2012年4月2日月曜日

キューバ「5人の英雄」問題で書籍出版

▽▼▽マイアミを中心とする在米キューバ人亡命社会には、キューバ革命に恨みを抱き、キューバに破壊活動や対人テロを仕掛ける機会をうかがう者たちがいる。キューバ当局は諜報員を潜入させ、情報を探っている。

▼そのような諜報員のうちの5人が1998年9月マイアミで逮捕され、「終身禁錮2回」など極めて理不尽な実刑を科せられている。明らかに、非理性的な憎しみの断罪である。キューバは彼らを「5人の英雄(シンコ・エロエス)」と呼び、米側は「マイアミの5人組(マイアミ・ファイヴ)」と呼ぶ。

▽うち禁錮13年で最も刑の軽かったレネー・ゴンサレス氏は昨年10月釈放されたが、「3年間監視付きでマイアミ居住」が義務付けられている。現在、病床にある肉親を見舞うため短期間キューバに帰国中だ。

▼キューバ政府は、「5人の英雄」解放を、対米対峙戦略の中心に据えてきた。内外で広範な解放運動を展開している。

▽そこに一人の日本人ジャーナリストが登場する。日本経済新聞社会部畑の記者だった津崎至(つざき・いたる)氏=1925年生まれ=である。『グロテスクなアメリカ-オバマ殿よ「キューバの英雄・5人」を解き放ちなさい』という本を、このほど自費出版した。

▼85歳だった2011年11月、キューバ東部オルギン州都オルギン市で「5人の英雄」解放問題をめぐる国際会議が開かれた。津崎は記者魂と義憤・正義感をエネルギーに、はるばる日本から現地に行き、会議を取材した。その取材の旅が、この本の中心を占める。

▽昨4月1日、在京キューバ大使館で、出版記念会が開かれた。著者をはじめ、日玖外務省高官同士の定期会合に出席するためこの日到着したばかりの、マルセリーノ・メディーナ第1副外相(日本側呼称は「第1外務次官」)、ホセ・フェルナンデス=デ・コシーオ駐日大使、ジャーナリストらが出席した。

▼この本の購入などの問い合わせは、電話・ファクス03-3455-0754。

【参考文献:『フィデル・カストロ-みずから語る革命家人生』(2011年、岩波書店)下巻「解説」】