11月19日実施のチレ大統領選挙に出馬する主要候補が7月2日、大方出そろった。この日の党派別予備選挙で、保守・右翼陣営「チレ・バモス(チレよ進もう)」のセバスティアン・ピニェーラ前大統領は58%を得票、マヌエル・オサンドーン上院議員らに圧勝した。
左翼の「拡大戦線」(FA)は、放送ジャーナリストのベアトゥリス・サンチェスが得票率67%で、社会学者のアルベルト・マジョールを退けた。
一方、政権党連合「ヌエバ・マジョリア(新多数派)」は4月、統一候補擁立をめぐって亀裂が深まり、中核のキリスト教民主党(DC、中道・保守)は、カロリーナ・ゴイッチ上院議員を擁立。これに対し、もう一つの中核、社会党(PS)など左翼諸党はアレハンドロ・ギジエル上院議員を選んだ。
政権党連合は1990年3月の民政移管時からDCが2度、PSが3度、大統領を出してきた。現職のミチェル・バチェレー大統領は2期目で、PS党員。DCは今度は我が党からと、逸早くゴイッチを指名した。
結局、「新多数派」は統一候補を決める予備選を開けなかった。8月19日の出馬締め切りまでに、ゴイッチとギジエルが討論会などを通じて一本化できるかどうかが鍵となる。
「新多数派」が分裂したしたまま両候補を立てれば、ピニェーラ前大統領の当選が容易になる。現時点ではピニェーラの決選進出は堅いと見られ、対立候補はゴイッチ、ギジエルのいずれかになるもよう。進出が難しい左翼FAは、決選では「新多数派」支持に回る公算が大きい。
ピノチェー軍政が終わって27年、チレの政情は「軍政後時代」を抜け出し、ピニェーラが代表する新自由主義路線と、「新多数派」の新自由主義+社会政策路線が競い合う型になっている。