アイチ(ハイチ)のジョスレルム・プリヴェール上院議長は2月2日、ミシェル・マルテリ大統領は5年の任期が終わる7日政権を去り、代わって暫定政権が発足する、と発表した。同議長は大統領と話し合った後、記者会見した。
暫定政権は90日間で、その間に大統領選挙のやり直し決選投票を実施、当選者に政権を渡す。
マルテリ大統領は3日、反政府野党勢力G8代表たちと初めて話し合った。決選進出を拒否したジュドゥ・セレスタン候補の所属するLAPEH、ジャンベルトゥラン・アリスティド元大統領率いるラバラー家族党も参加した。
G8は、1月31日来訪した米州諸国機構(OEA)代表団との会合を「OEAには道徳的資格がない」として拒否した。OEAは、不正が明らかになった後も昨年10月25日の大統領選挙第1回投票結果を認め、決選の1月中の実施を働き掛けていた。
だがG8は、2月1~2日訪れたCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)外相派遣団(エクアドール、ベネスエラ、ウルグアイ、バハマ)とは会合した。同外相団は大統領、上下両院議長、政府支持派政党代表とも会合した。
1月24日に予定されていた決選が無期限延期となるや、政府、反政府両勢力の街頭抗議行動が激化。選管SEP(9人)は辞任し、選挙実施母体が機能しなった。マルテリは29日、「後任が決まらない限り、任期切れの2月7日以降も政権に留まる」と意志表示した。
だがG8をはじめとする反政府側がマルテリの退陣も求めていたことから、マルテリが政権に居座れば混乱状態の政情が収拾できなくなるとの危惧が急速に高まった。その結果、2日の暫定政権樹立で合意が成った。大衆音楽家が本職のマルテリも、7日始まるカーニヴァルに参加すると述べ、政権を退く意志を表明した。
暫定政権は4月の決選実施、5月の新政権発足で調整する、との見方が出ている。だが政情は混迷の極にあり、今後も波乱が予想される。