ブラジル軍政時代(1964~85年)の人道犯罪の真相を追究している国家真実委員会(CNV)で5月10日、弾圧に関与した元大佐が証言した。
サンパウロにあった陸軍弾圧機関、旧国際防衛作戦所・情報作戦局(DOI-Codi)局長だったカルロス・ウストゥラ退役大佐で、拷問や殺害の責任を問われて、「この場に立つべきは大統領命令を実行した陸軍であって、私は命令系統の一環にすぎなかった」と反論した。
1973年に同作戦局で92人の拷問殺害遺体が発見されたことを示す文書を突きつけられると、「彼らは街頭での戦闘で死んだ」と述べ、殺害に関与していないと否定した。
だが、元大佐の部下だった元軍曹マリヴァル・ジアスドカントは、「生殺与奪の権限はウストゥラが握っていた。活動家の死体は局員にとって戦利品のようなものだった」と証言した。
元大佐はジルマ・ルセフ現大統領が、70年代当時、約40あったゲリラ組織の幾つかに参加していた、とも述べた。
ルセフは60年代後半から70年にかけて「労働者政策(POLOP)」、「民族解放コマンド(COLINA)」、「パルマレス革命武装前衛(VAR-パルマレス)」に参加していた。70年に反逆罪で逮捕され、サンパウロのチラデンテス刑務所に収監されて拷問された。72年に釈放されてからは政治活動に加わり、90年にルーラらの労働者党(PT)に入党した。
大統領は11日、元大佐の発言には言及しない、と表明した。