2月22日、カラカスでそれぞれ大規模なデモ行進をした。女性らは行進の後、政庁で、ニコラース・マドゥーロ大統領に迎えられた。

 大統領は、米国に大使級対話を新たに呼び掛けるとともに、反政府派指導者の一人エンリケ・カプリレス(ミランダ州知事)と24日、政庁で話し合うと発表した。

 マドゥーロは、ジョン・ケリー米国務長官の21日の声明に再び言及し、ケリーはベネスエラ情勢を注視すると言うが、グアンタナモ(米海軍基地)での人権蹂躙を注視すべきだ、と反駁した。

 また、B・オバーマ大統領について、アジェンデ・チレ政権を倒したニクソンや、チャベス大統領を倒そうとしたブッシュになるのか、それともカーターになるのか、どちらになって歴史に記憶されることになるのか、と提起。「シカゴ出身のアフリカ系米国人の精神をもって、ベネスエラの内政にこれ以上干渉しないでほしい」と、オバーマに求めた。

 大統領はさらに、暴力と反政府行動を終わらせるために26日、「平和国民会議」を開催すると発表した。情報省は22日、CNN西語版テレビの取材を再許可した。

 一方、クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は22日、ベネスエラとウクライナの暴力は、自国の利益に合わない政府を同盟国と連携して標的にする米権力界の画策によるものだ、と前置きし、これは、標的国の安寧秩序を乱して経済社会開発を妨げる新しい戦術だ、と指摘した。

 また、アルヘンティーナのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル大統領は同日、選挙に敗れたため自国と(ラ米)地域を不安定にするのは許されない、と、ベネスエラの反政府勢力を批判した。
  

メキシコ・シナロア麻薬マフィア首領ホアキン・グスマン逮捕さる

 メヒコ政府は2月22日、シナロア麻薬マフィアの首領ホアキン・<エル・チャポ>・グスマン(56)をシナロア州マサトラン市のホテルで逮捕した、と発表した。海軍部隊が、米麻薬捜査局(DEA)の情報協力を得て逮捕した。

 シナロアマフィアは、ラ米最大の麻薬組織で、メヒコ国内市場の半分を支配し、グアテマラ、コスタ・リーカ、コロンビア、ベネスエラなどに根を張っている。

 グスマンはティフアーナマフィアから独立して活動中、1993年逮捕された。だが刑務所を買収して2001年脱獄し、逃走していた。

 最大のお尋ね者逮捕により、マフィア内部の権力闘争やマフィア間の縄張り争いが激化するとの見方が出ている。

 だがマフィアは既に広範な市場を確保し、それを守るため司法当局、軍・警察などを買収しており、組織が崩れることはありそうもない。
 
 

2014年2月22日土曜日

ベネズエラ大統領提案を米国務長官が事実上拒否

 米国のジョン・ケリー国務長官は2月21日声明を発表、「正当な抗議行動をする市民や政治家への実力行使や法的脅迫は受け入れられない。暴力を招く可能性を増幅させるだけだ」と述べ、ベネスエラ政府を批判した。

 声明はさらに、「全勢力間の自由な対話によってのみ解決は可能になる」と続け、反政府勢力にも沈静を呼び掛けた。

 長官は、ニコラース・マドゥーロ大統領が同日呼び掛けた米大統領との対話や大使級外交関係復活の提案については触れていない。だが、声明は、それらを事実上拒否したものと受け止められている。

 声明を受けたマドゥーロ大統領は、「傲慢、干渉、無礼な声明を読んだ。声明は暴力に青信号を与えた」と反駁した。

 ベネスエラ当局が規制する前に反政府勢力が各地で暴力を行使してきた事実を、長官が無視しているとの判断からだ。

 大統領は、「ボリーバルとチャベスの人民の力によって撃破していく」と応じた。

ベネズエラ大統領が対話と大使級外交を米大統領に呼びかけ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月21日、ミラフローレス政庁で内外記者団と会見し、バラク・オバーマ米大統領に対話を呼び掛け、「この挑戦を受けてほしい」と述べた。

 大統領は、「大使級外交を復活させ、現OEA(米州諸国機構)駐在大使ロイ・チャデルトンを駐米大使に任命する用意がある」と具体案を示した。

 さらに、「あなたには、チャベス大統領を何度も倒そうとした前任者ブッシュと異なる行政の期間がまだ残っている」と指摘した。

 マドゥーロはまた、「ラ米右翼は連携して反ベネスエラ攻撃を展開している。(チャベスがクーデターに遭った)2002年以来最悪のメディアを用いた策謀にさらされている」と語った。

 大統領は、チレ、コロンビア、パナマの3大統領に対し、「米国務省の圧力に屈して反ベネスエラ発言をしている。ラ米分断工作に乗らずに、互いの違いを尊重し合おうではないか」と述べ、融和を訴えた。

 政府は20日、パナマ外務省が内政干渉発言をしたとして駐巴大使を召還した。パナマも駐VEN大使を召還し、関係は冷え切っている。

 ピニェーラ・チレ大統領に対しては、チレで学生抗議行動があった際、我々は干渉しなかった、と述べ、ベネスエラでは大学教育は無料だが、チレではそうでない、と指摘した。そのうえで、あなたの在任期間は(3月10日までと)限られているが、大統領として最後までラ米のために尽力してほしい、と付け加えた。

 コロンビアのサントス大統領については、ベネスエラ在住コロンビア人が迫害されていると嘘を言っている、と批判し、迫害の事実はないし、我々はコロンビアに内政干渉していない、と強調した。

 一方、エリーアス・ハウア外相は21日、ベネスエラ沖のカリブ海にあるオランダ領アルバ、ボナイレ、クラサオ(キュラソー)にあるベネスエラ領事館を閉鎖し、全要員を引き揚げると発表した。

 これはアルバの領事館に現地人が車で突っ込む事件があったため。外相は、オランダ駐在大使を召還したことを明らかにし、オランダが安全を保障するまでは領事館は再開しない、と語った。

 ラファエル・ラミーレス石油相は21日、国内で貯油所、石油配給基地が襲撃されていると非難し、そのような地域には石油の供給を打ち切ると述べた。石油相は、国営石油会社PDVSA(ペデベサ)総裁を兼ねている。
 

ベネズエラ大統領が「反クーデターコマンド」を設置

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月20日、国内全部門で構成する「反ゴルペ国家コマンド」(CNA)を設置した、と発表した。「ゴルペ」(ゴルペ・デ・エスタード)は「クーデター」の意味。

 大統領は、CNA代表には、ディオスダード・カベージョ国会議長が就任すると明らかにした。

 CNA傘下の機関として、全国の工場、職場、地区、大学などに「反ゴルペ人民コマンド」(CPA)が設置される。大統領は、全国にCPA設置を呼び掛けた。

 大統領は19日、「労働者民兵強化」を口にしたが、「国内全部門」に「民兵」が含まれるかどうかは不明。チャベス政権下で創設された民兵部隊は、ソ連製AK47突撃銃を使う訓練を受けたことがある。

 いずれにせよ、CNA、CPAの設置は、「人民戦線」構築につながる可能性を秘めている。その戦略は、クーバの「全人民戦争戦略」に基づく。

 マドゥーロはまた、22日土曜日にカラカス、バレンシア、マラカイボなど6都市で、女性を中心とする大規模なデモ行進を展開すると発表した。

 一方、首都西方のバレンシア市では20日、反政府勢力に電力施設が破壊され、停電となった。この種の撹乱戦術が各地で続発している。

 非国営メディアの多くは、中立的報道を放棄しており、反政府市民のインターネット情報と混じり合い、状況の実態や時系列的推移を見極めるのが徐々に困難になっている。

 欧米・ラ米の右翼・保守メディアには、「意図的誤報」が氾濫している。マドゥーロ政権はこれを、内外メディアによるクーデター扇動工作と受け止め、背後に反政府派と連携する米国、コロンビア、スペインなどの右翼勢力がいると指摘している。

 政府は20日、スペイン語版CNNテレビを煽動的報道を理由に 追放することを決め、外国人通信員1人が21日出国し、ベネスエラ人支局員1人が取材許可証を剥奪された。

 ルイサ・オルテガ検事総長は21日、2月12日以来の反政府街頭行動などで計8人が死亡、137人が負傷した、と発表した。死者の一人は、自動車道に設置されたバリケードを避けようとして事故に遭った検事だった。また、逮捕された後、破壊活動罪などで24人が拘束されている。

2014年2月21日金曜日

キューバ゙の去年の観光収入は18億ドル

 クーバ統計庁は2月20日、去年の観光収入は18億ドルだった、と発表した。観光は、対外医師団派遣などサービス提供に次ぐクーバの外貨収入源。

 外国人観光客は285万人だった。国別上位10カ国は、加英独仏亜伊墨西露VENの順。

 目標にしていた300万人には達しなかった。

ベネズエラ大統領が西部タチラ州に非常事態発動の用意表明

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月20日、ラジオ・テレビの全国向け統一放送で演説し、西部のコロンビア国境沿いのタチラ州に非常事態を発動する用意がある、と言明した。

 すでに陸軍降下大隊と工兵部隊が現地に向かいつつある。兵士らは、主として自動車道など戦略地点を警備することになるという。

 大統領は、同州内には州都サンクリストーバルの市長ダニエル・セバージョスに支援されたファシスト攻撃がある、と指摘した。また、コロンビアから武装勢力が潜入し、ベネスエラの極右勢力とともに不安定化工作をしつつある、と述べた。

 マドゥーロは「タチラを<ベネスエラのベンガジ>にはさせない」として、戦車部隊、軍用機、増援部隊を派遣する用意もある、と強い立場を示した。

 また19日に州都入りしたミゲル・ロドリゲス内相(陸軍少将)は戦闘服姿で記者会見し、市長が事実上の夜間外出禁止令を出し、外部からの物資補給などを遮断し、武装暴力組織に夜間を支配させている、と非難した。

 さらに、コロンビア武装集団が暴力事件を起こそうとしている事実をつかんだとして、州内での市民の武器携行を禁止した。

 内相は、小企業主らが資金を出して武装させている、と糾弾した。

 一方、反政府派のセバージョス市長は20日、陸軍部隊が展開し、インターネットが普通になった、と明らかにした。

 首都カラカスでは20日、空軍基地への接近路を塞いでいたモーターバイク105台が押収された。国家警察要員1人が銃撃され負傷している。 

メキシコ・トルーカでの北米自由貿易条約(協定)首脳会議が合意

 北米自由貿易条約(TLCAN=テエレカン、英語では同協定=NAFTA)を組むメヒコ、米国、カナダ3国は2月19日、メヒコ州都トルーカで首脳会議を開き、8項目の合意に達した。

 域内自由通行権拡大、通関業務簡素化、運輸改善、競争力強化、TPPを通じてのアジア太平洋地域の貿易自由化促進、エネルギー戦略策定、国際組織犯罪関係情報交換、安全保障強化のため中米・カリブ地域との協力強化。

 エンリケ・ペニャ=ニエト大統領は、以前メヒコ州知事であり、B・オバーマ大統領、S・ハーパー首相を伴って、故郷に錦を飾る形となった。

 今首脳会議は、1994年発足のTLCAN(NAFTA)の20周年記念会議でもあった。20年間にさまざまな問題が生じており、その是正策や対応策が策定されつつある。

 たとえばメヒコ政府は、「メヒコは中部から北部にかけてはTLCANの恩恵が多く、南部は恩恵が十分には至っていない」と分析している。   

2014年2月20日木曜日

ベネズエラ反政府勢力は「チャベス無きチャベス主義」に怒り暴動

 カラカスの法廷は2月19日、前日自首した野党指導者レオポルド・ロペスを放火、器物損傷、暴動関与の容疑者と認め、公判開始まで身柄を拘置することを決めた。 ロペスは、首都南西郊外のロス・テケスにあるラモ・ベルデ刑務所で拘束されている。

 メヒコのトルーカ市で19日、バラク・オバーマ米大統領は、ベネスエラの一連の暴動事件で逮捕された容疑者たちを釈放するよう呼び掛けた。その筆頭格としてロペスが念頭にあるはずだが、ベネスエラの状況と司法制度を全く無視した呼びかけと、受け止められている。

 ベネズエラの野党など反政府勢力は昨年3月5日、ウーゴ・チャベス大統領が癌で死去した後、「チャベス無きチャベス主義」は長続きしないと判断していた。

 ところが4月の大統領選挙で、チャベスの後継者ニコラース・マドゥーロ現大統領が勝ち、さらに12月の統一地方選挙で政権党連合は圧勝した。

 計算が完全に狂った反政府勢力は、1月下旬から全国で大学生を動員して反政府行動を開始し、暴動に出て当局を挑発した。今月12日の流血事件は、その結果と位置付けられている。

 騒乱状態を醸し、内外右翼メディアを使って政権交代を促す戦略だが、首謀勢力は、アラブ諸国やウクライナでの反政府暴動から閃きを得ている。

 マドゥーロ大統領は19日の全国向け演説で、労働者民兵を強化し、国家警備隊、国軍とともに街頭で治安を確立しよう、と述べた。民兵を口にしたことは、チャベス1周忌に向けて事態が重大段階に入る可能性をも考慮してのことだろう。

2014年2月19日水曜日

LATINA誌3月号「ラ米乱反射」は「ミチョアカンの戦い」特集

◎月刊LATINA3月号(2月20日発売)の伊高浩昭執筆記事

  「ラ米乱反射」連載第97回:「ミチョアカン州灼熱の地で自警団が麻薬マフィアに勝利  メキシコ政府は<革命状況>発展を警戒」 併用写真4枚。

 書評:『アンデスの都市祭礼 口承・無形文化遺産「オルロのカーニバル」の学術的研究』 児島峰著 
明石書店 (児島の「こ」は別の漢字だが、探すことができない。)

 著者は、ボリビア「オルーロのカルナバル」の研究で、世界最初の博士号取得者となった。極めて興味深い労作。

『ジャック白井と国際旅団』川成洋著 中公新書
 スペイン内戦に人民戦線兵士として参戦し戦死した日本人の生き方を描く。故・石垣綾子著『スペインで戦った日本人』に続く著作。

ベネズエラ野党指導者が自首し、事態ひとまず収拾

 
 反政府派のデモ行進で緊張に包まれていたベネスエラは、中心人物の自首によって、ひとまず静まった。

 暴動扇動罪などで逮捕状の出ていた右翼野党指導者レオポルド・ロペス(42)は2月18日、支持者とデモ行進した後、自首し、国家警備隊の装甲車に乗り、カラカス郊外のラモ・ベルデ刑務所に護送された。装甲車は、ディオスダード・カベージョ国会議長が運転した。19日、出廷する見通し。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は同日、政府支持の石油労働者の前で演説し、ロペスの家族と3夜かけて話し合い、18日未明、ロペス自首で合意に達した、と明らかにした。

 大統領は、マイアミとベネスエラ国内の極右勢力がロペスを暗殺しベネスエラを内戦に陥れる画策をしている、との情報を把握していることをロペス側に説明し、ロペスの生命を守るため自首するのが望ましいと説得した、と明かした。

 さらに、政府は依然対話する用意があるが、それは平和のためであって、職位についてではないと延べ、大統領辞任を求める反政府派の狙いに釘を刺した。

 マドゥーロはさらに、世界最大の埋蔵量を誇るオリノコ油床を、「ウーゴチャベス・オリノコ油床」と改名することを明らかにした。

 事態はひとまず、ロペス自首で概ね平和裏に収拾された。だが西部のカラボボ州バレンシア市では、反政府デモ隊にバイク集団が発砲し、8人が重軽傷を折った。

 一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は18日、南米諸国連合(ウナスール)に対し、ベネスエラに連帯するため近日中にカラカスで、首脳ないし外相による緊急会議を開くよう提案した。
 

ベネズエラ緊張、首都で反政府派と政府派がデモ行進

 カラカスで2月18日午前、反政府派と政府支持派がデモ行進を開始した。極度に緊張が高まっている。

 野党指導者で「街頭闘争主義」の右翼レオポルド・ロペスを支持する反政府派は、ロペスが内務省に出頭するのに同行する形をとっている。だが大統領政庁(ミラフローレス宮)や内務省など省庁が固まる首都中心部リベルタドール区は、無許可デモとし、区内に入れない構えだ。

 国家警備隊(GNB)と国家警察(PNB)の要員多数が早朝から、中心街に通じる主要道路を封鎖している。

 一方、この日、政庁で集団労働契約をする石油産業労働者の一団は、ラファエル・ラミーレス石油相を先頭に、政庁に向かって行進している。労働者は、政府支持を掲げている。

 首都では12日、反政府デモが暴力沙汰に終わり、3人が死亡、66人が負傷した。この事件を扇動したとして、ロペスには逮捕状が出ている。

 だが当日、事件現場で撮影されたビデオ映像は、オートバイで乗りつけた国家情報局(SEBIN)要員らがデモ隊に向かって発砲している姿を映し出している。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は、一部SEBIN要員が出動禁止の命令に従わずに街に出たことを認めている。このため18日、SEBINのマヌエル・ベルナル長官を更迭し、新たにグスタボ・ゴンサレス少将を長官に任命した。

 大統領はまた、不満の的となっている食糧不足に対処するため、4か月分の食糧確保用45億ボリーバル(b、公定6・3b=1米ドル)と、薬品・医療資材確保用22億bの緊急支出を承認した。

2014年2月18日火曜日

ベネズエラ政府は米領事の内政干渉主張、米国は否定

 ベネスエラのエリーアス・ハウア外相は2月17日、カラカス駐在米国領事3人の氏名を明らかにし、48時間以内の国外退去を命じた、と発表した。国外追放については前日、ニコラース・マドゥーロ大統領が発表していた。

 外相は追放理由について、大学生に資金援助し暴動を組織・促進していた、と説明した。これに対し米国務省は17日、外相説明は事実でない、と否定した。

 だが、ベネスエラ副外相(北米担当)クラウディア・サレルモは、「米領事3人は大学生に米国留学査証を与えていた。米国で育成し、帰国させ活動させるためだ。この行為は尋常ではない」と指摘した。

 一方、暴動扇動罪などで逮捕状が出ている野党指導者の一人で極右のレオポルド・ロペス人民意志(VP)党首は、支持者を引き連れて18日、カラカス中心部リベルタドール区にある内務省に出頭することにしている。

 同区のチャベス派区長は、このデモ行進は許可していない、と明らかにしている。また国会議長ディオスダード・カベージョも17日、ロペス一行は首都中心部に入らせない、と強調した。

 18日には、中心部にある大統領政庁で、石油労働者5万3000人と国営石油会社PDVSA(ペデベサ)との集団労働契約式が予定されており、労働者多数が集結する見込み。

 このため、ロペス支持者が中心部に入れば、衝突事件が起きる公算が大きい。だがロペスらは、混乱を起こしてマドゥーロ大統領を退陣させる戦略であり、新たな流血事件発生への懸念が高まっている。 

ベネズエラが米領事館員3人を内政干渉で追放

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は2月16日、カラカス駐在の米領事館員3人を「好ましからざる人物」として国外退去させるよう外相に命じた、と発表した。

 同3人は、2か月前からベネスエラ国内で私立大学学生らと接触していた、という。大統領は、これを内政干渉と見なしている。

 大統領はまた、ワシントンの米州諸国機構(OEA)駐在ベネスエラ大使が、米国務省米州担当次官補代理から、内政干渉を記したメンサヘ(メッセージ)を受け取った、と明らかにした。

 内容は、12日の流血の学生暴動事件に関するもので、暴動を扇動した野党指導者の逮捕状取り下げを求めるなど、ベネスエラ内政に著しく干渉するものだという。 

2014年2月17日月曜日

「エコノミスト」誌がパナマ運河工事中断の記事掲載

 「週刊エコノミスト」誌(毎日新聞社)2月25日号(17日発売)の巻頭フラッシュ欄に、閘門式第3水路建設を中心とするパナマ運河拡張工事が中断し、深刻な問題になっている事態をまとめた記事が掲載されている。

 「パナマ運河拡張 協議破談で工事中断 来年6月完成に暗雲」(伊高浩昭執筆。見出しは編集部)。工事は費用が嵩んで中断を余儀なくされたのだが、裏には落札時のインサイダー情報に基づく取引があった可能性がある。

 また「世界史に学ぶ経済」欄には、「アルヘンティーナ危機はなぜ頻発?」という解説記事が出ている。亜国で繰り返される経済危機は根が深く、その原因をまとめている。亜国人の性格や人間性にも言及している。

2014年2月16日日曜日

ベネズエラ大統領が「平和集会」で武闘を戒める

 カラカスで2月15日、政府主催の「反ファシスム」平和行進・集会があり、数万人が参加した。2月初めから全国の主要都市で続いてきた大学生らによる反政府行動、とりわけ死者3人と多くの負傷者が出た12日の首都での暴動事件を受けて実施された。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は集会で演説し、12日の事件を煽動したとして野党指導者を糾弾する一方、チャビスタ(チャベス派=現政権支持派)に対しても、武装して暴力に訴えるのを止めるよう厳しく戒めた。

 大統領は14日には、国内「平定計画」案を発表している。人民の武装解除、犯罪集団解散、警察巡視強化、テレビによる暴力・憎悪助長報道の規制、暗殺を画策する麻薬組織の取り締まりなどが骨子。

 12日の流血事件に関しては、クーバ、ボリビア、アルヘンティーナ、ニカラグアなどがベネスエラ政府を支持。これに対し、米国、米州諸国機構(OEA)などは、3人を殺した犯人の追及を求めた。またチレ、コロンビア、欧州連合(EU)は、「異なる政治勢力間の対話」を求めた。

 政府は12日の暴力状況のビデオ映像を公表したが、首都の検察庁前、首都チャカオ区でのバス駅前では、若者集団による破壊活動が進行する様子が記録されている。検察庁正面やバス駅は、一部が破壊された。

 
 外国の一部極右日刊紙は、エジプト警察が路上で女性に暴行を加える写真を掲げて12日の事件を伝えるなど、ベネスエラ政府攻撃の宣伝運動を展開している。

 エリーアス・ハウア外相は15日、「外国メディアに煽られて<犬の戦争>を仕掛けようとしている輩がいるが、民主政府と街頭の人民が制圧する」と反駁した。
 

米政府がキューバの領事業務停止に関し反論

 米国務省は2月15日、ハバナの米利益代表部を通じて声明を発表し、前日、ワシントンのクーバ利益代表部が米銀行口座が確保できないため領事業務停止に至ったとの発表を、事実に反する、と反論した。

 声明によると、米政府は昨年夏から米国の50の銀行を斡旋したが、クーバはその便宜を利用しなかった、という。声明は、引き続き便宜を図る、としている。

 クーバは、M&T銀行の口座が使えなくなったため新たな銀行口座を探していたと説明している。だが声明は、M&T銀行関連で影響が及んだ外交公館はクーバだけではない、と記している。

 声明はまた、本件は対玖経済金融封鎖とは関係ない、指摘した。

北朝鮮貨物船がキューバに向けパナマを出航

 パナマ外務省は2月15日、北朝鮮貨物船チョンチョンガン(清川江)が同日、運河カリブ海側のコロン港を出港し、ハバナに向かった、と発表した。

 この船は、去年7月10日、クーバ革命軍の旧式兵器250トンを船底に隠し積んでいたのが発覚し、以来抑留されていた。だが罰金66万ドルをこのほど支払ったため、出航が許された。

 乗組員35人のうち、船長ら幹部3人はパナマに留まり、運河積荷規則違反で裁判にかけられるもよう。残る乗組員32人は、北朝鮮から到着した新たな船長、一等航海士とともにハバナに向かった。

 ハバナでは船体を修理してから、砂糖を積んで、パナマ運河経由、北朝鮮に向かう。積んでいた砂糖はパナマで没収されたが、競売にかけられる見通し。

 クーバ軍の兵器類はパナマ政府の管理下に置かれている。クーバに返還されるのか、(クーバ発表の当初予定通り)北朝鮮に修理のため送られるのか、没収されるのか、司法判断が待たれている。

 この北朝鮮船拘留事件でパナマとクーバの関係は悪化し、1月末、パナマのフェルナンド・ヌニェス外相は辞任した。フランシスコ・アルバレス新外相は、良好な対玖関係を維持すると、2月14日語っている。

2014年2月15日土曜日

ワシントンのキューバ利益代表部が領事業務停止に追い込まれる

 ワシントンのクーバ利益代表部は2月14日、同代表部の領事業務が停止した、と発表した。

 これは米国の取引銀行が3月1日に口座を閉めるため。代表部は昨年12月から代わりの銀行を探していたが、見つからなかった。新たな口座に資金を払い込むべき期限が14日だったため、領事業務停止に追い込まれた。

 クーバに対する経済封鎖は、主に財務省が司っている。

 代表部は、新たな銀行口座が開かれれば、領事業務は再開されると表明した。

雪明け渋谷での、あるラ米的音楽会

 東京は今、2月3度目の雪に降られているが、前回雪明けの9日夜、渋谷で開かれたLATINA主催の「新しい世界のための音楽祭」を聴いた。

 「松田美緒&ビスコイト・グローボ」は、松田が8曲歌ったが、平板だった。それぞれの歌に特色を付けたら、ずっと良くなるだろう。修業をもっと積んでほしい。

 「ルシア塩満トリオ」は、ご存じルシアのアルパが効いていた。高橋マサヒロと菱本幸二は数種類の楽器を弾きこなしたが、特に高橋はギターラ、サンポーニャ、ケーナ、クアトロ、フルートを弾き吹きこなした。

 現代のアルティスタは、このくらい手広くやらないと通用しないのか。それとも、自分の音楽表現に関係する楽器を独りでこなさなければ、境地に到達できないのか。いずれにせよ、たくさんの楽器が操れるとは素晴らしい。

 「サイゲンジ」は、独自の小世界に浸っていた。なかなかいい。だが、独りよがりと紙一重だ。独自性の深化を通じて普遍性に到達することが求められる。

 最後の「岩川光+ゲスト」は、ブエノスアイレス在住の岩川の作品6曲だった。岩川は笛吹き男だ。言わば、ラ米的モダンジャズといったところで、聴いていて体が動く。だが衒(てら)いが目立つ。これがうまく隠されたとき、大成の道にかなり進んでいるはずだ。

 ギタリストの鬼怒無月(きど・なつき)は松田美緒、岩川と2回出演した。いい演奏だった。

2014年2月14日金曜日

コロンビア軍が和平交渉取材記者のパソコン通信を傍受

 コロンビア軍部が、ハバナでの和平交渉を取材中のメディア記者のパソコン通信内容を傍受していたことが暴露され、問題化している。

 コロンビア政府は一昨年10月から、ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)と和平交渉を続けてきた。政府の交渉要員数人のパソコンも傍受されていたことがわかった。

 首都ボゴタのガレリーア地区にあるアンドロメーダ通信基地で、軍電子諜報員2人は、コロンビアのエル・ティエンポ紙、カラコル放送、ベネスエラを本拠とするテレスールTV放送、ベネスエラ人記者、メヒコ通信ノティメックス、クーバ通信プレンサ・ラティーナなどの記者のパソコンを傍受していた。

 ラ米域外のメディアでは、バスコのGARA紙、オランダ2紙、ドイツ2紙、およびAP、ロイター、EFE、AFP、DPAの5通信社の記者らの通信が傍受されていた。

 コロンビア週刊誌セマーナが2月3日特ダネとして報じ、エル・ティエンポ紙が10日詳しく報じた。また11日、同国のラジオ放送が、検察は傍受の証拠を隠滅しようとしていた様子を撮したビデオ映像を入手した、と伝えた。

 国防省は諜報員2人を更迭したが、サントス政権は手の内をさらけ出し、失点した。FARCは、傍受事件を非難している。

2014年2月13日木曜日

ベネズエラの学生抗議行動で3人が銃撃され死亡

 カラカスで2月12日、大学生の群が政府への抗議行動中、バイクに乗った覆面の若者たちから銃撃され、学生2人とチャベス派活動家1人が死亡した。同活動家がなぜその場に居たのかは明らかにされていない。

 学生たちは行進の最終段階で、逮捕されている仲間2人の釈放を検察庁前で要求していたさなかに襲われた。

 この事件で66人が負傷、30人が逮捕された。この日、メリダ、トゥヒージョ両市でも学生デモがあった。

 学生は、経済困難、報道規制などに反対し、野党と呼応する形で抗議を続けてきた。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は12日、閣僚たちが全国の大学を訪ね学生たちと対話していると明らかにした。事件については、学生デモの背後に教唆した何者かがいる可能性がある、と指摘した。

 今回の反政府抗議行動は、マドゥーロが昨年4月就任して以来最大規模で、最悪の結果となった。大統領は15日に首都で「暴力反対、平和賛成」のための大デモ集会を開くとし、結集を呼び掛けた、

2014年2月12日水曜日

米国人の56%がキューバとの関係正常化に賛成

 米国の研究所アトゥランタ・カウンシルは2月11日、米国人の米玖関係に関する意識調査の結果を発表した。回答者の56%は両国関係正常化に賛成し、36%は反対した。

 調査は1月7~22日実施された。全米1024人、フロリダ州内617人、ラティーノ(ラテン系)525人の計2166人が回答した。

 正常化賛成は、フロリダ州63%、ラティーノ62%、クーバ系住民の多い同州マイアミデイドでは64%だった。

 米政府はクーバを「テロリズム支援国家」にしてしているが、61%はこれに反対している。

 米企業のクーバ進出には、62%が賛成。同州63%、ラティーノ65%が賛成だった。

 82%は、米玖共通関心事では当局者同士が話し合うことに賛成した。

 民主党と共和党の連邦議員の間では、この調査結果を踏まえて対玖関係変更に関する関心が高まっている。2人の上院議員が11日、オバーマ政権に対玖経済封鎖解除を促す意見書を提出した。

2014年2月11日火曜日

太平洋同盟(AP)が92%の関税撤廃に踏み切る

 太平洋同盟(AP、チレ、ペルー、コロンビア、メヒコ)は2月10日、コロンビアのカルタヘーナで第8回首脳会議を開き、域内貿易の92%の関税を撤廃する追加議定書に署名した。残る8%については、中長期的に廃止する。

 4大統領はまた、コスタ・リーカのAP加盟手続き過程を開始した、と宣言した。

 一方、4カ国外相は、第3国でAP加盟国の国籍保有者に対する領事業務を相互に供与し合う合意書に調印した。30日後、発効する。

 メヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領は、「メヒコにとってTLCAN(NAFTA)以来、最も革新的な経済合意だ。ラ米統合にも貢献する」と述べた。域内総人口は2億1000万人。

2014年2月10日月曜日

野球カリブシリーズはメキシコが優勝

 ベネスエラのマルガリータ島で開かれていた野球セリエ・デ・カリーベ(カリブシリーズ)は最終日の2月8日、決勝戦が行なわれ、メヒコのナランヘロス・デ・エルモシージョが、プエルト・リーコのインディオス・デ・マヤグエスを7対1で破り、優勝した。
 
 半世紀ぶりに出場したクーバ、開催国ベネスエラ、強豪ラ・ドミニカーナは振るわなかった。

北朝鮮がパナマに罰金支払い、貨物船は出航へ

 パナマ運河庁(ACP)は2月8日、北朝鮮が罰金69万3333米ドルを現金で支払った、と発表した。これにより、昨年7月から、積荷事前申告違反などで拘留されてきた同国貨物船チョンチョンガン号は来週末にも拘留を解かれ、運河地帯を離れることになった。

 乗組員35人中、船長、一等航海士、朝鮮労働党政治委員の3人は裁判にかけられるため、パナマに残留するという。既に別の船長と一等航海士がパナマ入りしており、32人の乗組員とともに、クーバに向かうという。この32人は、不起訴・国外追放処分になる。

 貨物船は、クーバで積んだ大量の砂糖袋の下に、クーバ軍の旧式兵器類を隠し積んでいた。このため臨検され、拘留された。積荷の砂糖は没収され、パナマで競売にかけられる見通しだ。

 貨物船はクーバに戻って砂糖を積み、再びパナマ運河を通り北朝鮮に向かうことになった。

 船内に積まれていたクーバ軍の兵器類がどうなるのかは、明らかにされていない。この問題でパナマとクーバの関係はこじれた。リカルド・マルティネリ大統領は抗議の印として、1月末にハバナで開かれたCELAC首脳会議に行かなかった。

2014年2月9日日曜日

「雪は降る、あなたは来ない。。。」-雪の日に思う

 東京で24時間続けて雪が降った。30~50センチも積もっている。久々に「東京の大雪」となった。汚れを隠し街を覆い尽くす広大な白のヴェールを見て、40年前の思い出が浮かび上がった。

 1974年9月、時の田中角栄首相はメヒコ、ブラジル、米国を歴訪した。メヒコ市にいた私は、メヒコとブラジルだけ同行記者団に入った。首相は、ルイス・エチェベリーア大統領との会談後、憲法広場(ソカロ)に臨む政庁のバルコニーに大統領とともに立った。

 「ビーバ、インデペンデンシア・ナシオナル!」(国家独立万歳!)。大統領は鐘を鳴らしながら、叫んだ。広場を埋め尽くした数万の群衆は「ビーバ」で応える。独立記念日の夜だった。花火が広場の周囲で一斉に咲きだした。さながら「メヒコ燃ゆ」の光景だ。

 そのさなか、首相一行と我々記者団は大統領に見送られ政庁を出て、空港に急いだ。日航特別機は、標高2400mのメヒコ市に滞在した首相の体調を整えるため、太平洋岸のアカプルコ空港に降りた。そこから一気にブラジリアに向かった。

 翌朝、機はアマゾニーア上空を飛んでいた。首相は機内前方の首相室に記者団を集め、窓から眼下を見ながら、日本列島改造論ならぬアマゾン川流域改造論をぶった。私はびっくりし、あきれたものだ。

 ブラジル訪問は首都での首脳会談後、リオデジャネイロに行き、サンパウロで終わった。その夜、記者団の宴会とカラオケのひと時があった。長らく日本の外に居た私は、初めてカラオケを体験した。

 東京本社の政治部から特派員として来ていた先輩記者が、アダモの「雪は降る」を熱唱した。素晴らしかった。雪の降らないサンパウロならではの風変わりな趣があった。

 私は翌朝、空港で、首相一行と記者団がワシントンに向かうのを見送った。私はブエノスアイレスに飛んだ。ペロン大統領の国葬を取材してから3カ月ぶりの亜国だった。副大統領から大統領に昇格したイサベル・ペロン夫人の施政を観察した。

 次いで、ピノチェー軍政1年後のチレを取材した。あのクーデター直後の取材の悪夢を思い出していた。数日後、ペルーのリマ空港に付くと、大混乱していた。機内放送で大地震が発生したことは知っていたが、空港ビルにも亀裂が生じ、売店には誰もいなかった。私は割れたケースからラジオを取り出し、聴いた。

 すべての放送が地震のニュースを伝えていた。私は、出発ぎりぎりまで聴いてメモをとり、機内に戻った。重要な取材資料が詰まったトランクはボゴタ行きとなっている。リマで降りて地震を取材したかったが、トランクを紛失するわけにはいかなかった。

 私はボゴタのホテルでテレビニュースを点検し、メモを基に記事を書き、テレックスで東京に送った。当時はファックスさえなかったのだ。リマ空港でのラジオ取材だったため、「リマ発」で紙面を飾ったことが、メヒコ市に戻ってからわかった。

 メヒコでは、世界バレーボール選手権大会の取材が待っていた。私は初戦の地、モンテレイ市に向かった。山田監督率いる女子チームは破竹の勢いで優勝し、その後、モントリオール五輪でも金メダルに輝いた。この大会が終わったころ、田中首相はロッキード事件で苦境に陥り、やがて逮捕された。

 「雪は降る、あなたは来ない。。。」-あのサンパウロのカラオケの夜の思い出が今、雪の東京で甦った。

2014年2月7日金曜日

インタビューされる立場になってわかった「合作」精神

 今週、インタビューを二つ受けた。一つは、フランスTV局のもので、「日本の給与生活者の生態」についてだった。友人の在日ラ米人記者が私を発言者に指名した、ということだった。私も「サラリーマン記者」だったことがある。その経験を踏まえて、現代の状況を思うままに話すしかなかった。

 もう一つは、日本のある季刊誌のカリブ海特集の中の「クーバ革命の意義」についてだった。これは専門分野なので、戸惑うことはなかった。
 
 ペリオディスタ・インデペンディエンテ(フリーランサー)になって久しいが、しばしばインタビューを受けるようになった。現在も含め半世紀近く、インタビューする立場であり続けてきているため、質問されて答えるのには違和感が否めない。

 しかし、インタビューを受けることによって、インタビューされる側の気持が従来よりもよくわかるようになった。これは私にとって、一つの進歩だ。

 インタビューするが、されもする。考えてみれば、これがいいのかもしれない。される側に立って思うと、インタビュアーの書く記事は、される側との合作だ、という思いが強い。

 ああ、私が何十年もインタビューして書いてきた記事や文章は、インタビューを受けてくれた人たちとの合作だったのだ、と今にして気がついた。遅ればせながらだが、気がついてよかった。

2014年2月6日木曜日

パナマ運河拡張工事が停止された、と運河庁発表

 パナマ運河庁(ACP)は2月5日、運河第3閘門水路建設工事が停止した、と発表した。工事を請け負ってきた西伊建設企業連合GUPCが昨年末、16億ドルの追加建設資金をACPに求めて始まった交渉が4日決裂したため。

 工事は来年6月完成を目指し、72%が終わっているという。パナマのリカルド・マルティネリ大統領は、パナマ人にACPの決定を支持し団結するよう呼び掛けた。また、工事はいずれにせよ予定期限までに完成させると述べ、別の建設会社に工事を引き継がせる可能性を示唆した。米国企業が噂に上っている。
 

 一方、GUPCは、工事停止を否定し、交渉を続ける用意がある、と表明した。だが、企業側筋は、問題がこじれれば国際法廷で裁かれることになり、決着まで何年もかかるし、パナマと運河の名声にも傷がつく、と、ACPを牽制している。

 当面の問題は工事が停止されれば建設作業員をはじめ1万人が職を失うことだ、とGUPCは指摘している。

 同企業集団は入札時、他の企業集団よりも安く提示し落札していた。それが裏目に出て資金不足に陥った、との見方が出ている。ACPは、契約を守れと言い続けてきた。

エクアドールが米州相互援助条約から正式に脱退

 エクアドールのラファエル・コレア大統領は2月5日、米州集団安保条約である米州相互援助条約(TIAR)から脱退する政令に署名した。国会は1月21日、脱退決議を採択していた。政令によって、正式に脱退した。

 東西冷戦下の1947年に締結されたTIARは、米国の主導による反共同盟だった。エクアドールは時代錯誤と批判していたが、1982年の亜英マルビーナス(フォークランド)戦争時に、レーガン米政権が条約に反して域外の英国を支援したのを機に「条約は死んだ」と見なしていた。

 また、米軍は条約締結後、ラ・ドミニカーナ、グレナダ、パナマに直接軍事侵攻し、グアテマラ、クーバ、ニカラグアなどに傀儡軍を用いて侵略した。また数多くのラ米諸国のクーデターなど政変を工作した。

 エクアドールは、これらの史実をも踏まえて、TIAR脱退に踏み切った。

2014年2月5日水曜日

『ハワイ日系米兵 私たちは何と戦ったのか?』を読む 

 荒了寛編著(1995年、平凡社)のこの本は、1941年12月の日本軍による真珠湾攻撃の日、突如として奈落の底に突き落とされた在米とりわけハワイの日系二世・日本人の苦しみと、そこから立ち上がり米軍の一員となってイタリア戦線でドイツ軍を撃破した日系二世部隊と、太平洋戦線で活躍した日本語解読班の在り方を、体験者の発言を基に詳述している。極めて優れた証言集だ。

 二世部隊は戦争の勝者だった。だが彼らが欧州と太平洋で直面した生死の境は地獄だった。戦争は勝者にも敗者にも、そして巻き込まれた第三者にも悲惨の極みを与えずにはおかない。二世生存者らの証言は現代に通じるがゆえに、古典的発言である。

 たまたま読み終えたころA紙夕刊で、ロサンジェルス在住の作家、米谷ふみ子(80代前半)の寄稿「目覚めよ! 75歳以上の年寄り」を読んだ。「戦争を覚えているのは75歳以上の人々だ。次世代の無知は、一重に、その残酷さを語り継がなかった私たち老人の責任であると気が付いた」と書かれている。

 この記事の書き出しは、米国人インタビュアーがテレビ番組で語った「彼(安倍首相)は日本の平和憲法を変え、強い軍隊を作りたいと考えている」という言葉だ。

 この寄稿の隣には、作家池澤夏樹の「第一次世界大戦の教訓 誰が薪を積むのか」が掲げられている。安倍を、そのダボスでの軽率な発言を基に厳しく批判している。

 『ハワイ日系米兵』は、別の観点から戦争を告発している。重要な問題提起が幾つもある。多くの人々に読んでもらいたい本である。

 

2014年2月4日火曜日

メキシコ在住サルバドール人が漂流しマーシャル諸島に到着

 メヒコ・チアパス州コスタアスール在住のエル・サルバドール出身者が太平洋を13ヶ月間漂流し、マーシャル諸島に辿り着いた。現地情報を受けて、メヒコ外務省が発表した。

 ホセ=サルバドール・アルバレンゴ(37)で、2012年12月24日、コスタアスールから全長7・3メートルの漁船で鮫漁に出たところ、海流に流されて沖に運ばれ、戻れなくなった。 

 漂流する間、雨水がなくなると海亀の血を水代わりに飲み、海亀と魚を食べて生き延びたという。

 今年1月31日、マーシャル諸島のエボン島沖に差し掛かり、泳いで上陸し、島人に発見された。2月3日、首都マジューロで健康診断を受けた。

 メヒコとエル・サルバドールの両政府は、連携してアルバレンゴの帰還を支援する。

 髭が顔全体を覆うほどに伸びているが、やせ細っていないため、当初、漂流事実の信憑性を疑う向きもあったという。

2014年2月3日月曜日

コスタ・リカ、エル・サルバドールの大統領選挙はいずれも決選へ

 コスタ・リーカで2月2日実施された大統領選挙は予想通り接戦で、当選に必要な40%を超える得票者がなかった。このため得票1位のルイス・ソリース(市民行動党=PAC)と、2位のジョニー・アラヤ(民族解放党=PLN)が、4月6日実施の決選投票に臨むことになった。

 エル・サルバドールでも同日、大統領選挙が行なわれ、やはり当選に必要な50%を超える得票者が出ないもようで、3月9日の決選投票に上位2候補が進出する公算が大きくなった。

 1位はサルバドール・サンチェス(FMLN)、2位はノルマン・キハーノ(ARENA)で、左右両勢力が激突する。

2014年2月2日日曜日

キューバが54年ぶりに参加し野球カリブシリーズが開幕

 カリブ地域の野球強豪がぶつかり合う第56回カリブシリーズが2月1日、ベネスエラのマルガリータ島ポルラマル市で始まった。ニコラース・マドゥーロ大統領が開会を宣言した。

 今回は、54年ぶりに参加したクーバのほか、ベネスエラ、ラ・ドミニカーナ(RD=ドミニカ共和国)、メヒコおよび、米植民地プエルト・リーコ(PR)が出場する。

 大会は8日まで続く。開幕戦は、PRが7対6でRDを破った。

きょう、エル・サルバドールとコスタ・リーカで大統領選挙


 きょう2月2日、エル・サルバドール(ES)とコスタ・リーカ(CR)で大統領選挙が実施される。

 ESでは5人が出馬している。政権党FMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)のサルバドール・サンチェスと、保守・右翼の国家主義共和同盟(ARENA)のノルマン・キハーノの接戦。

 得票50%に届く者は出ない見込みで、両人が決選投票に進出する公算が大きい。

 CRでは13人が出馬。政権党PLN(民族解放党、民社主義)のジョニー・アラヤ、拡大戦線(FA、左翼)のホセマリーア・ビジャタ、市民行動党(PAC、中道左翼)のルイス・ソリースの争い。

 当選条件の得票40%に達する候補はないもようで、上位二人の決戦になる見込み。

百年前の日本青年とキューバ娘の恋を綴った書籍が登場


  この2月に開かれるハバナ国際書籍見本市に『サンティアゴ・デ・クーバの一人の日本人 ある恋の物語』という本が登場する。

 1913年に日本人一行がサンティアゴを訪れた。千葉県出身のフジシロ・ケンニチ(20)は病気にかかり、入院する。フジシロ青年は後で仲間たちと合流することにしていた。

 ところが看護師アントニア・ムステリエルと恋に落ちてしまった。青年はサンティゴに留まることを決め、やがて二人は結婚する。

 この本を書いたのは、孫に当たる歴史家リディア・サンチェス=フジシロ教授。子孫らは苦労して日本のフジシロ家の系譜を突き止め、以来、交流してきた、という。

 今年は支倉常長がローマに赴く途上、スペイン植民地だったクーバに立ち寄った400周年。日本とクーバでさまざまな文化行事が催されるが、この本の出版もその一環と位置付けられている。

 昨年は、フジシロ一世のサンティアゴ到着100周年だった。

 

2014年2月1日土曜日

「米国に民主語る資格はない」とボリビア大統領が反駁


 ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月31日ラパスで記者会見し、「米国は我々を反民主と見なすが、米国に民主を語る倫理的資格はない」と、米国を厳しく批判した。

 これは、ハバナで開催されたCELAC首脳会議に関し米国務省当局者が、クーバの一党体制と抱擁を交わし、民主擁護という米州の約束を裏切った、と非難したのを受けての発言。

 モラレスは、米国は軍事基地を諸国への介入やクーデター実行のために使い、クーバに対しては経済封鎖という大量虐殺をしている、と糾弾し、だから「倫理的資格はない」と述べた。

 大統領は29日CELAC会議で、「米国のラ米・カリブ(LAC)への圧制の歴史に終止符を打つため団結しよう」と呼び掛けていた。同日ハバナで、ニカラグア、エクアドールの大統領と一緒にフィデル・カストロ前議長と会談した。

 モラレスは、31日の会見で、「LAC人民はクーバ人民とともにある」と強調した。

メキシコ大統領がキューバ訪問で経済進出方針打ち出す


 メヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)大統領は、ハバナで1月28~29日開かれたCELAC首脳会議に出席した後、クーバ公式訪問に移り、30日フィデル、ラウールのカストロ兄弟と個別に会談した。

 これにより、1990年代末のセディーヨ政権から、今世紀初頭のフォックス政権にかけて極度に悪化した両国関係は完全に修復された。EPNはフィデル・カストロと50分間会談したが、会談後「とても感動的だった」と述べた。

 EPNはラウール・カストロとの会談では、今年4月メリダで開かれる第6回カリブ諸国連盟(AEC)首脳会議と、12月ベラクスル開催の第24回イベロアメリカ首脳会議への出席を招待した。大統領は30日帰国した。

 大統領はCELAC首脳会議初日の28日、グランマ紙への寄稿記事で、「クーバの指導力によってラ米の声は一層強く国際社会に届くようになった」、「メヒコはクーバの経済・社会改革に同伴し支援したい」、「旧リオグループがラ米・カリブ首脳会議(CALC)に発展し、2010年2月のCALCカンクン首脳会議でCELAC創設方針が決まった」と述べていた。CELACは11年12月カラカスで発足した。

 メヒコがクーバへの積極外交を開始した背景には、ラ米外交強化政策とは別に、クーバへの経済進出でブラジルに大きく水をあけられている事情がある。2月には、メヒコ企業経営者一行がクーバを訪れる。