文化人類学者・今福龍太(東京外語大学教授)が『クレオール主義』を水声社から3月新装出版した。私は、「週刊金曜日」6月2日号に、「<島国全体主義>からの解放の鍵は多文化・多民族主義」と題して、書評を書いた。「島国全体主義」は私の造語である。
限られた文字数で内容を紹介するため、私はラ米関係に的を絞った。クリオージョ、先住民族カリーベ人、ニカラグアの詩人ルベーン・ダリーオ(1867~1916)、モデルニズモ、ホセ・マルティ(1853~95)、「我らのアメリカ」、ネグリチュード運動などを本文から引っこ抜いて並べ、まとめた。全体主義の闇が狭い列島を覆おうとしている今、この本は市民に活路を与えるはずだ。そのことを書いた。金曜日誌を読んでほしい。
「週刊読書人」5月5日号は『クレオール主義』再・新刊に際し、「ポスト・トゥルース(真実)に抗って」という鼎談を特集した。この専門紙は、新刊書の紹介はもちろんのこと、第1面から2~3ページに及ぶ対談などの特集記事が素晴らしい。明石健五編集長は特に企画熱心で、毎号のように面白い企画を読ませてくれる。
鼎談には、今福龍太、中村隆之(大東文化大学講師)、松田法子(京都府立大学講師)が登場する。これは内容厖大で、さまざまな議論が展開されるため、全文を読まないと、鼎談の全体像は把握できない。読むのをお勧めしたい。