アルヘンティーナ海事庁は3月14日、同国南部パタゴニアのチュブー州プエルト・マドゥリン沖の排他的経済水域(ZEE)内で違法操業していた中国漁船「ル・ヤン・ユアン・ユ 010」号を臨検しようとしたところ逃走を図ったため、沿岸警備隊の巡視艇ペルフェクト・デルベス号が機関砲を発射、同漁船は沈没した、と発表した。
発表によると、この漁船は4日前にもZEEを侵犯、巡視艇を振り切って逃走した。巡視艇は14日、漁船を発見するや、無線によりスペイン語と英語で警告、ついで音声や信号で合図を送った。だが公海に向けて逃走を図ったため、接近して砲撃した。漁船は何度も巡視艇に体当たりしようと試みた。
沈没した際、船長ら4人はボートで脱出、巡視艇が救助した。他の乗組員28人は、付近にいた中国漁船に救助された。死傷者は出ていない。
船長ら中国人4人を乗せた巡視艇は16日にもマドゥリン港に到着するもよう。最寄りのラウソン市の法廷がこの事件を扱う。
一方、中国外務省とブエノスアイレスの中国大使館は15日、亜国外務省に厳重抗議し、事件の究明を要請した。中国側は、漁船がZEE内で不法操業した事実には言及していないもよう。
中国は、フェルナンデス前政権期に亜国にとり最大の貿易相手国、融資源となった。だが昨年12月発足したマクリ政権は対米関係改善を通じ国際金融界復帰を図っており、亜国経済にとって中国は依然重要だが、以前よりは重要性が減る方向にある。