計良光範(けいら・みつのり)著『アイヌ社会と外来宗教-降りてきた神々の様相』を読んだ。日本史の死角や暗部が明示されていて、とても勉強になった。
北海道の日本化過程で仏教、とりわけ東西本願寺が果たした役割、鎖国期のローマカトリック神父の決死の活動、開国期のロシア人の動向とニコライらロシア正教宣教師の活動、開拓期以降の被差別部落民差別などが、豊富な資料を基に細かく綴られている。
「教化によってアイヌが心底仏教に帰依したかというと疑問だ。アイヌの死生観が仏教のそれと基本的に違うからだ」と著者は指摘する。
紹介は、ここまでにしておこう。ご一読をお勧めしたい。