クーバの経済政策を指揮する経済・企画相が7月13日、マリーノ・ムリージョからリカルド・カブリーサスに交代した。カブリーサスは元駐日大使で、長らく貿易相を務め、現在は対外経済関係担当副首相。今後は経済・企画相を兼務する。
ムリージョは、ラウール・カストロ国家評議会議長が市場原理導入を公式に打ち出した2011年から、経済改革委員会の委員長を務め、14年から経済・企画相を兼務してきた。今後は委員長職に集中する。
今回の人事は、ラウール議長が8日、国会で経済状況について演説したことと無関係ではない。ラウールは演説で、今年下半期は輸出収入減少により資金難となるため緊縮措置を講じると表明した。
<経済戦争>を仕掛けられているベネスエラからの原油輸入量減少も影響している。政府は電力および石油の消費を抑制してゆく。シエンフエゴスにある玖VEN合弁製油所が120日間、操業を縮小することが12日公表されている。貿易収入源は、ニッケル、砂糖など一次産品の国際価格低迷によるという。
ラウールは、バラク・オバーマ米大統領が米ドルでの決済をクーバに認めると表明してから3カ月も経つのに、依然許可されていないと明らかにした。国内的には通貨ペソの購買力を増やすため、生活必需品の生産コストと低下の低減を図る。
議長はまた、改革の速度は諸問題への対応能力に懸かっている、と述べた。今月26日は「民族蜂起の日」(モンカーダ兵営襲撃記念日)だが、ラウールは「敗北主義を排し、革命を信頼しつつ、困難に立ち向かっていこう」と呼び掛けた。
8日にはまだ経済・企画相だったムリージョは国会で、歳入増大、輸入代替、食糧生産・輸入優先、小売商品供給、建築資材生産などを重点政策に掲げた。
観光産業は隆盛で、外国人は昨年350万人が来訪、今年は380万人と予測されている。米国人は昨年45万人だったが、今年上半期は前年同期比26%増の30万4000人だった。今や米国人はカナダ人に次いで多くなっている。米政府は6月、米航空会社6社にクーバ9路線就航を認可したが、今月7日には同8社に一日20路線を認可した。
ラウール議長は観光隆盛に触れながら、「にも拘わらず経済成長は今年上半期1%にすぎない」とこぼした。
一方ハバナで13日、米植民地プエルト・リコ(PR)の「ミシオン」(民間交流代表部)設立50周年の記念行事が、クーバ人民友好庁(ICAP)によって催された。出席者は、収監されて35年も経つPR独立派オスカル・ロペス=リベラ受刑囚の釈放を訴えた。
クーバ五輪関係者は12日、リオ五輪ではクーバ人選手120人が18競技に出場する、と明らかにした。メダル獲得数で上位20カ国に入るのが目標という。
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