ブラジルの前大統領ルイス=イナシオ・ルーラ=ダシルヴァ氏(66)は10月29日、喉頭癌にかかっていることを明らかにした。サンパウロのシリア・レバノン病院に31日入院し、化学治療を受け、11月1日退院した。医師団は、経過は良好と発表した。
ルーラは、施政8年間の政策が国内外で高く評価されており、「癌との闘い」の報道は国際社会にも衝撃を与えた。
ジルマ・ルセフ現ブラジル大統領はルーラを見舞ったが、ルセフ自身もルーラ政権の官房長官だった2009年、リンパ腺癌を同じ病院で克服している。
南米では、パラグアイのフェルナンド・ルーゴ大統領がそけい部リンパ腺癌にかかり、昨年、サンパウロの同病院で治療している。
また、ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領も今年6月、癌(骨盤肉腫)を除去したと公表し、キューバの首都ハバナで定期的に治療と検査を受けてきた。チャベスはその後、「癌との闘いで勝利した」と宣言し、来年10月の大統領選挙出馬を目指している。
キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長は2006年7月、腸内出血で緊急手術を受けたが、その際、「大腸(結腸、直腸)癌」説が流れた。キューバ政府は「国家機密」として、カストロ氏の病気について言及を避けてきた。
(2011年11月3日 伊高浩昭)