☆★☆月刊総合誌「世界」(岩波書店)3月号(2月8日発売)が、キューバ庶民の生活状況を克明に伝える興味深いルポルタージュを掲載している。工藤律子・篠田有史コンビの記事。このところ3回、この二人の仕事を紹介したが、たまたま同時期に掲載が続いた結果である。
ラウール・カストロ議長の現体制は、市場原理を導入しての経済改革を徐々に進めつつある。傍目には極めて慎重な改革と映るが、長年、<平等主義>社会に生きてきたキューバ人にとっては、決して微々たる変化ではない。日常生活に、もろに響くからだ。
その<変化の波>に上手に乗った者、乗れない者の生活格差を、ルポは浮き彫りにする。
このようなマクロの状況を見据えつつミクロに焦点を当てていく手法は、ジャーナリズムの一般的な状況への接近法であるが、キューバ社会の実態を押さえるのに不可欠な手法だ。
1年後、2年後に、ルポの続報を読みたいものだ。