スペイン・バスコ(バスク)州の独立派武闘地下結社「エウスカディ・タ・アスカタスナ」(バスコ国と自由)は5月2日、新聞や政治家らに送付した書簡で、組織解体を宣言した。書簡は今年4月16日付。
1958年にバスコ民族主義者党(PNV)の青年組織として発足してから60年。書簡は「ETAの歴史的時代は終わった」と述べている。
ETAは60年代以降、計853人を殺害したとされる。ETA要員も多数殺害されたり、投獄されてきた。
書簡には「西仏両政府の理解は依然、得られていないが」と記されている。ETAは書簡で、殺害した犠牲者、遺族に謝罪している。これに対し両国政府は、謝罪は遅すぎたと表明した。ETAはピレネー山脈両側の西仏バスコ地域に拠点を設けていた。
ETAは、政党化して政治に参加する意図はない、としている。ETAはフランコ独裁時代は、内外の民主派から広範な支持を得ていたが、フランコが1975年11月に死去、やがて民主化過程が軌道に乗ると、「破壊活動組織」などと非難されるようになった。
スペインの政治評論家は、「コロンビアのFARCと違い、ETAには社会復帰し政治参加する立場にない」と指摘する。
【筆者はフランコ時代末期に仏国側バスコ地域でETA幹部にインタビューした。拙著『イベリアの道』(1995年、マルジュ社)、同『ボスニアからスペインへ 戦の傷跡をたどる』(2004年、論創社)を参照されたい。】
▼ベネズエラ大統領が「武装蜂起も辞さない」と牽制
5月20日の大統領選挙での再選を目指すニコラース・マドゥーロ大統領は2日、バルガス州カリブ海浜での演説で、「選挙の結果、国富を米国に渡す政府が現れたら、私はライフル銃を手に人民と共に戦いを挑む」と述べた。
これは、べネズエラ通貨をボリーバルに替えて米ドルにすると公約するヘンリー・ファルコン候補への牽制発言。ファルコンはチャベス派と袂を分かった政治家で、マドゥーロに次ぐ有力候補。
ファルコンは2日、過去19年間(故ウーゴ・チャベス前大統領14年、マドゥーロ5年)で今はチャベス派に勝つ最大の好機だ、と指摘した。
一方、米州諸国機構(OEA)は2日、ワシントン本部での大使会議で、「ベネズエラ問題」を6月4~5両日同地で開催される第70回総会(外相会議)の議題とする提案を賛成19、反対6、棄権5、不参加4で可決した。
「反マドゥーロ派」の米加墨グアテマラCRコロンビア秘智パラグアイ亜伯セントルシーアの12カ国が共同提案していた。同12カ国は、「20日の大統領選挙で生まれるベネズエラ政権を非合法と見なす」という決議案をも提案する準備を進めている。
これに対しVENのサムエル・モンカーダOEA大使は、OEA憲章にある「内政不干渉原則」を盾に、12カ国の画策を糾弾した。
この日、米国のOEA大使に就任したカルロス・トゥルヒージョ(反革命キューバ系3世)は、「ベネズエラはOEAを去るべきだ。ただし自発的にではなく」と述べ、VEN追放が望ましいとの考えを示した。
その就任式でマイク・ペンス米副大統領は、「かつてVENは南米一豊かな国だったが、今や地域で最も貧しい国の一つに成り下がった」と口にした。