アイチ(ハイチ)通信社(HPN)は2月5日、ミシェル・マルテリ大統領と国会上下両院議長が同日、暫定政権樹立で合意した、と報じた。同大統領は規定通り7日退陣し、国会が数日内に暫定大統領を選出する。繰り返し延期されてきた大統領選挙決選は4月14日実施、新大統領は5月14日就任する。
暫定大統領希望者は国会に早急に登録する。大統領退任後は、エヴァン・ポール首相が政府の臨時首班となる。
これに対し、野党勢力を代表する「G8」は、暫定大統領はジュール・カンタヴ最高裁長官にすべきだと主張。首相および閣僚15人は主要な政治家から選ぶべきだと訴えている。また暫定政権は、昨年10月25日の大統領選挙第1回投票時の大規模な不正を解明するのが先決だ、との立場を崩していない。
国会が暫定大統領を選ぶ場合、上院は野党、下院は与党がそれぞれ多数派であるため、混迷が予想される。G8の強気は上院で多数派であることにも起因する。
マルテリ大統領は7日国会で離任演説する。国会はその後、暫定大統領選出のため作業を続ける。
首都ポルトープランスでは5~6日、野党勢力支持派が「大統領の6日辞任」などを求めて抗議デモを展開。これを潰そうと、1994年に解体された国軍の元兵士らが戦闘服姿、銃器で武装して出動、発砲した。負傷者が出ており、群衆に捉えられた元兵士一人が殺されたと伝えられる。
マルテリ大統領は6日、「暴力はアイチを後退させるだけだ」と、暴力放棄を呼び掛けた。これまで仲介活動を続けていた米州諸国機構(OEA)使節団は、暫定政権樹立合意に漕ぎつけたことで任務を終えた。近くワシントンのOEA本部で報告する。
アイチでも7日、恒例のカルナヴァルの祭が始まる。開催が危ぶまれていたが、何とか開催に辿り着いたというところだ。だが例年参加する20団体が今年は半減。政情混乱による準備不足や資金不足が影響したと見られている。
★マルテリ大統領は7日、国会で離任演説し政権を去った。ジョスレルム・プリヴェール上院議長は直ちに「権力の空白が生じた」と宣言、暫定大統領希望者の出馬を5日間受け付けると表明した。締め切り後、国会が暫定大統領を選出する。
一方、ポール首相は同日、臨時首班となった。政情混乱を理由に7日から3日間続くカルナヴァルを一日短縮することを決めた。9日、上下両院議員15人で構成する暫定大統領候補受付機関が発足した。