ベネスエラ最高裁は1月11日、同裁・選挙法廷が12月末、選挙時の不正を理由に当選資格停止を命じた野党連合MUDの国会議員候補3人をMUD所属の議長ヘンリー・ラモスが6日宣誓させたことについて、国会は「官憲侮辱罪」に該当するとし、3人の宣誓および、この宣誓の後に国会が決定した事項のすべてを無効と判断した。
マドゥーロ政権を支える政権党連合GPPは、6日の宣誓を受けて最高裁に無効化を求めて訴えていた。だが国会のラモス執行部は11日、最高裁命令を「司法的でなく政治的判断だ」と非難し、従わないと表明した。
これについて司法専門家は、このまま事態が進めば、国会は「非合憲・非合法」の判断を下され、行政や司法から相手にされなくなる可能性がある、と指摘している。
政権党PSUV所属のディオスダード・カベージョ前国会議長は、MUDが態度を改めない場合、ニコラース・マドゥーロ大統領は12日に国会提出を予定している経済緊急政策に関する政令を提出しなくなる、と述べた。
MUDは国軍の政治的介入を期待している節があるが、国軍はマドゥーロ政権への忠誠を新たにしたばかりだ。政府と国会に権力のねじれが生じたベネスエラの政情は予想通り、新国会開会と同時に混迷状態に陥っている。
☆ヘンリー・ラモス国会議長は12日、6日宣誓したMUD議員3人が辞表を提出した、と発表した。政府(行政)および最高裁(司法)の「国会違憲」判断を受けて、同議長は譲歩した。