今月10日に新自由主義経済路線のマクリ保守・右翼政権が発足した亜国で、早くも人権・社会政策の後退が始まった。軍政期(1976~83)に犯された夥しい数の人道犯罪の現場を象徴する旧海軍機会学校(ESMA)=現「記憶・人権空間」=で建物の修復・維持作業に携わってきた労働者2000人に15日、18日をもって解雇するという通告がなされた。
この作業は、ペロン派左翼のフェルナンス前政権下で、社会開発省、人権庁、国立ブエノスアイレス大学建築・設計・都市計画学部(FADU)が共同で進めてきた「アルヘンティーナは働く」計画に基づく事業の一つだった。
旧ESMAはブエノスアイレスのリベルタドール大通り8151番地にあるが、解雇通告を受けた労働者のうち500人は15日、同施設前で抗議行動を展開、「政府の不当な決定」を訴えた。
新政権のへルマン・カラバーノ法相は14日、旧ESMAを視察、人道犯罪被害者の代表的組織である「五月広場の祖母たちの会」のエステラ・デ・カルロット会長に会い、「人権政策継続」を伝えている。法相は、「忘却・沈黙に反対し責任者特定と正義を求める息子・娘たちの会」代表とも会った。その翌日の解雇通告ゆえに、不信感が拡がっている。