2014年7月24日木曜日

興味深い「世界」誌でのグアテマラ人作家の発言

 ◎月刊誌「世界」(岩波書店)8月号掲載のラ米関係記事

★インタビュー「人間の真髄を嵌め込むモザイク」エドゥアルド・ハルフォン 聞き手・飯島みどり(立教大学教員)

 アラブ、ユダヤ、欧州、米国、ラ米(とりわけグアテマラ)という重層的認同(イデンティダー)を持つ作家ハルフィンの言葉が興味深い。「作家は<紛うことなき史実>でなく、本物の感情を追求する」というは発言は特に含蓄がある。

 昨今の日本の政治決定はヒステリーの極みに陥っているが、これは日本人とくに「政治家」と呼ばれる人種の発想が単純すぎて、複雑な現代世界に対応できなくなっているからだろう。日本人と他人種の混血がたくさん政府、官僚、財界、ジャーナリズムなどに入らない限り、この国は限界を超えられず、衰退するばかりだろう。ハルフィンの生き方は、そんなことまで考えさせる。

☆座談会「新自由主義は社会に何をもたらすか」

 新自由主義が日本はもちろんのこと現代世界の諸悪の根源であるのは論をまたない。<オールマイティー、全能の悪>だから、なんでも関連付けて考えることができる。 

 このラ米、特にメヒコの麻薬問題を柱とする座談会もそうだ。切り口は悪くないが、もう少し麻薬問題を掘り下げてほしかったように思う。現場取材の経験のある工藤律子の語りをもっと聞きたかった。