2012年3月31日土曜日

メキシコ大統領選挙戦始まる

▼▽▼メキシコ大統領選挙は7月1日実施されるが、3月30日、公式の選挙戦が始まった。任期6年の政権を目指して6月27日まで激戦を繰り広げる。事実上、主要3候補の三つ巴の戦い。

▽世論調査で優勢を維持しているのは、2000年まで長らく政権にあった制度的革命党(PRI=プリ、民族主義右翼)のエンリケ・ペーニャ=ニエト前メヒコ州知事(45)。次いで、現政権党・国民行動党(PAN=パン、カトリック系新自由主義右翼)のホセフィーナ・バスケス=モタ元下院議員(51)および、民主革命党(PRD=ペエレデ、民族主義左翼)のアンデレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(AMLO=アムロ)元メヒコ連邦地区長官(58)。

▼メキシコ大統領選挙では不正が横行し、1988年の選挙ではPRDのクアウテモク・カルデナス候補が実際は勝ちながら、開票操作によってPRIのカルロス・サリーナス候補に勝利を奪われたとされる。2006年の前回は、AMLOが実際は勝ったが、開票操作でPANの現大統領フェリーペ・カルデロンが勝ったことになった。いずれの不正も、極めて信憑性の高い定説だ。

▽問題点は、ラ米の多くの国にある決選投票制度がないこと。長年PRIが常勝していたため不要だったのと、3党拮抗状態になってからは比較1位に勝たせるため決選は都合が悪いこと、による。決選があれば、得票2,3位候補が連携して容易に政権を奪うことが可能になるからだ。

▼前回、決選制度があったならば、AMLOとカルデロンの双方に勝利の機会はあり、どちらが勝っても、すっきりした勝ち方になったはずだ。

▽たとえば、今回12年ぶりに政権奪回を狙うPRIのペーニャ=ニエトが50%以上の得票で勝てば問題ない。だが1、2位が票差の極めて少ない接戦となれば、前回の不正工作のような事態が起きかねない。カルデロンは政権に就いた後、改憲による決選投票制度導入を一時考えたが、実らなかった。

▼有権者は8000万人だが、いつも棄権率が高い。このため3分の1強の得票で当選しても、有権者の20~25%程度の支持しか持たないことになる。これがメキシコ大統領選挙の問題点だ。