ベネスエラ中央銀行は8月25日、同国が優遇輸出している原油の39%はクーバ向け、と公表した。2000年以降、ベネスエラはクーバに17億ドルの借款を供与し、サービスおよび食糧3億7520万ドルと電気・電信事業向けの3億3200万ドルの無償援助を与えた。
クーバは、原油代金のかなりの部分を、医師、看護師、教師、軍事顧問らベネスエラへの人材派遣で相殺している。
ベネスエラは05年、カリブ連帯石油機構(ペトロカリーベ)を設立し、加盟18か国およびアルヘンティーナなど非加盟国に原油を安く提供してきた。その額は06~13年に計549億ドルにのぼる。
クーバ以外では、亜国、ラ・ドミニカーナ、ジャマイカ、ニカラグアに多くの原油が渡されてきた。ガイアナ、ニカラグア、ラ・ドミニカーナ、ジャマイカなどは米、砂糖、食用油、カフェ、牛肉、牛乳、家畜、家畜のえさ、セメント原料など現物で代価を支払っている。
ペトロカリーベの原油輸出は2011年以降、19%減少した。近年、代価の現金払いの比率が増えている。
中銀が現時点で以上のような事実を敢えて公表したのは、マドゥーロ政権が7月発表したガソリン価格値上げ方針と無関係ではない。野党勢力から、ガソリン値上げ実施前に、対外原油優遇輸出を打ち切るべきだとの声が高まっている。政府はそこでまず、中銀に実態の一部をを明らかにさせた。
ベネスエラの財政赤字は国庫に重くのしかかっており、政府は部分的な「経済調整」に着手している。チャベス時代のような、原油と石油外貨の大盤振る舞いは困難になっている。
【参考:月刊誌「世界」10月号(9月8日発売)掲載予定のベネズエラ情勢】