2017年7月21日金曜日

 ベネズエラ政府は反政府野党連合を封じ込め、トランプ米政権を牽制しつつ、30日の制憲議会議員選挙に向かう▼アルゼンチン・メンドサ市ではメルコスール首脳会議に対抗する「人民サミット」が開かれ、ベネスエラを支持

 ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDは7月20日、全国各地で反政府ストライキを打ったが、多くは当局に封じ込められた。政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV、ペスーブ)のディオスダード・カベージョ副党首は同日、「野党のストは失敗した。(制憲議会=ANC=開設に関し)政府が野党と交渉することなどありえない」と述べた。

 副党首はまた、米国のベネスエラへの内政介入を糾弾。「米国は、ベネスエラが小国ながら自由で主権を持つ独立国であることを認識せねばならない」と、トランプ米政権を諌めた。だが、「我々は根っからの反米帝国主義者だ。トランプこそ、MUDの首領だ」と非難した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は20日、「善く生きる共同体休暇計画」が31日、ANC議員選挙大勝利を祝いつつ始まる、と述べた。30日の選挙の翌日から休暇期間を始め、ANC選挙に反対する反政府勢力を懐柔する戦術だ。

 ベネスエラは20日カラカスで、ベネスエラでのダイアモンド鉱開発協力に関し、アンゴラ国営ダイアモンド会社(ENDIAMA)と基本合意書に署名した。双方は、合弁会社設立などで交渉を開始する。

 基幹産業省は、16年の輸出が5億ドルだったと明らかにし、17年は10億ドルに達する見込みと発表した。同省は、鉄鉱石採掘、製鉄など非石油部門を扱う。

 一方、亜国中西部アンデス山麓のメンドサ市で20日、南部共同市場(メルコスール、MS)外相会議が開かれ、宙づり状態にあるベネスエラの加盟資格問題などについて話し合った。会議後、ホルヘ・ファウリエ亜国外相はメディアに、「ベネスエラに民主はなくなった。ウスアイア議定書を適用し、同国を<無期限資格停止>とする可能性がある。事実上の除名処分だ」と述べた。

 MSは21日、同市で首脳会議を開催、亜ウルグイア伯パラグアイの加盟4カ国、準加盟国ボリビア、協賛国チレの6カ国大統領が出席する。ベネスエラ大統領は招待されていない。

 これに先立ち20日、メンドサ市の国立クヨ大学芸術学部で「人民対抗サミット」が開かれた。左翼・進歩主義団体、労働組合、「五月広場の母たちの会」、知識人らが参加、共同宣言を発表した。

 マドゥーロVEN政権とANC開設支持、VENのMS加盟資格剥奪反対、テメル伯非合法政権糾弾、ボリビア領海回復支持、亜国マルビーナス諸島領有権支持、長期間獄中にいる亜国先住民女性活動家ミラグロ・サラ解放要求などが盛り込まれている。

 ベネスエラのカルロス・マルティネス駐亜大使は参加し、「ラ米が今日直面しているのは新自由主義経済路線復活だけでなく、再植民地化の動きだ」と述べ、マドゥーロ政権支持を要請した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領はニカラグア革命記念日に出席した19日、ハバナを訪問、ミゲル・ディアスカネル第1副議長と会談した。玖共産党機関紙グランマは20日、モラレスが「米国はラ米をシリアやアフガニスタンのようにしたがっている。ベネスエラの原油を狙っている」と語ったと報じた。

 モラレスは20日ハバナを出発、MS首脳会議出席のため、亜国メンドサに向かう。対抗サミット主宰者は21日、モラレスに共同宣言文書を手渡すことにしている。