2017年5月31日水曜日

 ロシア政府が「ベネズエラ情勢は積極的対話で打開を」と表明、米州諸国機構(OEA)外相会議を牽制。マドゥーロ政権は制憲議会(ANC)開設過程を推進。欧州知識人は「奴らを通すな」と、ファシズムを糾弾。反政府側は欧州議会に支援要請 

 米州諸国機構(OEA)は5月31日ワシントンの本部で特別外相会議を開き、ベネスエラ情勢の打開策を討議する。この日、ロシア外務省は、「ベネスエラが内戦を回避するための唯一の方策は積極的対話だ」と表明、OEAを牽制した。

 反政府勢力の中核である保守・右翼野党連合MUDを代表するフリオ・ボルヘス国会議長(右翼政党PJ所属)は31日、欧州議会を訪れ、ニコラース・マドゥーロ大統領のベネスエラ政権に制裁を科すよう要請した。MUDはOEA外相会議に合わせて31日、カラカスのベネスエラ外務省に大規模なデモを仕掛けることにしている。

 これに対しマドゥーロ大統領は31日、制憲議会(ANC)議員選挙に向けて動き出す。大統領は30日、「ANC開設は、一大国民対話促進と、ボリバリアーナ革命の成果維持強化のためだ。帝国主義枢軸諸国に反革命攻撃を受けているベネスエラに、新しい連帯のうねりが国際社会で起きている」と強調した。

 ANC開設のための戦略・宣伝を担当するホルヘ・ロドリゲス首都リベルタドール区長(デルシー外相の実兄)は、「ANCへの提言が既に1万5000件受理されている。さらに提言を集めるため、電話や電脳機器(社会メディア)を使おう」と呼び掛けた。

 スペインとラ米の保守・右翼系の元政府首班25人が参加するクラブ「エスパーニャ・アメリカス民主提言」(IDEA)は30日、OEA外相会議に向けて、反ベネスエラの旗頭ルイス・アルマグロOEA事務総長(前ウルグアイ外相)を支援するよう訴えた。

 これに対し、欧州の左翼知識人たちはハンブルクで26日、「ノ・パサラーン宣言」を発表している。1936~39年のスペイン内戦中、フランコ・ファシスト叛乱軍を阻止するという意味で「奴らを通すな」と人民戦線側が合言葉のように叫んでいたのに因む。

 ベネスエラ内務省は29日、首都圏、スリア州など全国43カ所で監視カメラが破壊された、と明らかにした。ロドリゲス・リベルタドール区長は同日、「反政府勢力過激派は資金を与えて犯罪集団を組織し、国内要所を狙って武力行動をさせている」と非難した。

 一方、米ゴールドマンサックス社は29日、ベネスエラ国営石油PDVSAの債券28億ドルを購入した。ベネスエラ政府はまた、南アフリカと、ベネスエラ国内でのダイアモンド採掘協力で合意した。