メヒコ・ゲレロ州イグアラ市で2014年9月26日、教員養成学校生43人が強制失踪させられた重大事件の発生から2月26日で1年5カ月が過ぎた。この日、学生たちの親と支援者は、北東端のタパウリパス州の対米国境東端の街マタモロス市で、事件解明を求める運動を展開した。
このため事件後、毎月26日に首都メヒコ市で展開されていた抗議行進は、この26日には行なわれなかった。
エンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)大統領は24日、国旗制定記念日に際し、イグアラ市駐屯の陸軍第27大隊基地での式典に出席、演説した。イグアラ市は、1821年に「イグアラ計画」と呼ばれる独立綱領が策定された地。
この史実に立ってEPNは、「イグアラは歴史的に重要な地であり、いつまでも悲劇的事件と結び付けられたままであってはならない」と述べ、暗に43人失踪事件との関連付けに不快感を表明した。
これに対し、人権団体やメディアは、「政府は事件解明の責任を果たさずに事件を忘れ去りたがっている」と厳しく批判している。
大統領が演説した陸軍大隊はまさに、43人失踪の事件当日、事件に関与した疑いがもたれている。だが政府は、同大隊への直接的な捜査を認めていない。このためせ内外世論は、政府には事件解明に意志がない、と糾弾している。
ある新聞は、「大統領は犯罪者を咎めず、自分の名誉を傷つける相手を咎めようとしている」とEPNを切り捨てている。
一方、24日はミチョアカン州でホセ=マヌエル・ミレレス医師が率いた自警団発足の3周年記念日。自警団は州内36市を麻薬マフィア「聖堂騎士団」から17ヶ月間解放した。
だが、市民武装団が治安を回復したのに驚愕したEPN政権は、自警団を抑え込んだ。指導者のミレレスは2014年6月末からソノラ州エルモシージョ市の刑務所に収監されてきた。陸軍用の銃器を不法所持した、という容疑でだ。
ミレレス釈放を求める弁護士らは26日、ミレレスが自警団結成3周年を機に獄中から電話で発した声を公表した。その中でミレレスは、「政府は我々を裏切り、我々を武装解除し、犯罪組織に身を晒させた。記念日に祝うことなど何もない」と語っている。
また、「我々は36市を17ヶ月間も解放していたのに、連邦警察、州警察、市警、陸軍部隊が居る州都モレリアでは毎日20人が殺され、車100台が盗まれ、強盗事件が頻発している。なぜだ」と政府当局を批判した。
ミレレスを描いたメヒコ・米国合作の映画「カルテルランディア」(邦題「カルテルランド」)については、公開された時、私は既に刑務所にいたとして「観ていない」と述べた。