ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月3日、政令で数週間以内に制憲議会(ANC)議員選挙を実施する、と告知した。大統領はチャビスタ(政府支持派)に対し、棄権者が出ないよう組織を開始するよう呼び掛けた。
保守・右翼野党連合MUDを中核とする反政府勢力に対しては、「改定憲法が将来の選挙の基盤になる。多数派を自認する野党は選挙実施を要求しているが、ANC議員候補を立て、多数派であることを示せ」と促した。
マドゥーロはさらに、「チャベス派はANCで、2015年の釘(国会議員選挙での惨敗)を抜き、ボリバリアーナ勝利の道を復活させる機会を得る」と強調。「ミシオネス(各種社会政策)を廃止できないよう憲法に盛り込む。改憲で暴力か平和かを選ぶことができる」と述べた。
国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ議長は政令を受けて、「ANC選挙で難題解決のための国民対話の場ができる。きょう始まった改憲への新しい過程は国を安寧に導き、誰にも幸いする」と指摘した。
デルシー・ロドリゲス外相は、前日のCELAC外相会議でベネスエラ対話促進協力国にエル・サルバドール(CELAC議長国)、ドミニカ共和国(同前議長国)、ニカラグア、セントヴィンセント&グラナディーンの4カ国が決まった、と発表した。
反政府勢力の抗議行動と、その前衛に位置する若者たちの別働隊の行動は3日も首都チャカオ区アルタミーラを中心に展開され、治安部隊ともみ合った。一人が死亡、火炎瓶を受けた別働隊の若者1人を含む約170人が負傷した。
別働隊は投石や火炎瓶で治安部隊を攻撃した。野党所属のチャカオ区長は区警察に別働隊を規制させず、別働隊の背後を護衛に守られて行進した。それがビデオで流された。
別働隊は治安部隊を攻撃して挑発、規制される様子を「弾圧」としてビデオに収め、内外にユーチューブで流す戦術をとっている。これにより国際社会での反マドゥーロ政権世論を醸成、打倒しようという戦略だ。
4月初めから5月3日までの街頭破壊行動での死者は34人、負傷者は700人に上る。一部には治安部隊の行き過ぎた規制行動も指摘されるが、ルイサ・オルテガ検事総長は3日、米WSJ紙によるインタビューで、「国家が遵法でないと、市民に合法行動を要求できない」と語った。
ルイス・モッタ電力相は、反政府地下勢力による送電塔など電力施設への破壊活動が起きていることに関し、「改憲で電力施設破壊者への刑罰を厳しくすることができる」と表明した。
一方、亜国人左翼でパルラスール(南部共同市場加盟国議会)議員のオスカル・ラボルテは、4月末にワシントンでマクリ(亜国大統領)とトランプが会談したことについて、トランプは亜伯両国軍を使ってベネスエラを攻めたい考えではないか、と述べた。
▼ラ米短信 ◎プエルト・リコが財政破綻
米植民地(米自由連合州)プエルト・リコ(PR)のリカルド・ロセジョー知事は5月3日、負債730億ドルを抱え財政が破綻した、と発表した。返済期限は2日で切れていた。
PRは6月11日、PRを米国の正式な一州にするか、独立するかの島民投票実施を予定している。だが財政破綻で実施が危ぶまれている。
▼ラ米短信 ◎パナマ運河第3水路を初の旅客船が通航
パナマ運河庁(ACP)は5月2日、世界最大級のコンテナ運搬船コスコ(1万3425個積載)がパナマ運河第3閘門式水路を太平洋側からカリブ海へと通航した、と明らかにした。
また4月29日には、米超大型旅客船デズニーワンダー号(乗客2700人)が第3水路を、旅客船として初めて通航した。米フロリダ州カニャベラル港から加州サンディエゴ港までの2週間の航海途上だった。
第3水路は去年6月26日に営業が開始され、一日平均5・9隻が通航している。旅客船通航は4月1日から通航受付が始まっていた。10月からの18年度には超大型旅客船18隻が通航予約済みという。