革命家エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)は無類の写真撮影好きだった。日記や手紙を書きまくったように、人生や事象の記録としてシャッターを押していたのか。
革命初期の新国家建設の様子を映し出した場面は貴重だ。最初の妻イルダと訪れたメヒコ・ユカタン地方のマヤ遺跡の写真も印象深い。
「自撮り」が多いのは、自らの風貌へのナルシシズムがあったからかもしれない。再婚した妻アレイダがしばしば登場する。
メヒコ市滞在中の1950年代半ば、母国アルヘンティーナ(亜国)の国営通信社の依頼で、汎米競技大会の競技、選手たちの躍動などを間近で撮影した、玄人顔負けの見事な写真もある。
チェ・ゲバラが撮影した放浪時代のグアテマラ、メヒコ、革命後のクーバ、外遊先のエジプト、インド、日本、インドネシアなどの写真、および亜国での青年期から、ボリビア遠征前の1966年に至るまでにセルフターマーで取った「自画像」類を合わせた240点が、間もなく日本人の審美眼や思考を刺激することになる。
この写真展に合わせて初来日したゲバラの長男カミーロ・ゲバラ=マルチ(55)=チェ・ゲバラ研究所コオディナドール=も、趣味で写真を撮る。滞在していた新宿マンハッタンの街並みをパチリパチリやっていた。
カミーロは、父親が1959年7月、玖革命政府外交特使として来日した折、訪れた広島を6日の原爆記念日に訪問、式典に参加する。カミーロに東京でインタビューしたが、これは、いずれ記事として発表する。
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写真展「写真家チェ・ゲバラが見た世界」 8月9~27日1100~2000、恵比寿ガーデンプレイス、ガーデンルームで。
前売り券800円。当日売り一般1000円、大学生・専門学生800円。高校生以下無料。
入場券問い合わせ 050-5533-0888。展示会問い合わせ 03-5781-7610