▽▼▽イランのムハーマド・アフマディネジャド大統領は1月8日夜、ラ米歴訪の最初の訪問国ベネズエラの首都カラカスに到着した。9日、ウーゴ・チャベス大統領と会談し、これまでに調印された68の協定の実施状況を検証した。
会談後の記者会見で、チャベスは、「我々は、米帝国とその同盟諸国による主権国家群への絶望的、非理性的、かつ残虐な蹂躙行為を憂慮している。いかなる国も他国を侵略する権利は持たない」、「この地で、リビア人民蹂躙とカダフィ元首暗殺を、無力感を持って見守るしかなかった」、「今や帝国の砲列は、我々の友邦シリアに向けられている。シリア情勢を伝えてくれるあなた(アフマディネジャド)の来訪は時宜に適っている」と述べた。
両大統領は10日、ニカラグアの首都マナグアに飛び、ダニエル・オルテガ大統領の連続2期目の就任式に出席する。チャベスは11日帰国するが、イラン大統領は同日キューバを訪問し、ラウール・カストロ議長との会談後、ハバナ大学で講演する。
次いで12日、エクアドールに行き、ラファエル・コレア大統領と会談する。同国のリカルド・パティーニョ外相は9日、「イランは平和政策を維持している」と前置きし、「我が国は米国の干渉は受け入れない」と述べ、対イラン外交を規制しようとする米国務省の干渉をはねつけた。
一方、米国務省は9日、グアテマラ政府に対し、アフマディネジャドに国際義務を守るよう強いメッセージを発するべきだと伝えた。同政府は10日現在、イラン大統領が14日のグアテマラ大統領就任式に出席するかどうかは未確認としている。だが米側の警告は、イラン大統領がエクアドールからグアテマラ入りする公算が大きいことを示唆するとも受け取れる。
イランの「核開発疑惑」をめぐり敵対政策を取り続ける米国はいま、イランによるホルムズ海峡閉鎖の可能性が浮上していることから、同国への圧力を一層強めている。そんなワシントンを横目に、アフマディネジャドはラ米歴訪を開始したわけだ。
米政府は8日、マイアミ駐在のベネズエラ領事リビア・アコスタ=ノゲラを「好ましくない人物」として追放処分にした、と発表した。イラン大統領のベネズエラ入りに合せた発表だった。
同領事は、昨年12月のスペインテレビ「ウニビシオン」の報道番組によると、在メキシコ大使館に2等書記官として駐在していた07年、米国の核施設にサイバー攻撃をかける陰謀に関与したという。米政府はこの番組内容を「深刻に受け止めた」と、伝えられていた。
オバマ政権は、イランとともにベネズエラにも圧力をかける作戦だが、11月の米大統領選挙をにらんだ戦略であるのは疑いない