」と ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月21日、日曜定例の全国向けTV番組で、4月以来の街頭暴力事件のビデオを数本流しながら反政府勢力の暴力を指摘、「ベネスエラが直面してきた幾波もの暴力テロリズム攻撃の背後には、ベネスエラを植民地化したいドナルド・トランプという帝国主義者の手がある」と非難した。
また南米右翼指導者の旗頭と位置付けられているマウリシオ・マクリ亜国大統領について、「ゴルペ(クーデター)を狙うベネスエラのファシスト暴力右翼を父親のように保護している」と扱き下ろした。
マドゥーロ大統領はまた、「平和に賛成し、ファシズム・暴力・憎悪に反対する大行進を23日、全国で展開する」と発表した。政権打倒を目指して街頭デモと暴力を止めない保守・右翼政党連合MUD指導下の反政府勢力の動員への対抗措置だ。
大統領は、「MUDは過去50日間、ナチファシズム型反革命の憎悪と暴力をばらまいてきた」と非難。「容疑者を何人も逮捕してきたが、(カラカス首都圏の)チャカオ区長ラモーン・マチャードとミランダ州知事エンリケ・カプリーレスは暴力集団の共犯者だ。同知事は自宅で暴力集団に武器、爆発物などを渡した。その証拠がある」と述べた。
さらに、「覆面した武装暴徒200~300人を治安部隊、当局、秩序に歯向かわせている」とカプリーレスを非難。「MUD内の民主派は暴力を糾弾し、平和情勢のため対話に応じてほしい」と呼び掛けた。マドゥーロは、オンブズマンと検事総長に、「政府は一致して正義を施そう」と求めた。ルイサ・オルテガ検事総長は、司法上の問題で政府を批判してきた。
大統領は「イデオロギー上の理由による暴力、不寛容、迫害を糾弾しよう」と訴え、「(米国で働く)ベネスエラ人の芸能人やスポーツ選手は、米政府に脅迫されてベネスエラ政府を非難している。同様の傾向が国際社会にある」と前置きし、「そのような在外同胞と話し合う用意がある。対話しようではないか」と呼び掛けた。
ベネスエラ政府を非難するブラジルのテメル政権については、「贈収賄で腐敗しきって崩壊しつつあるテメル・ファシスト政権に反対する伯人民に連帯する。くたばれテメル、伯人民万歳」と述べた。
マドゥーロは、「近日中に制憲議会(ANC)開設政策を明示する。これは後戻りできない政策だ」と強調。「投票に賛成、弾丸に反対」と叫んだ。
著名なジャーナリスト、ホセ=ビセンテ・ランヘールは21日、テレベン放送の日曜定例番組で、「ベネスエラは誰の目にも明らかなように、全人民に等しく影響を及ぼす重大な局面にある」と指摘。「この国には対話の文化が欠けている。MUDは対話を拒否しているが、好き嫌いに拘わらず、平和と和解は対話を通じてしか達成できない」と強調した。
また、「大統領は、対話の道が閉ざされたためANC開設の場を設けた。MUDとカトリック司教会議がANC対話を拒否しているのはいただけない」と批判した。
ランヘールは、著名なベネスエラ人映画監督ロマーン・シャルボーを番組に招き、インタビューした。監督は、「国内の右翼勢力は真実を歪め、反ベネスエラの虚偽情報を世界中に撒き散らしている」と指摘。「文化には重要な役割がある。我々は虚偽運動に対し闘わなければならない」と強調した。
さらに、「彼らは、外国の介入計画に従って内戦を起こそうとしている。だが失敗するだろう」とし、「ANCは対話による解決を探るが、MUDは解決を望まないからANICに反対している」と指摘した。
一方、ベネスエラ沖のカリブ海にある蘭領クラサオ(キュラソー) のベネスエラ国営石油PDVSA(ペデベサ)製油所で21日、火災が発生した。鎮火したがが、当局は放火を含め原因を調べている。この製油所は、中国などアジア市場向けの原油を日量33万バレル精製している。ベネスエラ原油は19日現在、1b=43米ドル。