ベネスエラでは2月26日開かれた「平和国民会議」(CNP)の決定を受けて27日設置された「平和のための経済委員会」が動き始め、従来疎遠だった政府と財界との対話の回路が開かれた。
政府の側にある軍部に次いで、財界が政府と協調姿勢を取り始めたことから、極右政党、外国保守政権および内外右翼メディア、およびこれに踊らせている感のある学生らによる、政変を狙う不安定化の言動も次第に勢いを失いつつある。
「経済委員会」で、大手企業社長は27日、輸入代替製品の国産化を促すため政府の価格統制と従来の外貨管理を見直すのを骨子とする12項目を提案した。この会合には企業家600人が出席した。
ニコラース・マドゥーロ大統領は28日、CNPを常設機関とし、その決定事項の実施機関として、「政治委員会」の設置を決めた。この委員会は、野党や学生代表が対話に応じれば、その対話の場ともなる。
野党連合MUDは、財界が政府との対話に積極的になっているのに危機感を抱き、対話派と、強硬対決派の間の溝が拡がりつつある。
大学生連盟は、刑務所に収監されている極右政治家レオポルド・ロペスの釈放を求めており、3月1日には、首都郊外の刑務所前にバイクデモをかけた。ロペスは逮捕前に政変を呼び掛けており、扇動罪などで逮捕された。
一方、エリーアス・ハウア外相は月末にボリビア、パラグアイ、ウルグアイ、アルヘンティーナ、ブラジル、スリナム、ガイアナを歴訪した。パラマリボでは、南米諸国連合(ウナスール)の輪番制議長Dボーターセ・スリナム大統領に、ベネスエラ情勢を協議するためウナスール緊急首脳会議を開くことを要請し、了承された。
これに対し、米国、パナマ、ペルーなど保守陣営は、米州諸国機構(OEA)外相会議での協議を主張している。ベネスエラや、メルコスール諸国の大勢はウナスールでの協議に賛成している。
ハウア外相は28日、ガイアナのジョージタウンで記者会見し、「学生デモ」には「統一ベネスエラ行動青年」(JAVU)など極右破壊活動集団が紛れ込んでいると述べ、反政府行動の実態を知るべきだと注意を喚起した。
外相は帰国後、バレンシアで28日、警備中の国警隊員一人がデモ側から眼を撃たれ死亡した事件を内外メディアがほとんど報じないとして、メディアの偏向報道を厳しく批判した。
5日は、腰部癌で死去した故ウーゴ・チャベス大統領の一周忌。政府は大掛かりな行事を予定している。これに対し、学生らはあくまで揺さぶりをかけていく方針だ。