ペルーのオヤンタ・ウマーラ前大統領と、そのナディーン・エレディア夫人は7月13日夜、当局に出頭、18カ月間の予防拘禁に服した。法廷はこの日、夫妻を腐敗容疑で起訴している検察の要請を容れて、国外逃亡の可能性を封じるためとして予防拘禁を命じていた。
夫妻は、2011年の大統領選挙の選挙戦のさなか、伯建設最大手のオデブレシ(オデブレヒト)から300万ドルを選挙資金として受け取った容疑がかけられている。ウマーラはこの選挙でケイコ・フジモリを決選で破って当選、16年7月末まで5年間政権にあった。ウマーラは「政権を去ってから政治的迫害が続いている」と、暗にPPクチンスキ現政権を批判している。
ウマーラ陣営は2006年の大統領選挙時には、ベネスエラのウーゴ・チャベス大統領(当時、故人)から選挙資金を受け取った疑いがある。この時の選挙ではウマーラは、アラン・ガルシア(2期目、元大統領)に決選で敗れた。
そのガルシアもオデブレシから資金をもらった疑いで捜査されている。またアレハンドロ・トレード元大統領は同社からの巨額の収賄で起訴され逃亡、米国に潜伏中。ペルー政府は身柄引き渡しを求めている。
ブラジルでは12日、ルーラ元大統領がやはり建設大手OAS社からの収賄で9年半の禁錮判決を受けた。ウルグアイのホセ・ムヒーカ前大統領は14日、「法廷や報道が何と言おうと、貧困人民が君にはついている」と、ルーラ擁護を表明した。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ国営石油が米社と契約
国営PDVSAは7月14日、米ホリゾンタル油井掘削会社から13億ドルの投資を受け入れる契約を結んだ。向こう3年間にベネスエラ国内で油井200箇所を掘り、日量10万5000バレルの原油を増産する計画。現在のVEN原油生産は日量190万バレルと見られてる。これは最盛期より100万バレル少ない。
ホリゾンタル社は過去の契約に基づき既に、オリノコ油田で開発に参加している。ニコラース・マドゥーロ大統領は、新契約調印式で、外資が必要であり、投資を歓迎する、と述べた。また、ドナルド・トランプ米大統領と対等の立場で会談したい、と表明した。
一方、アントニオ・グテレス国連事務総長は14日、ベネスエラ政府と反政府勢力が即時融和するのが必要だとし、「言論の自由回復などが求められる」と指摘した。これに対しVEN外交当局は、「言論の自由」論は反政府勢力の主張を丸のみしたものと批判した。言論の自由があるからこそ、反政府メディアは連日、マドゥーロ政権を虚偽報道を含め激しく攻撃している。