玖米両国は1月12日ハバナで、「移民合意に関する共同宣言」に調印、これをハバナとワシントンで同時発表した。クーバ難民の米国への不法入国を禁じるもので、発表と同時に発効した。フリオセサル・ガンダリージャ玖内相とジェフリー・デローレンツ米臨時代理大使が調印した。玖国営テレビは番組を中断し、速報した。
米国はクリントン政権期の1994年9月、米国領土に査証無しで上陸した玖人難民(「乾いた足」)には自動的に滞在権を認め、米国内に1年以上居住すれば、永住権を与える特別措置を決めた。だがフロリダ海峡渡航中に米沿岸警備隊に拿捕された者(「湿った足」)は身柄をクーバに送還されることになった。
この94年移民規定は、1966年制定の米「キューバ調整法」に付帯されていた。同法は、米国に1年以上滞在すれば永住権を与えると定めている。不法入国を促す「乾いた足」政策はクーバ難民を積極的に迎える措置で、玖側は重大問題として破棄を要求していた。
事実、フロリダ海峡を越えて米国に向かう「筏難民」や、メヒコから米国に越境する「乾いた足」が急増した。海で遭難し死亡する者やメヒコで略奪されるなど危害に遭う者が絶えず、人道上も問題だった。
またラ米諸国の対米移住希望者や難民の間では、「クーバ人だけ優遇されている」と不満が渦巻いていた。
今後、査証を持たない玖難民は「人道的支援の必要者」を除き、全員クーバに送還されることになる。米国への移住は原則的に、両国間の移民協定に基づき、年間2万人ずつの合法移民だけとなる。
この日の「宣言」には、クーバ国外で国際任務として働く玖人医師の米国亡命を促し効果を挙げてきた米側の政策も破棄された。玖側は「頭脳奪取だ」と強く抗議していた。
オバーマ政権は20日の任期切れ直前に、今回の重要な駆け込み決定に踏み切った。米議会の反カストロ派の玖系議員たちは、「乾いた足」廃止に激しく反発している。
ハバナ市民からは、「手っ取り早い送金源送り出しの手段がなくなった」との声が聞かれる。「人道的、外交的に正しい措置だ」との意見もある。