2017年1月15日日曜日

エクアドルのラファエル・コレア大統領がG77議長に就任

 アクアドール(赤道国)のラファエル・コレア大統領は1月13日、国連発展途上77カ国グループ(G77、134カ国加盟)の議長に就任した。前議長国タイから引き継いだ。任期は1年。

 コレア議長は国連総会での就任演説で、「抱える議題は厖大だが、これを絞り込んで合意を見出し、国連内で南諸国の利益を代表するようになっていかねばならない」と強調した。
 
 コレアは、公正な世界秩序構築、途上国への関税障壁撤廃などによる公正な貿易、国連総会が決定権を持つようにする国連改革、南国民の全労働者の労働を保障する国際分業確立、「知的私有化」排除、などを訴えた。

 新議長は、「一部強国が多国間協議を拒否している状況の下で、G77は開発融資に関する合意獲得の道を探っている」と指摘、途上国への投資促進の必要性に触れた。

 さらに、エクアドール東部アマソニアでの米シェヴロン・テキサコ石油会社による環境破壊の実例を挙げつつ、「人権と環境を破壊する多国籍企業を制裁する措置を策定するべきだ」と主張した。

 また、「脱税と資金源隠しのための租税回避地は我々の最大の敵であり、対策を講じなければならい」と述べ、「彼ら(脱税者)が税金を払えば、ラ米では3200万人が貧困から脱出できる」と説いた。

 コレアは就任後、アントニオ・グテレス国連事務総長と会談、「実効ある多国籍企業制裁措置策定の必要性」に言及した。

 非同盟諸国会議議長国ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相はカラカスでコレア議長に祝福の言葉を贈り、「民族自決強化と植民地主義脱却」の必要性を伝えた。

 コレアはカラカスに本社のあるラ米多国籍TVテレスールに対し、「ラ米は依然、世界一貧富格差が激しい大陸だ。新自由主義経済政策は極端な少数富裕層と極度に貧しい多数の極貧層を生み出し、完全に失敗した」と批判。また「ラ米の進歩主義政権を不安定にする陰謀が続いている。NGOは右翼戦略に加担している」と非難した。

 コレアは1月15日、エクアドール大統領として施政10周年を迎えた。

▼ラ米短信  ◎コロンビア政府とゲリラELNが和平会合

 エクアドール北部のイバーラ市で1月13日、コロンビア政府と「民族解放軍」(ELN)の和平のための話し合いが行われた。事前発表により公然と話し合いがもたれるのは初めて。これまではエクアドールで秘密交渉が続けられていた。

 会談目的は、正式な和平交渉日程を決めること。二日目14日の話し合い終了後、政府代表は「実のある会合だった」と評価。ELNも「建設的だった」と述べた。

 会合には、和平交渉保障国のエクアドール、ベネスエラ、クーバ、チレ、ブラジル、ノルウェーの代表も出席している。

▼ラ米短信  ◎ベネスエラが軍民防衛演習を実施

 ベネスエラ政府は1月14日、首都カラカスをはじめ全国各地で軍民合同防衛演習「反帝国主義統合作戦サモーラ200」を展開した。

 オバーマ米大統領が13日、「ベネスエラは米国の安全保障上の脅威」とする15年3月発動した政令を1年間延長したのと、マドゥーロ・ベネスエラ政権に敵対的態度を示しているトランプ次期米政権に対し、国防による主権護持の立場を断固打ち出すため実施された。

 クーバから導入した「全人民戦争戦略」に基づき、国軍4軍兵士7万6000人、民兵10万2000人、労働者ら市民40万人が参加している。参加市民の大多数は、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)の党員。