2016年3月5日土曜日

エクアドル政府と軍部の確執で実力者の外相が国防相に移る


 エクアドールのラファエル・コレア大統領は3月3日、リカルド・パティーニョ外相を国防相に任命、後任の外相にはギヨーム・ロング文化相を据えた。新文化相には、アナ・ロドリゲス副文化相が昇格した。

 パティーニョはコレア大統領の腹心で、来年2月に予定される大統領選挙に政権党から出馬する可能性のある有力候補の一人だ。今回の人事は、フェルナンド・コルデロ国防相が政府と国軍の板挟みになって1日辞任したことから為された。

 大統領は3日、コルデロ国防相の辞任理由を明らかにした。国軍社会保障庁(ISSAFA)が新庁舎建設用地としてグアヤキル市内のサマネス公園の土地を購入した折、実額よりも高い価格を支払っていたことが明らかになったため、政府が購入を差し止め、土地購入代金4100万ドルを環境省に回したが、これが退役将校らを怒らせたことから、コルデロは板挟みになり、辞任に追い込まれた。

 またコルデロは、将校向けのカジーノ、浴場、食堂を下士官、兵卒も使えるようにしたが、この決定が将校らを怒らせた。さらに統合参謀本部長が兵士らに昼食代金1回3ドルを支払う方針を決めたことも問題になった。大統領は兵士には月90ドルの昼食手当てを支給していると指摘し、国軍最高司令官(大統領)として勝手な真似は許さないと、支払い方針を認めなかった。

 政府と国軍との関係は冷ややかになっており、コレアは腹心のパティーニョを国防省に送り込み、国軍との関係修復に乗り出したわけだ。

 パティーニョは2010年以来、外相としてコレア外交を支えてきた。パティーニョは南米諸国連合(ウナスール)やラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)の外相会議のまとめ役として活躍、ラ米の外相として最も目立った存在だった。