2017年5月7日日曜日

 ローマ法王フランシスコがベネズエラに「真摯な対話」を求め、「不信と絶望に負けてはならない」と訴える。チリも話し合い解決支持。政府系・反政府系両派の女性が行進したカラカスでは、反政府武装組織を摘発。

 ローマ法王フランシスコは、ベネスエラの政府と反政府勢力に向けて、「真摯な対話の橋を架け、到達した合意を完遂する意志があれば、ベネスエラが直面している難題の解決は可能となる」と、書簡で訴えた。ベネスエラ司教会議が5月6日、明らかにした。

 法王は書簡で、「ベネスエラ情勢を憂慮しつつ見守っている。最近の衝突と暴力に胸が痛む」と表明。「双方が不信と絶望に打ち負かされないよう望む」と呼び掛けた。ベネスエラ司教会議は保守的で、反政府勢力寄りの姿勢が目立っているが、法王は中立の立場で書簡を書いている。

 スリア州政府は6日、州内ロサリオデペルハー市で市の施設やウーゴ・チャベス像が破壊されたことについて犯人を追及すると表明した。未確認情報では、容疑者14人が逮捕されている。州政府は、州内の彫刻家にチャベス像制作コンクールへの参加を求めている。1位の作品を、像が破壊された公園に設置する方針。

 政府は6日、首都カラカスで活動していた武装犯罪組織4団体を摘発、要員を逮捕し、さまざまな武器類を押収したと発表した。これらの組織は反政府勢力の側で、破壊活動や殺傷に関与した疑いがある。

 カラカスでは6日、政府側と反政府側の女性がそれあぞれ別々に大挙して行進した。赤シャツ姿の目立つ政府側は、「死に反対、平和に賛成」を叫び、白シャツ姿の反政府側は「抑圧反対」を訴えた。

 反政府側NGO「市民による安保・防衛・国軍規制」は、国軍の一翼を担うボリバリアーナ国家警備隊(GNB)の士官ら85人が、反政府勢力による街頭行動を規制する上官命令を拒否、逮捕されていると表明している。だが未確認情報。

 一方、エルネスト・サンペール元コロンビア大統領(前ウナスール事務局長)は5日、一定期間内の地方選挙と大統領選挙実施、それに備えた政党活動開始、国会の権限回復、の3点を打開策としてベネスエラに要請。「暴力を止めよう。過激主義はベネスエラを救わない」と反政府側に訴えた。

 ドナルド・トランプ米大統領は5日、ペルーのPPクチンスキ(PPK)大統領と電話で会談、「ベネスエラ問題に米秘は協働して対処する」と明らかにした。トランプはラ米首脳の中で、英語が堪能なPPKをワシントンに最初に招き、会談している。

 だがラ米では、PPKは亜国のマウリシオ・マクリ大統領に次ぐ保守・右翼色の濃い首脳と位置付けられており、そのうえPPKはベネスエラ駐在大使を引き揚げている。現状ではベネスエラが「米秘協働」に影響される可能性は極めて乏しい。

 チレのエラルド・ムニョス外相は5日ワシントンで、レックス・ティラーソン米国務長官と会談。その後、記者団に「ベネスエラ問題は交渉による解決を望む」と語った。ラ米もベネスエラ情勢をめぐって強硬派、穏健派、マドゥーロ政権支持派に分かれている。