安倍晋三首相が7月25日から8月2日までメヒコ、トゥリニダード・トバゴ(TT)、コロンビア、チレ、ブラジルを歴訪する。ロシアのウラディーミル・プーチン大統領と、中国の習近平主席のラ米歴訪直後の訪問だけに、いつになく関心を集めている。
TTとコロンビアへの日本の首相の訪問は初めて。特に注目されている訪問先はTTとブラジルだ。
27~28両日のTT訪問では、首都ポートオブスペインで、カリブ共同体・共同市場(カリコム)14カ国首脳と会合する。
最終訪問地ブラジルでは、日本のラ米・カリブ政策を打ち出すとともに、ブラジルに対しては海底油田開発用の「スーパーリグ」建設援助を伝える。全長300m、幅100mの超大型リグで、総工費は約5億ドル。日本の原油輸入先多様化戦略の一環でもある。
メヒコ、コロンビア、チレは、新自由主義経済政策を採る「太平洋同盟」(AP=アペ)加盟国。今回訪問しないペルーとともにAPECとの関係強化を促進している。コロンビアはAPEC未加盟だが、首相が加盟支持を打ち出す可能性がある。
プーチンはクーバ、ニカラグア、アルヘンティーナ、ブラジルを歴訪し、ブラジルでのBRICS首脳会議に出席した。習近平はBRICS出席とブラジル訪問の後、亜国を訪れ、現在ベネスエラとクーバを訪問しつつある。
中露首脳の歴訪は、明らかに世界外交における対米牽制の狙いがある。安倍訪問は、「集団的自衛権」という軍事面突出で、弱さがあらためて明るみに出た日本外交が「健在」であることを印象付ける狙いがある。
同時に、ラ米で疎かになっている米外交を補う目的もある。