クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は12月17日、米国と外交関係を復活させることで合意した、と国営テレビ全国放送で発表した。
ラウールは、クーバ人囚人3人と米国人囚人2人との交換実現に触れ、仲介したバティカン(ローマ法王庁)に謝意を表した。米国人囚人はアラン・グロスと、20年以上収監されていた元諜報機関員。クーバ人3人は16年間収監されていた。
議長は、16日にバラク・オバーマ米大統領と電話会談したことを明らかにし、「人権、政治、主権などをめぐる両国間の隔たりは依然大きい」と述べた。
その上で、「諸国は相互の違いを認めつつ文明的に共存すべきだ」とし、「国交正常化は国際法の原則に基づいてなされなければならない」と強調した。
一方、オバーマ大統領も同時刻にワシントンで、米国人囚人2人と同クーバ人3人が交換釈放されたと発表し、仲介したバティカンと、米玖交渉の場を提供したカナダ政府に感謝した。クーバ側が「政治囚」釈放を約束したことも明らかにした。
大統領は、「米国は過去半世紀の対玖関係上のくびきを打ち壊し、関係を正常化させる。過去と異なる結果を期待する」と述べ、経済封鎖を柱とする敵対政策が破綻したことを認めた。だが、封鎖を支持する強硬派もいる在米クーバ人亡命社会に対しては、「これまでの貢献に感謝する」と配慮を示した。
オバーマは、外交関係樹立のためジョン・ケリー国務長官をはじめ高官らをハバナに派遣するとし、近くハバナに大使館を開く方針を明らかにした。
クーバに関する米市民へのさまざまな規制を見直すこと、米玖間の旅行自由化、対玖貿易拡大を図っていく方針も打ち出した。米国人はクーバでクレジットカードを使えるようになり、クーバ政府は米国で市銀口座を開設できるようになる、とも述べた。
経済封鎖については法制化されているものが多く、撤廃のため議会と折衝していくと語った。大統領も、ラウールが言ったように、両国の考え方の隔たりが依然大きいことを指摘した。
オバーマは最後にスペイン語で、「トドス・ソモス・アメリカーノス」(我々は皆、米州人だ)と述べた。