パナマ政府は7月19日、「12月20日特別委員会」設置を決め、パナマ市で20日、委員会が発足した。1989年12月20日、ブッシュ米政権による大規模軍事侵攻の犠牲者数を確認するなど、史実を明らかにするのが目的。
フアン=マヌエル・バレーラ大統領は2014年の米軍侵攻25周年記念日に、パナマ大統領として初めて最大被害地であるパナマ市内のエル・チョリージョ地区を訪れ、犠牲者の遺族らに真相究明を約束した。
政府は2015年1月から人権団体や国連と協議、設立に漕ぎつけた。委員会は、フアン・プラネル委員長(私立サンタマリーア・ラアンティグア大学長)ら5委員で構成される。
委員会は、犠牲者数確認、人権蹂躙確認、国喪日制定、記念碑建立、記憶博物館建設などについて協議し、作業を進める。任期はバレーラ大統領の残る任期の2年間。必要ならば延長も可能。今年12月の記念日に最初の報告書を発表する。
侵攻の犠牲者は、公式発表でパナマ兵314人、同市民200人、米兵23人が死亡したとされてきた。だが5000~8000人が殺されたとの非公式推計がある。委員会はまず犠牲者遺族によるの「唯一登録記録」を作成、犠牲者数を正確に割り出す。
プラネル委員長は、「米政府にパナマ侵攻に関する機密文書の公開を求める」と述べ、パナマ外務省は外交支援を約束した。委員長は「犠牲者遺族らが侵攻時の記憶を鮮明に維持しているのに励まされた。四半世紀以上も隠されてきた史実を明らかにしよう」と語った。
「犠牲者遺族・友人の会」のトゥリニダー・アヨーラ会長は、侵攻時にパナマ軍士官だった夫を殺された。「長い闘争の結果ここまで来た。正義を勝ち取った。さらなる闘いは痛ましいが、結論を出すまで進む。委員会が形式的なものになってはならない」と述べた。
委員会発足の式典を主催したイサベル・サンロマン副大統領兼外相は、「真実を知らずに和解はない。パナマは傷を癒し、国民和解に向かう」と語った。
委員会を、国連開発計画(PUND)、国連高等弁務官事務所などが支援する。
▼ラ米短信 玖米両国は7月20日、国交再開1周年を迎えた。玖外務省のホセフィーナ・ビダル米国局長は、「オバーマ大統領任期中に、後戻りできないほどの前進が必要だ。米国がクーバ支配の野望を捨てない限り、真正常化はありえない」と述べた。
玖政府はたとえば、米国の対玖謀略マルティ放送の打ち切りを求めてきたが、米側は「玖人権状況改善のため必要な手段」とのべ、廃止に応じない。
一方、米財務省は20日、米フェデラル・エクスプレス社に対玖貨物便運航を認可した。運航開始は来年1月15日。
▼ラ米短信 ニカラグアで7月19日、ソモサ独裁を倒したサンディニスタ革命(1979年)の37周年記念日行事が催された。ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領、エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領、クーバのミゲル・ディアスカネル第1副議長ら外国代表団も出席した。
この日公表された最新の次期大統領候補支持率調査結果では、ダニエル・オルテガ現大統領が44%。8%が「オルテガ以外の候補」、26%が「誰も支持しない」、22%が無回答だった。
大統領選挙は11月6日実施される。任期は5年。オルテガは連続3選を目指している。
一方、オルテガが推進している「ニカラグア大運河」建設工事だが、施工会社HKND(香港本社)が予定していた「2019年12月の運河試験通航」は遅れる見通しになった、と伝えられる。