ベネスエラ国会は1月22日、ニコラース・マドゥーロ大統領が15日発した「60日間の経済非常事態施行」の政令を否決した。経済政策をめぐり、チャベス派政権と、保守・右翼野党連合MUDが圧倒的多数の立法府が真っ向から対決する事態となった。
MUDは政令反対107票、賛成54票で、政令を葬った。否決理由を、「経済危機の責任は行政府と経済政策にある。政令は問題解決に役立たないどころか、一層悪化させる」と説明した。
またヘンリー・ラモス国会議長(MUD)は、経済関係閣僚らは21日に国会で政令の説明をすべきところ拒否し国会に来なかったとして、「情報が出されず政令内容は不確かであり、認めようがない」と述べた。
大統領は、「政令否定は残念だ。MUDは事態打開に背を向けている」と非難した。
この日、国際通貨基金(IMF)はベネスエラ経済について報告、2015年インフレは275%で「世界最悪だった」が、16年は年率720%にも達する見込み、と明らかにした。
報告は、ベネスエラ経済は15年に10%縮小したとし、16年には8%縮小すると予測した。ベネスエラ中央銀行は今月、15年1~9月のインフレは108・7%、経済縮小は4・5%と発表、IMFの数字と大きく食い違っている。
2015年ラ米では、ベネスエラの他、亜国、ブラジル、エクアドールの経済も縮小した。
ベネスエラ原油の国際価格は22日、1バレル=21・5ドルまで落ちた。マドゥーロ大統領は同日、ウラディーミル・プーチン露大統領と電話会談し、価格上昇策を話し合った。
マドゥーロは石油輸出国機構(OPEC)に原油価格安定化のため緊急会議を提案しているが、イランを含む湾岸産油諸国は22日、「会議を開けば、かえって負の効果をもたらす」として、会議開催反対を表明した。
一方、デルシー・ロドリゲス外相は22日、マウリシオ・マクリ亜国大統領がこのほどダボスでの「世界経済フォーラム」で、「ベネスエラでの民主的自由抑圧」を批判したのを受け、内政干渉としてはねつけた。
外相は、「マクリは政権に就いて2カ月も経たないのに、自国で人権を蹂躙してきた。二重基準だ」とやり返した。その具体例として、「五月広場の母たちの会」のエベ・デ・ボナフィニ会長への迫害的対応策と、「マクリの経済政策を批判したラ米議会議員ミラグロ・サラを拘禁したこと」を挙げた。
マクリ右翼政権登場とMUDのベネスエラ国会支配に懸念を表明してきたボリビアのエボ・モラレス大統領は23日、施政10周年に際し政権党・社会主義運動(MAS)幹部会合で演説、「帝国主義勢力はラ米を分断しようと画策している。ラ米右翼を(これ以上)復活させてはならない。我々はベネスエラ・ボリバリアーナ革命とエクアドール市民革命を守り、ブラジル、亜国、ボリビアでの社会政策の成果を守らねばならない」と強調した。