2016年3月11日金曜日

ペルー大統領選挙まで1カ月、有力2候補が失格へ

 ペルーの国家選挙審議会(JNE、審議員5人)は3月9日、大統領選挙の有力候補2人を失格と判定した。一人は支持率調査で2位に着けていたフリオ・グスマン候補(45、「皆、ペルーのために」TPP)で、「TPP党内で大統領候補を選ぶ際、民主的でなかった」というのが理由。

 もう一人は、3月初め4位だったセサル・アクーニャ候補(63、「進歩のための同盟」APP)。選挙戦中、有権者に現金を渡したため。アクーニャはJNE判断を受け、出馬を取りやめる。グスマンは「3日以内に異議を申し立てる権利」を行使したが、判断が覆る可能性は極めて乏しい。

 有力2候補がこのような結果となったのを受けて実施され10日発表された緊急支持率調査では、昨年来ずっと1位を突っ走ってきているケイコ・フジモリ(40、「人民勢力」FP)が37%に上昇した。ケイコにとっては、最大のライバルと見なされていたグスマンが窮地に陥ったことで有利になったと受け止められている。

 2位には昨年まで2位だったペドロ=パブロ・クチンスキ(77、「改革目指すペルー人」PPK)が復活し、14%。3位は、アルフレド・バルネチェア(63、「人民行動党」AP)9%、4位は、ベロニカ・メンドサ(「拡大戦線」FA)で8%。3期目を狙うアラン・ガルシア前大統領(「人民同盟」AP)は7%で、5位。

 選挙(第1回投票)は4月10日実施されるが、過半数得票者は出そうもなく、上位2候補による6月5日の決選が実施される公算が大きい。

 問題は、JNEが恣意的になれば、ケイコ以下の全候補が振り落とされる可能性があることだ。各陣営は、やや疑心暗鬼になっている。

 一方、米州諸国機構(OEA)の選挙監視団は11日にはリマに集結、監視準備に入る。監視団幹部は非公式ながら、選挙まで1カ月の時点でJNEが候補者を失格させることができるような制度の存在に疑問を表明している。