2016年11月21日月曜日

~~波路遥かに2016・10~11月~第2回アイスランド~

 オーシャン・ドゥリーム号は10月9日、アイスランド北岸沖の、北極海外縁部に入り、北緯66度付近を航行する。そして10日未明、曇り空が突然晴れ、頭上に北極星と北斗七星が輝き始めて間もなく、私たちは幻想の世界に招き入れられた。

 北極の方面から白い光の帯が縦に何本も垂直に打ち上がり、両側の2本が高速度で伸びてきて、太い光になった。オーロラである。乗船していたアイスランド人専門家は「北の光」と呼んでいる。日本語では「極光」。北極光だ。南極光もあるからだ。

 この航海最大の見ものが叶えられた。船の西側に高く太く迫ったオーロラの先端は、カーテンのように巻いて、ちりちりと燃えてゆく。何という光景だろう! 生涯忘れることはないだろう。そしてオーロラはいったん隠れてから、再び現れ、今度は船の真上に厚い光の幕となって、私たちを歓迎した。

 夜が明けて、島国の西側の狭湾(フィーヨルド)に入る。鯨の群があちこちで塩を吹き、大きな頭と尾びれを何度も見せてくれた。鯨の上を海鳥が飛び交う。小魚に有り付こうとしているのだ。

 首都レイキャビックには2日間、滞在した。雨が降り続けた。ルター派教会の大聖堂前で良い取材ができた。1000年の伝統を持つ議会や、オーロラ博物館、伝承文学館も訪ねた。交通費を含め物価は高い。物資の多くを島外からの輸入に頼るからだろう。

 船の仲間である「おりづる」一行(広島・長崎被爆者と被爆語り部継承者ら)が市庁舎で市長と会い、学生たちの前で被爆体験を語る会合に私も出席した。

 レイキャビックから乗船した故トルーマン米大統領の孫も参加した。その後ニューヨークまで、彼と語ったり、彼の講演を聴くことになる。原爆を投下した米軍機の乗員の孫も乗っている。彼とも話すことになる。