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2018年7月5日木曜日

 トランプ米大統領が昨年8月、ベネズエラへの軍事攻撃を提案▼ペンス副大統領が侵攻支持取付けのためラ米歴訪▼当時のティラーソン国務長官らは反対▼ラ米側は難色示す▼関与したVEN野党幹部らを反逆罪で捜査▼中国がVENに50億ドル融資へ▼コレア前赤道国大統領を国際手配▼メキシコ次期政権が大麻合法化を検討か

 ドナルド・トランプ米大統領は昨年8月、マドゥーロ・ベネズエラ政権打倒のため軍事侵攻を提案した。AP、CNNなど米メディアが、米高官からの情報として、7月4日報じた。
 トランプはホワイトハウスで主要閣僚や補佐官らと同政権への制裁政策を検討中、「なぜ米国は南米のその国(VEN)に侵攻できないのか」と切り出した。

 その場にいたレックス・ティラーソン国務長官(当時)やHRマクマスター安保担当補佐官(同)は唖然としたが、軍事攻撃を掛けた場合、ラ米諸国から米国が得てきた支持が損なわれるなど否定的影響が出ることを説明、思いとどまらせようと努めた。

 するとトランプは、「域内にはグレナダ侵攻(1983)、パナマ侵攻(1989)など成功例がいろいろある」と返したという。

 トランプは同じ8月の17日、「米国には軍事攻撃を含む様々な選択肢がある」と口にした。その直後、マイク・ペンス副大統領はコロンビア、アルゼンチン、チリ、パナマを歴訪、軍事侵攻への支持を打診した。

 この報道を受けたニコラース・マドゥーロ大統領は4日、国軍将官昇進式の場で垂れた訓示で国軍にあらためて忠誠を誓うよう求めた。そして「VENの資源を狙う帝国主義の(侵攻)意欲を削ぐため、我々は強力な軍部を必要としている」と強調した。

 さらに、「去年、ある元米高官は、VEN野党勢力幹部らが訪米した折、同幹部らに、VENへの軍事侵攻を米政府に要請するよう求めた、と明らかにした」と述べた。

 制憲議会のディオスダード・カベ―ジョ議長は4日、「米政府に祖国侵攻を要請した野党幹部らを反逆罪容疑で捜査し始めた」と発表した。

 一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は4日ラパスで記者会見し、「昨年秋、国連総会に集まったラ米首脳たちに米政府はVEN侵攻への支持を求めたが、ラ米側は一致して拒否した。その場にいたある首脳から聴いた」と暴露した。

 エボはまた、ペンス(米副大統領)は軍事侵攻支持を勝ち得るためラ米諸国を歴訪した
と指摘した。ペンスは昨年8月17日のトランプ発言を受けてコロンビア、アルゼンチン、チリ、パナマを歴訪。最近はブラジル、エクアドール、グアテマラを訪問した。

 ブラジル、チリ、エクアドールの首脳や外相は、「VEN問題での平和裏の解決」を主張し、暗に米国の軍事侵攻計画への反対を示している。

 老舗政党・民主行動党(AD、キリスト教民主主義)は4日、保守・右翼野党連合MUDを離脱した、と表明した。理由を「MUDは些細なことで内部対立し、昨年来、事務局長を選出できないままだ。国内向け政策も策定せずに、マドゥーロ政権を国際社会の協力という奇跡頼みで倒そうとしてきた」と説明した。

 ADは5月の大統領選挙に出馬、健闘して敗れたヘンリー・ファルコン候補を支持した。MUD極右は、選挙をボイコットした。

 別件だが、シモーン・セルパVEN経済相は3日、オリノコ油田での原油生産拡大のため中国が50億ドル融資してくれることになった、と発表した。原油生産拡大には200億ドルの投資が必要で、あと150億ドル足りない。

▼コレア前赤道国大統領を国際手配

 エクアドール政府は7月3日、ベルギー在住のラファエル・コレア前大統領を「拉致事件関与容疑」で国際手配し、ベルギー政府に手配への協力を求めた。

 拉致されたのは、ボゴタに逃亡していたフェルナンド・バルダ元国会議員。スパイ用電子機器不法取引などで追及されていた。

 VENボリビア両国大統領はコレアへの連帯を相次いで表明し、「コレア氏に対する迫害」と糾弾。これを受けて赤道国政府は声明で、両大統領の発言は赤民主制度の名誉を傷つけるものと非難した。

▼メキシコ次期政権が大麻合法化検討か

 アムロ次期大統領の下で内相就任が内定しているオルガ・サンチェス元最高裁判事は7月4日、麻薬取締政策の一環として、大麻消費を罰しないようにすることをアムロ氏に提案する、と明らかにした。

 また芥子を製薬会社や薬局に売るのを合法化することも提案すると述べた。芥子からできるモルヒネは医療用に使われる。だがモルヒネからは麻薬ヘロインが作られる。

2018年6月30日土曜日

 ベネズエラで5月、軍事クーデター計画が失敗、軍人ら逮捕▼米誌ブルームバーグ・ビジネスウィークが報じる▼ボゴタで謀議、米コロンビア両政府は情報把握▼アレアサVEN外相がカリブ歴訪▼コロンビア次期大統領がポンペオ米国務長官と会談▼ドゥケは南米諸国にウナスール脱退を呼び掛け

 米週刊誌ブルームバーグバーグ・ビジネスウィークは6月28日、ベネズエラ大統領直前の5月半ば、クーデター計画が暴かれ、軍人ら約10人が逮捕された、と報じた。同計画および、その謀議に関与した複数の人物の証言を基に記事を書いたという。

 それによると、関与者はコロンビアの首都ボゴタで謀議した。米コロンビア両政府は謀議の事実を把握していたが、具体的支援は避けた。だが某米企業が資金などを援助したという。

 計画は「憲法作戦」(OC)と名付けられ、決行者は「OC」の腕章をしていた。だが、謀略部隊内に潜んでいたと見られる二重スパイによって政府に情報が流れ、関与者は摘発された。

 作戦の狙いは、カラカスの大統領政庁(ミラフローレス宮殿)および主要軍事基地を急襲、ニコラース・マドゥーロ大統領を逮捕、政権から排除して、裁判にかけること。

 別の情報によると、逮捕者には将軍、大佐、中尉、軍曹、文民女性らが含まれている。逮捕者の一部は軍事法廷で反逆罪で既に起訴されている。

 マドゥーロ大統領が最近、軍部に盛んに忠誠を求めているのは、このクーデター計画を制圧してからのことだ。2013年4月以来5年余りの施政中、最も危険な政変の陰謀だたっと、大統領が認識している証左と、同誌は指摘する。

 トランプ米政権は、その後、米軍および有志諸国軍によるベネズエラへの軍事侵攻でマドゥーロ体制を倒す方向に重点を置いている。
 マイク・ペンス副大統領の28日までのラ米3国歴訪、とりわけ伯赤両国訪問の狙いは、侵攻計画への賛意を取り付けるためと見られている。

▼ベネズエラ外相がカリブ諸国歴訪

 ホルヘ・アレアサ外相は6月26~27日、アンティグア&バーブーダ、セントルシーア、セントヴィンセント&グラナディーン、セントクリストファー&ネヴィスの4カ国を歴訪。
 それぞれの首相、ガストン・ブラウン、アレン・チャスターネット、ラルフ・ゴンサルヴェス、ティモシー・ハリスと会談し、カリブ石油連帯機構(ペトロカリーべ)による原油優遇輸出量削減への理解と、マドゥーロ政権支持を求めた。

▼コロンビア次期大統領が米国務長官と会談

 訪米中のイバン・ドゥケは6月29日ワシントンでマイク・ポンぺオ長官、ジーナ・ハスペルCIA長官と会談した。

 次いで、米州諸国機構(OEA)本部でルイス・アルマグロ事務総長と会談した。会談後、ドゥケは南米諸国にウナスール(南米諸国連合、本部キト)からの脱退を呼び掛けた。
 加盟12カ国のうち、伯パラグアイ亜智コロンビア秘6か国は既にウナスール関係の会合や行事への出席や参加を取り止めている。

 「米国の声」(VOA)放送は29日、ドヶケは、マドゥーロ大統領を国際刑事裁判所にかけるべきだと述べた、と伝えた。これはアルマグロが先に唱えた主張を受けたもの。

 一方、コロンビア政府は29日、政党FARCに対し、ドゥケ次期政権の移行チームとFARCとの会合を設定する意思を表明した。

 FARCは同日初めて、真実究明・共生・二度と再び委員会に出席した。FARC党首ロドリーゴ・ロンドーニョ(通称ティもチェンコ)が首席として姿を見せた。この委員会は、2016年の和平合意に基づき設置されている。

2018年6月27日水曜日

 ベネズエラ人ジャーナリスト1328人が過去8年間に出国と新聞労組発表▼用紙が買えず発行停止に追い込まれる地方紙も続出▼アルゼンチン国営通信TELAMが大量馘首▼メキシコ大統領選挙はアムロ優位変わらず

 ベネズエラ新聞全国労組(SNTP)は6月26日、2012年以来、記者、テレビ記者らジャーナリスト計1328人が出国した、と明らかにした。

 また、活字メディア15、電子メディア4、TV施設1が、新聞用紙不足など原材料入手困難により影響を受けた。用紙は、用紙販売会社が売るのを拒否したためという。同労組は、背後に当局の圧力があったとしている。

 地方紙も影響を受けている。8紙が用紙を買えないため発行を停止した。4紙は週末版発行を止めた。2紙は、日刊から週刊に切り替えるのを余儀なくされた。

 SNTPによれば、今年既にメディアへの侵害事件が113件起きている。うち87件では労組員24人が逮捕された。ジャーナリストへの侵害は61件起きた。いずれも当局絡みという。

▼アルゼンチン国営通信社TELAMが従業員馘首

 TELAMは6月26日、記者職を含む従業員354人を馘首したと発表した。政府は財政難のため、経費削減政策を進めている。

 2003年の同通信社の従業員は479人だったが、15年末にマクリ現政権発足が決まると、発足直前に従業員は水増し雇用され926人に、ほぼ倍増した。政権を離れるペロン主義勢力が自派要員に職を与えたのだ。だが記者職に採用された者の多くは、未経験者、無能力者だったという。

 TELAM幹部は、通信社を真のジャーナリズム機関として生まれ変わらせるために荒療治もやむをえない、との立場だ。

▼メキシコ大統領選挙:アムロ候補が優位維持

 6月26日公表のバレラ社調査では、MORENAのAMLO(ロペス=オブラドール)49%、PANのリカルド・アナヤ28%、PRIのホセ・メアデ19%、無所属ハイメ・ロドリゲス4%。アムロ候補が圧倒的優位を保っている。

 7月1日実施の選挙では、正副大統領、上院議員128人、下院議員500人、首都メキシコ市長、8州知事を選ぶ。同市長および知事選でもMORENAが優位に立っている。 

2018年6月25日月曜日

 ベネズエラ副大統領がトランプ米大統領との「対話の用意」を表明▼マドゥーロ大統領は国軍に団結と忠誠を求める▼メキシコ大統領選まで1週間、アムロ候補が優勢▼アルゼンチン司教らがマクリ大統領に貧者救済を要請▼キューバ人口が減少

 ベネズエラのデルシー・ロドリゲス執権副大統領は6月24日、ジャーナリスト、ホセ=ビセンテ・ランヘ―ルの日曜TV番組に出演、ランへ―ルとの質疑で、「もしドナルド・トランプ米大統領と会う機会があれば、ベネズエラ政府は敬意を払い合える対話を持つ用意がある」述べた。また、他の諸国とも対話する用意があると語った。

 同番組が公表した最新の世論調査結果では、ベネズエラ内政問題への外国介入に回答者の76%が反対した。73%は、米政府による経済制裁を糾弾した。

 ニコラ―ス・マドゥーロ大統領(国軍最高司令官)は24日、シモン・ボリーバル麾下の解放軍がスペイン植民地軍を破った「カラボボの戦い」の197回記念日(VEN陸軍創立記念日)に際し、カラボボ州内の縁の地でブラディミール・パドリーノ国防相ら国軍高官らと、国軍兵士1万5000人の行進を観閲。その折の演説で、「隊列を整え、裏切者と寡頭勢力との戦いに備えよ」と号令をかけ、忠誠を求めた。

 大統領は、「コロンビアには、VEN国軍(FANB)を分裂させ対立させようと画策する勢力がある。だがボゴタからの裏切りを求める歌に騙される者はいない」と続けた。

 マドゥ―ロは大統領選挙で再選を果たした直後の5月24日、制憲議会(ANC)での宣誓式でも、「我々は、規律ある、文民統制に従う、祖国・憲法・人民・最高司令官(大統領)に忠実な団結した国軍を必要とする」と述べ、忠誠を求めている。

 反政府系NGO「ベネズエラの正義」は、国軍要員約150人が政治的理由で拘禁されていると主張している。大統領が繰り返し忠誠を求めるのは、国軍内の造反勢力を抑え込む必要性が依然あることを示唆している。

 一方、故ウーゴ・チャベス前大統領の側近の一人で、石油相兼国営石油(PDVSA)社長、外相、国連大使などを歴任後、マドゥーロ大統領に左遷されたラファエル・ラミーレス氏は24日、アポレア電子紙に長文の主張を寄稿、大統領と側近らをこてんぱんに扱き下ろした。

▼メキシコ大統領選挙支持率でAMLOが優勢維持

 7月1日の選挙1週間前の6月24日、公表された支持率はARENA候補ロペス=オブラドールが48・1%で抜きん出た1位だった。
 2位はPANのアナヤ25・5%、3位は政権党PRIのメアデ22・5%。他の1人は泡沫的存在。この国の大統領選挙には決選制度はなく、1位得票者が当選する。

▼亜国社会派司教会議(CEPAS)が大統領に要請

 CEPASは6月24日、マウリシオ・マクリ亜国大統領に、経済調整が貧者の犠牲の下に実施されてはならないと申し入れた。また、「何百万人もが貧困に喘いでいる」と指摘、民主的な経済政策で対外債務返済と貧困救済を果たすべきだと訴えた。

 マクリ政権は、新自由主義の手法である経済開放政策を2年半とり続けてきたが、通貨ペソが暴落。このほどIMFから500億ドルの融資約束を取り付けた。

▼キューバ人口が減少

 玖統計・情報庁(ONEI)ONEIによれば、2017年の人口は1122万人で、前年比1万8000人減少となった。同年の出生は11万5000人、死者10万7000人、出国者2万6000人だった。  

2018年6月24日日曜日

 国連人権高等弁務官事務所がベネズエラ人権状況の報告を公表▼ベネズエラ政府は「信憑性がない」と一蹴▼専門家は「弁務官事務所は対VEN糾弾の意図持つ」と批判▼チリ最高裁がピノチェー遺族に公金返還を命令

 国連人権高等弁務官事務所は6月22日、「ベネズエラにおける人権蹂躙ー終わりなきような下降循環」と題する報告書を発表。「治安部隊による殺人、略式処刑、抗議運動過剰規制、拷問、不法逮捕があった」として、国際刑事裁判所による調査の必要性を指摘した。

 同事務所は、VEN入国が許されないため、VEN国外でVEN人150人への事情聴取含む情報や資料を編集し、報告をまとめたと明らかにしている。

 これに対しベネズエラ外務省は同日、声明を発表。「信憑性がない。この種の機関に必要な客観性、公正、非恣意性に欠けている点で技術的厳しさもなく、高度に疑わしい」と、報告内容を糾弾した。

 サイド・ラアド・アルフセイン高等弁務官にありがちな制度性への過小評価がある、とも批判。「同弁務官は、過去数か月間、諸外国政府がベネズエラに科してきた経済制裁がVEN人民の経済・社会・文化的享受権を一方的に妨げる否定的影響を及ぼしている事実に触れていない。彼は、進行中の多面的な反VEN侵害の共犯者だ」と扱き下ろした。

 外務省声明はまた、「政府が提出した情報は悉く無視された」とし、メディアの虚偽報道に沿ったでっちげと非難した。

 ジュネーブの国連人権理事会に関与する専門家アルフレド・デサヤス氏も「信憑性と客観性に欠ける」と報告内容を批判した。

 同氏は2017年にベネズエラを訪問、4~6月、カラカスをはじめ同国各地で起きた反政府勢力によるグアリンバ(政治的街頭暴力)について調査、報告書をまとめた。反政府側に起因する殺人が124件起きていたことなどが記されている。

 デサヤス氏は、私の報告は無視されたと前置きし、「高等弁務官事務所や反ベネズエラの諸NGOは、私がVEN政府と<人道危機>を糾弾するのを望んでいた」と非難した。

 一方、スペイン政府は22日、VEN国営石油(PDVSA)の元保安・損害予防局長ラファエル・レイテル容疑者の身柄を米国に引き渡すことを決めた。
 同容疑者は、「組織犯罪関与と資金洗浄」で米当局から指名手配されている。米国内での不動産取引も絡んでいるという。

▼チリ最高裁がピノチェー遺族に510万ドル返還命令

 チリの独裁者だった故アウグスト・ピノチェー軍政大統領は、側近らとともに6400万ドルの公金を横領。その約3分の1弱はピノチェーの個人資産となっていた。

 同個人資産2100万ドルのうち1780万ドルは「不当な収入」とされ、その一部510万ドルの国庫への返還が命じられた。ピノチェーと側近らは、米リグ銀行などに計125の隠し口座を持っていたという。

 ピノチェー陸軍司令官らが決行した1973年9月11日の軍事クーデターから45年になる。この政変後、反軍政市民ら3200人が殺された。

2018年6月22日金曜日

  スペイン国王がトランプ大統領に「ベネズエラ民主回復」で協力呼びかけ▼内政干渉にベネズエラの実力者が反駁▼野党指導者ファルコンが新しい政党連合結成▼VEN原油輸出落ちる▼キューバ議長が聖母参拝

 訪米中のスペイン国王フェリーぺ6世がベネズエラへの内政干渉発言をし、物議を醸している。
 国王は6月20日、ホワイトハウスにドナルド・トランプ大統領を表敬し会談。「西米両国には協力し合える分野がたくさんある。ベネズエラの民主回復に努めるのは重要な仕事になる」と述べた。

 トランプは、ニコラース・マドゥーロVEN大統領排除の旗頭であり、これを踏まえて国王が「協力」を持ち掛けたのは疑いない。だがトランプは、国王に直接的な返答はしなかったもよう。

 国王は、メキシコの版図が最大だったヌエバ・エスパーニャ副王領時代に、テハス地方(現・米テキサス州)にスペイン人が築いたサンアントニオ市の建都300年記念式典に出席、その後、ワシントンを訪れた。

 国王発言に対し、ベネズエラ制憲議会のディオスダード・カベ―ジョ議長はすぐさま反駁。「ベネズエラにはスペインの100万倍もの民主がある。真の参加型人民主権がある」と強調した。

 さらに、「生涯に一度も選挙の洗礼を受けないのが国王だ」と揶揄。フェリーペ国王を「エル・ティポ(奴)」と呼んだ。カベ―ジョはマドゥーロ大統領に次ぐ実力者。

 一方、5月20日のVEN大統領選挙で善戦した野党指導者ヘンリー・ファルコンは21日カラカスで、新しい政党連合「変化のための協和」を設立した。
 ファルコンは、旧来の保守・右翼野党連合MUDについて、「MUDが私から離れていった」と述べた。MUDは大統領選挙をボイコットし、出馬したファルコンと袂を分かった。

 国営石油PDVSAによれば、6月前半のVEN原油輸出は日量76万5000バレルだった。5月の平均輸出日量113万3000バレルから32%減っている。

 VEN政府は19日、政治的暴力などで収監されていた服役囚17人を新たに釈放した。

▼キューバ議長が聖母コブレに参る

 ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は6月20日、東部のサンティアゴ市郊外にある聖堂に安置されている聖母像に参拝した。

 カストロ兄弟との「作風の違い」を内外に印象付け、支持基盤拡大を目指す方策の一環。無論、ラウール・カストロ共産党第1書記と打ち合わせた上でのことだ。

2018年6月15日金曜日

 「ベネズエラへのいかなる干渉にも反対」とブラジル外相が言明▼チリ外相も同様の発言▼トランプ米政権からのVEN軍事介入の打診を拒否か▼VEN執権副大統領に女性闘士デルシー・ロドリゲス就任

 ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相は6月14日、「ブラジルはベネズエラへのいかなる種類の干渉にも反対する。同国の問題は交渉を通じ平和裡に解決されねばならない」と述べた。

 チリのロベルト・アンプエロ外相も12日、「ベネズエラの問題はベネズエラ人が交渉で平和裡に解決すべきだ。リマグループなど国際社会は、それを支援する」と語っている。

 南米有力国外相の相次ぐ同種の発言は、対朝首脳会談が一段落したトランプ米政権が、マドゥーロVEN政権を軍事介入で倒したい誘惑に駆られている可能性を示唆する。

 ラ米諸国はこれまでに何度か、トランプ政権からのVEN武力加入の打診を拒否してきた。だが政権中枢や共和党内に右翼強硬派を抱えるドナルド・トランプ大統領が、中間選挙前に「対朝対話よりも鮮烈な成果」を挙げるため、VEN侵攻をあらためて画策している可能性は十分考えられよう。

 これまで米州諸国機構(OEA)で反マドゥ-ロの米国に同調してきたラ米保守・右翼陣営も、軍事侵攻に加担するのには二の足を踏む。
 ブラジル軍部は1964年、米国の後押しでクーデターを起こし、生まれた軍政は21年も続き、米国に意見を容れながら強権政策や左翼弾圧を進めた。
 チリ軍部も73年、米政府と連携し、アジェンデ社会主義政権をクーデターで倒した。

 今や、ラ米側の「ためらい(二の足)」が、ベネズエラにとり救いとなっている感がある。

 一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は14日、政権中枢と閣僚の人事を発表。大統領権限を引き継ぐことのできる執権副大統領にデルシー・ロドリゲス制憲議会(ANC)議長を任命した。

 これまでの執権副大統領タレク・エルアイサミは、新設の産業・国内生産相と、経済部門担当副大統領になった。水産・農業、貿易・外資、都市農業、観光、公共事業、運輸、労働、女性、環境社会主義の9相も交代した。この他、新設された水利省の初代水利省も就任した。

 公共事業相になったマルレニー・コントレラス(前観光相)は、大統領に次ぐ実力者で、政権党PSUV副党首のディオスダード・カベージョの妻。カベ―ジョは以前、公共事業相を務めた折、大規模な汚職関与が指摘された。

 デルシー・ロドリゲスはマドゥーロ政権下で通信・情報相、外相、ANC議長を歴任。兄ホルヘは通信・情報相で、マドゥーロの側近中の側近。また兄妹の父ホルヘはマルクス主義政党「社会主義連盟」創設者で、1976年7月、秘密警察に拘置所で拷問され死亡した。

 マドゥーロ大統領は任命に際し、デルシーを「勇気ある百戦錬磨の若い女性にして殉教者の娘であり、実績は証明済み」と最大限に讃えた。デルシーはANC議長を兼務する。
 5月20日の大統領選挙で再選されたマドゥーロは来年1月、2期目に入るが、これに備え、大型人事で政権の内部固めをした。

 政府は12日、政治暴力事件関与などで収監されていた囚人11人を新たに釈放した。その一人、大学都市メリダで反政府学生運動の指導者として活動、16年月末から拘禁されていたビルカ・フェルナンデスは父親の母国ペルーに追放された。

 コロンビア軍は13日、VEN国境のアラウカ県フォルトゥル市の密林を空爆。和平に応じなかったFARC(コロンビア革命軍)の武闘継続派残党16人を殺害した。

▼本日発売の「週刊金曜日」誌に、『アイルランド革命』(小関隆著、岩波書店)の書評(拙稿)掲載。ご参考まで。

2018年6月9日土曜日

 来年4月27に米州諸国機構(OEA)を脱退する、とベネズエラ大統領が言明▼テレスールは、米国は「汚い戦争」を続行と論評▼キューバが米国を批判▼VENとイランはOPECに支援要請▼ホセ・ムヒーカ氏の愛犬死す▼東京外大で映画「エルネスト」上映会催さる

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は6月7日、「2019年4月27日にOEA(米州諸国機構)を脱退する。その日、大動員をかけ盛大に祝おう」と述べた。

 大統領はまた、「マイク・ペンス米副大統領はOEA諸国にVEN追放に賛成するよう圧力をかけたが、追放決議に失敗した」と指摘。OEA外相会議に出席したホルヘ・アレアサ外相以下の「VEN外交団の勝利」を讃えた。

 ベネズエラは昨年4月27日、OEA脱退意志を表明。脱退手続きには2年かかり、それが完了する来年の同日を大統領は「脱退記念日」と捉えている。

 カラカスに本社のあるラ米多国籍TV「テレスール」(南部テレビ放送)は7日の論評で、OEAでのVEN追放工作に失敗した米政府は今後も「汚い戦争」や「経済戦争」をVENに仕掛けてくるだろう、と述べた。

 同論評は、その理由を①VEN国内に組織された強力な野党勢力がない②国際原油価格が上昇中③国軍が分裂する兆候はないーからとしている。

   同盟国キューバの外務省は7日、OEA外相会議の5日の決議について「受け入れ難い内政干渉」と糾弾した。
 玖共産党機関紙グランマは、米国とOEAには民主や人権に関し他国に教訓を垂れる道徳的資格はない、と厳しく批判。また、決議案に反対票を投じたカリブの小さな島国2国を「帝国に従わず、勇気、決断、正義を示した」と讃えた。

 一方、VEN石油省は7日、米国による経済制裁に対抗するため支援をOPEC(石油輸出国機構)に要請する、と明らかにした。
 同じく制裁に遭っているイランとともに加盟諸国に書簡で支援を求めたという。OPECは22日に会合する。

▼ホセ・ムヒーカ前大統領の愛犬死す

 ウルグアイのムヒーカ前大統領と22年暮らした雌の愛犬マヌエーラが6月7日死亡した。首都モンテビデーオ郊外に同氏が所有する農場の一角に埋葬されたという。

 この犬の左前足は半分しかなかった。2014年、当時大統領だったムヒーカが農場でトラクターを運転していた時、その機体の下に潜り込んだマヌエーラに気づかず、犬は足の切断を余儀なくされた。以後「三本足の犬」と呼ばれていた。

 ムヒーカは大統領時代、「我が政権の最も忠実な職員」とマヌエーラを讃え、自ら運転する車に乗せたり、旅行に連れて行ったりしていた。

 犬の晩年、歯がこぼれ落ちつつあるからと、食べやすい餌を与えるなど、愛犬を気遣っていた。ムヒーカ夫妻と愛犬の仲睦まじい関係は内外で有名だった。

▼東京外語大学で映画「エルネスト」上映会催さる

 府中市の東外大講堂で6月8日夜、「エルネスト」(阪本順治監督)上映会と座談会(トークショー)が催され、同大の学生、教授、一般市民ら約500人が参加した。
 1967年8月末、チェ・ゲバラ部隊のゲリラとしてボリビアで戦死した日系2世フレディ前村の短い人闘争の人生を描いた作品。

 座談会には、坂本監督、映画の原作『革命の侍』翻訳者・松枝愛、ジャーナリスト伊高浩昭が出席。作品の意味、日系人を超えたフレディの生き方、撮影の苦労話などが、質疑応答を交えて縦横に語られた。

 16日にはハバナで招待上映会が催され、阪本監督が出席し挨拶する。その後、一般公開上映される。今年末には外語大講堂でチリ映画3部作が上映され、トークショーもある。

2018年6月8日金曜日

 モレーノ・エクアドール大統領がベネズエラに国民投票もしくは再選挙の実施を提言▼VEN外相はOEA決議に賛成したラ米・カリブ諸国を非難▼VENの急務は原油生産回復▼グアテマラ火山爆発の死者101人に達す▼ペルー国会がケンジ・フジモリら3議員の資格停止を決める★「世界」誌がキューバ最新情勢記事を掲載 

 エクアドール(赤道国)のレニーン・モレーノ大統領はキトで6月6日、ベネズエラに対し、「5月20日の大統領選挙の正統性を実証するため国民投票をしてはどうか。さもなければ再選挙を実施してはどうか」と提言した。

 これはワシントンで開かれた米州諸国機構(OEA)外相会議が5日、ベネズエラ大統領選挙とその結果を認めず、同国のOEA加盟資格停止に向けた過程に入る」とする決議案を加盟34カ国中19カ国の賛成で可決したのを受けての発言。

 モレーノは、「ベネズエラに関する決定ができるのはベネズエラ人だけだ」とも述べ、米国をはじめとする反ベネズエラ諸国を牽制した。
 ただしモレーノは4日、マイク・ペンス米副大統領と電話会談しており、米政府の意向も汲んで、敢えてVEN説得発言に出た可能性もある。

 モレーノと今や犬猿の仲になっているラファエル・コレア前赤大統領が今VEN選挙監視で中心的役割を果たし「公明選挙だった」と評価したことへの当てつけの狙いもあるかもしれない。

 会議に参加したホルヘ・アレアサVEN外相はワシントンで6日会見し、前日の議決について、「我らのアメリカ(ラ米・カリブ諸国)にはボリバリアニズモ(シモン・ボリーバル主義=統合・連帯主義)を殺そうとするシカリオ(殺し屋)がいる」と指摘。賛成票を投じた19カ国から米加北米両国を除いた17カ国を暗に糾弾した。

 アレアサ外相が同じ会見で、「我がニコラース・マドゥーロ大統領のVEN政権はトランプ米政権との対話を望んでおり、私はマイク・ポンペオ国務長官と話し合いたい」と語った、とされる未確認情報がある。

 マドゥーロ政権は今回のOEA決議と前後して再三、OEAから自主的に脱退する手続きを昨年4月末から進めており、あと10か月余りで脱退が実現する、と強調している。

 米国以下の反マドゥーロ陣営は今回、ベネズエラ資格停止(事実上のOEA追放)の決議に必要な3分の2票(24カ国賛成)を確保できず、「資格停止に向けた過程に入る」との味の薄い決議にしか至れなかった。

 「埋蔵量世界一」のVEN原油を狙い、併せて米州での主導権回復を図りたいトランプ政権に残された決定的な手段は軍事介入。だが、これにはラ米諸国の多数派が賛成しかねており、当座の軍事侵攻はありそうもない。

    キューバ外務省は7日、OEA決議を「受け入れ難い内政干渉であり、国際法と国連憲章に反する。VEN対話に寄与しない」と厳しく批判した。

 日本一部メディアを含む反マドゥーロ国際メディアによる根拠に乏しい意図的報道で、ベネズエラらの印象は悪化しているが、マドゥーロ体制はいつになく堅固だ。

 問題は、経済の命綱である原油生産が日量150万バレルを切っていること。これを最低必要日産220万バレルに戻し、さらに300万バレルの大台を目指さねばならない。

 国際原油価格は、イラン情勢に加えVEN生産低下で上昇している。VENの生産能力は投資不足などで激減しており、VENは儲け時に儲けることが叶わない。VEN石油産業は、この深刻な矛盾に苛まれている。

▼グアテマラ火山爆発で101人死亡

 6月3日からのフエゴ火山(標高3763m)の大爆発で、死者は6日までに101人い達した。

 フエゴ火山の東にはアグア火山(3760m)があり、その鞍部は、古都アンティグア市(旧首都)と太平洋岸のケッツァール港を結ぶ幹線道路が走る。また、同港から北方の首都グアテマラ市に向かう自動車道の東側にはパカヤ火山(2552m)が噴煙を棚引かせるている。
[筆者は、この光景を何度も観てきた。今回の惨事に胸が痛んでならない。]

▼ペルー国会がケンジ・フジモリ議員らの資格を停止

 国会は6月6日、フジモリ、ギジェルモ・ボカーンヘル、ビエンベニード・ラミーレスの3議員の議員資格停止を決めた。3月、当時のPPクチンスキ大統領の弾劾阻止のため賄賂や影響力行使によって工作したのが理由。

 最大政党「人民勢力」(FP)のケイコ・フジモリ党首は実弟ケンジの議員剥奪決議案を提出していたが、定足数に至らず採択できなかった。
 姉と弟の骨肉の争いの背景には、父親であるアルベルト・フジモリ元大統領の恩赦釈放への賛否、次期大統領選挙の出馬争いがある。

 初出馬を目指す弟はクチンスキ弾劾阻止と引き換えに父の恩赦を勝ち取り、3度目の出馬を狙う姉は世論を慮って恩赦に反対した。

★本日発売の「世界」7月号(岩波書店)「世界の潮」欄に拙稿「<カストロ後>への転換期に入ったキューバ」が掲載されています。ご参考まで。 

2018年6月6日水曜日

 米州諸国機構(OEA)外相会議が「ベネズエラ追放」に失敗▼3分の2の多数派工作叶わず、決議案内容切り替えて可決▼注目されたニカラグア棄権▼ベネズエラは自主的脱退を再確認▼キューバ議長がグーグル社長と会談

 米州諸国機構(OEA,34か国加盟)第48回総会(外相会議、ワシントン開催)は6月5日、ベネズエラ大統領選挙(5月20日実施)を認めず、同国のOEA加盟資格の停止手続きを開始するという決議案を賛成19、反対4、棄権11で可決した。これは米国など反ベネズエラ勢力の失敗を意味する。

 米加墨秘智伯亜の7カ国は当初、ベネズエラの資格停止処分に持ち込む作戦を立て、米当局者は資格停止など重要決議に必要な3分の2(24カ国)の賛成を固めたと豪語していた。だが、それが強がりがったことが明らかになった。このため急遽、「資格停止手続き開始」に切り替えざるをえなかった。

 決議賛成19カ国:米加墨グアテマラ・ホンジュラスCR巴RD・COL秘智パラグアイ伯亜ガイアナ・ジャマイカ・セントルシーア・バルバドス・バハマ。
 反対4カ国:ベネズエラ、ボリビア、ドミ二カ、セントヴィンセント&グらナディーン。
 棄権11カ国:ニカラグア、エル・サルバドール、ハイチ、エクアドール、スリナム、ベリーズ、TT,グレナダ、セントクリストファー&ネヴィス、アンティグア&バーブーダ。

 従来、マドゥーロVEN政権に連帯していたニカラグアが棄権に回ったのが注目される。外相会議はこの日、「ニカラグア暴力即時停止」決議案をも可決した。その案文からは「オルテガNICA政権糾弾」の文言が外された。このことと棄権とは無関係ではない。
 ニカラグアの人権団体の集計では、4月半ばからの抗議行動する反政府勢力への弾圧過程で死者121人、負傷者1300人が出ている。

 会議出席のホルヘ・アレアサVENVEN外相は、「今日の決議はOEAの絶望の表れだ」と指摘。「我々は内政干渉し暴力を煽るOEAから自主的に脱退する手続きに既に入っている」、「OEAはVEN人民と軍部を離反させようとも画策した」と述べ、「大なる祖国万歳」で発言を締めくくった。

 一方、ベネズエラ最高裁は5日、エル・ナシオナル紙に対し、10億ボリーバルの賠償金をディオスダード・カベ―ジョ政権党副党首に支払うよう命じた。同紙は、スペイン王党派系右翼紙ABC報道を踏まえて、「カベ―ジョは麻薬取引関与者」と報じた。

 カベ―ジョは名誉棄損罪で訴えた。同紙が報道の根拠となる確乎たる証拠を示せなかったため、カベ―ジョの勝訴が確定した。エル・ナシオナルは反政府派の機関紙化していた。反政府街頭暴力に関与した極右政党に極めて甘かった。

▼キューバ議長が米議員、グーグル社長と会談

 ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は6月4日、来訪したジェフ・フレイグ米上院議員(共和党)、グーグルのエリック・シュミット社長と会談した。

2018年6月5日火曜日

 ポンぺオ米国務長官がOEA外相会議で内政干渉発言▼アレアサ・ベネズエラ外相が反駁▼マドゥーロ大統領はOEA脱退方針を確認

 米州諸国機構(OEA)外相会議の初日6月4日、マイク・ポンぺオ米国務長官が発言。加墨秘智伯亜とともにベネズエラ資格停止決議案を提出したことについて、「OEAは言葉に加え行動で示すべきだ。ベネズエラは真の選挙を実施することによってのみ米州社会から受け入れられる」と述べた。

 また「米国は従来通り、ベネズエラ人民をしっかりと守る」と強調した。これは明らかな内政干渉、帝国主義丸出しの発言。出席したホルヘ・アレアサVEN外相は反駁した。同外相は、故ウーゴ・チャベス前大統領の女婿。

 米国を含む7カ国は、5月20日の大統領選挙に圧勝し再選を果たしたニコラース・マドゥーロ大統領のベネズエラが「民主秩序が途切れた」と見なし、「民主制度正常化のため」としてOEA加盟資格停止を提案した。OEAの「米州民主憲章」条項に沿った措置。

 これは重要決議案であり、加盟34カ国の3分の2である24カ国の賛成が必要。米国のOEA大使は3日、24カ国を固めたと表明している。

 だがマイク・ペンス米副大統領は4日、エクアドール(赤道国)のレニーン・モレーノ大統領に電話し、「米赤関係活性化」を呼び掛けており、依然、多数派工作を続けていることを示した。
[この電話は5日国連総会で、マリーア=フェルナンダ・エスピノーサ赤外相が総会議長に選出されたことと無関係でない。]

 モレーノ赤大統領は、ラファエル・コレア前大統領のような左翼ではなく、中道是々非々主義者だが、米国とラ米保守・右翼諸国が主導する反マドゥーロ路線とは一線を画してきた。

 一方、マドゥーロ大統領は4日カラカスで、「米政府はLAC(ラ米・カリブ)諸国に対し、犯罪的、醜悪、恐喝まがい、脅迫めいた働きかけをしている。これはOEAでいつも見られる光景となっている」と、トランプ米政権を揶揄。

 続けて、「OEAは無用な機構だ。ベネズエラは米国の植民地省(OEA)から離脱する」と述べ、脱退方針を確認した。事実上の追放処分ともなりうる資格停止決議の有無に拘わらず1年後には脱退していることを加盟国に想起させた。

 マドゥーロ政権は去年4月末、離脱手続きに入った。規則上、脱退手続きには2年かかる。大統領は「必要な24カ月のうち既に13カ月が過ぎた」と付け加えた。一時、脱退中止説が流れていたが、この日、マドゥーロは脱退方針をあらためて明確にした。

 大統領は選挙後の23日から国内対話を開始、既に一部野党、野党系州知事、政府系州知事、市長、銀行協会などとの話し合いを終えている。現在、「対話第2節」に入ったところで、各種市民団体と話し合っている。

2018年6月4日月曜日

 米州諸国機構(OEA,34カ国加盟)の外相会議が4日始まる▼米加伯など7カ国がべネズエラ資格停止決議案を提出▼米国が多数派工作▼ボリビア大統領がペンス米副大統領を糾弾▼ニカラグアのオバンド枢機卿死去

 米州諸国機構(OEA、加盟34カ国)は6月4日、ワシントンの本部で第48回総会(外相会議)を開いた。ベネズエラ情勢が主要議題で、米加墨秘智伯亜の反ベネズエラ7カ国は同日、「民主秩序が途切れた」としてベネズエラのOEA加盟資格停止を提案した。5日、投票にかけられるもよう。

 これに先立ちカルロス・トゥルヒ―ジョ米OEA大使は3日、ベネズエラの加盟資格を無期限停止とする議案を成立させるのに必要な3分の2(24票)を確保した、と明らかにした。資格停止は事実上の追放処分。「ベネズエラ問題」を議案とする決定は18カ国の賛成で成立する。

    米国および同調する国々はまず、5月20日のベネズエラ大統領選挙を「無効」と決議し、次いで資格停止処分に移りたい考え。

 マイク・ペンス米副大統領は以前からマドゥーロ・ベネズエラ政権打倒に意欲を燃やしているが4日、OEA外相会議に出席し、ベネズエラ非難演説をぶつ予定。

 一方、ボリビアのエボ・モラレス大統領は3日、「ベネズエラでのクーデター計画に失敗したペンスは今また内政干渉しようとしている」と糾弾。「米帝国はOEAを、主権国を抑圧する棍棒として使おうとしている」と指摘した。

 OEAはケネディ米政権下の1962年、社会主義キューバを追放した。米政府は同年、米軍主体のOEA有志軍を組んでキューバを武力侵攻する画策をしていた。
 これを逸早く察知した当時のフルシチョフ・ソ連政権がキューバに「確固たる防衛策」としてソ連の核ミサイルを配備するよう提案。その結果、62年10月の米ソ核ミサイル危機が勃発した。

 ベネズエラが今回、OEAから追放されれば、その追放策の底流に、武力でマドゥーロ体制を倒したい米国の執念があるだけに、「ベネズエラ問題」は危険な段階に陥りかねない。

▼ニカラグアのオバンド枢機卿が死去

 ミゲル・オバンド枢機卿(92)が6月3日、死去した。1970年代末まで続いたソモサ独裁と、79年の革命で登場したサンディニスタ政権の両方に反対し、90年の大統領選挙でのダニエル・オルテガ大統領を敗北に導くのに貢献した。

 その後、90年代の2度の大統領選挙でもオルテガ落選で動いた。だが2004年、オルテガと和解。オルテガ政権は07年に復活、現在3期目にあるが、オバンド枢機卿は政治集会などで必ずオルテガ大統領の左隣に座り、政権の権威づけに貢献していた。

2018年6月1日金曜日

 ベネズエラ野党勢力が再編成▼旧MUDは伝統政党ADと極右中心に出直し▼ファルコン派は伝統政党COPEIなど民社系でまとまる▼不明瞭な「拡大戦線」との関係▼ウルグアイ外相が仲介意欲示す▼キューバ議長が帰国▼ニカラグアで死傷者増える

 ニコラース・マドゥーロ大統領のチャベス派政権に反対するベネズエラ野党勢力が5月末、2つの政党連合組織を結成した。

 一つは保守・右翼野党連合「民主連合会議」(MUD)。民主行動党(AD、民社)、まず正義党(PJ、極右)、人民意志(VP、極右)、新時代(UNT、右翼)、ラ・カウサR、ベネズエラ進歩運動(MPV)で30日、再編成された。事務局長にはラモーン・アべレードが就任した。

 二つ目は、5月20日の大統領選挙で敗北したが善戦したヘンリー・ファルコンを支持する勢力。進歩主義前哨(AP、ファルコンの党)、キリスト教社会党(COPEI)、社会主義運動(MAS)の3党を中心に、小さな7会派が参加している。31日公表された。
   この連合体は自らを「野党統一綱領」などと呼んでいるが、正式名称かどうか不明。

 今年初め「MUDの後身」と銘打って発足した野党連合「自由ベネズエラ拡大戦線」(FAVL)と再編成されたMUD、およびファルコン派連合との関係は明らかではない。

 こうした分裂、組織的重複や曖昧さをかかえる野党勢力は、400~500万人の支持基盤を持つチャベス派に歯が立たない。そのため米国、リマグループ、欧州などの反マドゥーロ諸国の支援を得て、「20日の選挙を認めない」「再選挙を」と宣伝活動を繰り広げてきたが、効果がない。

 一方、ウルグアイのロドルフォ・ニン=ノボア外相は5月31日、同国上院外交委員会でベネズエラ情勢に触れ、マドゥーロ政権と反政府勢力の間で仲介役を務めるのが建設的だ、と述べた。

 同外相は、ベネズエラには選挙参加派、棄権(ボイコット)派、福音派と3種類の野党勢力があるようだ、と指摘した。

▼キューバ議長が帰国

 ミゲル・ディアスカネル国家評議会議長は5月30日から2日間のべネズエラ公式訪問を終え、31日帰国した。同議長にとり、4月の就任後最初の外遊だった。
 ハバナ空港には、ラウール・カストロ共産党第1書記(前議長)らが出迎えた。これには新議長を励ます意味があるが、ベネズエラとの経済協力交渉が成果を挙げたことをも示唆する。

   一方、玖米間の直接航空便が5月31日開始された。オバマ前米政権期の2016年3月に実施が決まっていた。

▼ニカラグアで死者15人、199人負傷

 5月30日から31日にかけて各地の都市を中心に大学生ら反政府勢力と、私服の政府系鎮圧団が衝突した。警察発表では、15人が死亡、199人が負傷した。

2018年5月25日金曜日

 マドゥーロ・ベネズエラ大統領が次期任期に向け宣誓▼政策修正と指導部変革を公約▼政治暴力服役囚の一部釈放を示唆▼「国軍分裂画策とクーデター策謀で逮捕」と明かす▼グアテマラ元軍人に重刑判決▼メキシコでまたジャーナリスト殺し▼ウルグアイ労連が大会★「週刊金曜日」がキューバ新政権関連記事掲載

 ベネズエラ大統領に5月20日再選されたニコラース・マドゥーロ大統領(55)は24日、国会議事堂内での制憲議会(ANC)本会議で挙行された次期大統領(2019~25年)確定宣誓式に臨み、デルシー・ロドリゲスANC議長の前で宣誓した。

 大統領は宣誓演説で、①対話・平和・和解②企業との生産的経済合意③腐敗一掃④庇護・社会保障制度充実⑤内外の陰謀に対する自衛強化ーを優先政策として列挙した。
 マドゥーロは、「これまで必ずしも良いことばかりしたわけではない」と前置きして、「修正と指導部の変革を図る」と表明した。

   原油を増産し、外部からの「制裁」を打破するとも述べた。その際、マヌエル・ケベード石油相に、OPEC、中露両国、アラブ諸国に協力を依頼するよう命じた。

 また、政治的暴力事件を起こし服役している者たちのうち、殺人など重罪に関与していない者を釈放する方針を示し、ANCの真実委員会に該当する囚人の特定調査を求めた。
 さらに、「ボリーバル主義的社会主義」の5原則・基盤を拡大するとして、①倫理・道徳・精神②政治・イデオロギー・制度③社会④経済⑤地方ーの問題に取り組むことを強調した。

 大統領は宣誓式の後、市内の国防省、国軍司令部、士官学校などのあるティウーナ要塞での国軍忠誠表明式に出席。「コロンビアと米国の資金でクーデターを画策した者を逮捕した」と明らかにした。大統領は逮捕者の人数を示さなかった。
 「20日の選挙前に暴力を煽り、国軍(FANB)分裂を促そうとする策謀があった」とも述べ、国軍高官たちに署名し忠誠を求めた。

 大統領選挙を挟んだ国軍を標的とした陰謀は、このほど暴露された米南方軍司令官作成のマドゥーロ政権打倒計画に酷似している

 政府は22日、カラカス駐在の米臨時代理大使と次席の参事官を国外退去処分としたが、理由は「国軍分裂画策の陰謀」だった。政府は、同次席をCIAのカラカス支局長と見なしていた。
 一方、ワシントン滞在中のホルヘ・ボルヘス元VEN国会議長は24日、ラジオインタビューで、「先週、国軍将校200人が逮捕された」と述べた。

▼グアテマラで退役軍人4人に重刑判決

 内戦中の1981年6月、当時14歳だったマルコ=アントニオ・モリ―ナ=テイセン少年を強制失踪させ、その姉エンマ=グアダルーペを拷問・強姦した、二つの人道犯罪で、法廷は5月23日、ベネディクト・ルカス元陸軍参謀長ら退役軍人4人に実刑判決を下した。

 姉への仕打ちに対し禁錮33年、強制失踪は25年で、ルカスら3人に計58年、1人に33年の判決だった。

▼メキシコでまたジャーナリスト殺害

 北部のモンテレイ市で5月24日、アリシア・ディアス=ゴンサレス記者(52)が自宅で撲殺された。首都メキシコ市のエル・フィナンシエロ紙の通信員だった。

 メキシコでのジャーナリスト殺害は今年5人目。ペニャ=ニエト現政権下で43人目。ジャーナリストへの迫害は2000件に達している。

▼ウルグアイで労連大会開催

 ウルグアイの「労働者単一中央同盟」(PIT-CNT)は5月24日、第13回大会を開催、フェルナンド・ペレイラ議長は、ルーラ元ブラジル大統領への連帯を表明。「ルーラは迫害されと、罪なくして投獄されている」と指摘した。

 大会テーマは「世界労働界の新しい現実と労組の役割」。伯玖墨ニカラグア西葡などの労連代表も参加している。最終日の26日、声明を発表する。

★お知らせ:本日発行の「週刊金曜日」が拙稿「米国の<新冷戦>攻勢に対峙するディアスカネル新政権 <カストロ後>迎えた社会主義キューバ」を掲載しています。ご参考まで。  

2018年5月24日木曜日

 G7が共同声明でベネズエラ大統領選挙認めぬとし、新たな選挙を要求▼米加主導・欧州同調、日本従う構造▼公正と普遍性に欠けるG7▼米国がVEN外交官2人追放▼VEN政府が「政治囚」釈放か

 G7と欧州連合(EU)は議長国カナダの首都オタワで5月23日、ベネズエラ大統領選挙(20日)に関する共同声明を発表、選挙と選挙結果を認めず、「公正で自由な新たな選挙実施」をマドゥーロ政権に要求した。

 一国の選挙に関する異例とも言える声明発表は、米加両国主導、欧州諸国とEUの賛同で路線が敷かれ、日本は乗らないわけにいかなくなった形だ。

 声明は、20日の選挙について、「容認された国際水準を満たさず、公正で民主的な過程の基本的条件を保障せずに実施された」と非難している。
 このG7声明によって、「ベネズエラ問題」は国際化から一挙に「世界化」したと言える。

 過去3日間、ニコラース・マドゥーロ大統領再選を認めたのは、中国、ロシアの両大国と、キューバ、ボリビア、ニカラグア、エル・サルバドールのラ米進歩主義・左翼陣営と、イラン、トルコに限られている。
 マドゥーロ政権はG7声明を突きつけられ、何らかの態度表明を迫られることになった。

 米州諸国機構(OEA)内と、その外枠の「リマグループ」を中心に反マドゥーロ圧力を強めているカナダのトゥルドー首相が今会議の議長であり、マドゥーロ政権打倒をオバマ前政権期から狙ってきた米国と組んで、声明を策定するのは容易だった。
 EUも米加に同調し、航空便打ち切りなどベネズエラへの「制裁」に参加したり、新たな措置を検討してきた。

 日本は先ごろ、ベネズエラ高官らによる「食糧配布資金の横領」事件に関与した人物の国際的特定作業に参加した。この時も米加欧に日本が加わる形になっており、これが今回の声明の下地になったのは確かだろう。

 だが、ラ米には不正選挙で政権に就いた大統領は、過去のメキシコ、現在のホンジュラスなど少なくない。選挙で勝てないため、あるいは反政府陣営の不正や汚職を隠すために、大統領を弾劾した例もパラグアイ、ブラジルと続いている。

 米国は、埋蔵量世界一とされるベネズエラの原油が欲しい。また、米国と復交し牙を抜かれたキューバに代わってラ米左翼の旗頭になった感のあるマドゥーロを潰し、ラ米での覇権を再興、確立したい。
 こうした「米州の力学」に引きずられるのは日本にとっては得策ではあるまい。

 「非民主的選挙」によって政権が運営されている国、選挙のない国、封建的体制などはアジア、アフリカに幾つもあり、ベネズエラを糾弾するG7が公平と普遍的であることを期すならば、何十もの国々について共同声明を出さなくてはならなくなるはずだ。
 さらに、G7首脳陣の中にも「民主性」を問われている者が複数いる事実を忘れてはなるまい。

 一方、米国務省は23日、ワシントン駐在のカルロス・ロン=ラミーレス臨時代理大使および、ヒューストン駐在総領事のベネズエラ外交官2人に対し、48時間以内に国外退去するよう通告した。前日のベネズエラ政府による米外交官2人の追放措置への報復。

▼ベネズエラが「政治囚」釈放か

 今大統領選挙で敗れた野党候補だったハビエル・ベルトゥッチ福音派牧師は5月23日、ニコラース・マドゥーロ大統領と会談。会談後の記者会見で、大統領は24日、「政治囚釈放を発表する」と明らかにした。

 この記者会見には、大統領の側近であるホルヘ・ロドリゲス通信・情報相も立ち会っており、同牧師の発言に信憑性があることを窺わせる。釈放が事実となれば、マドゥーロは国際世論に配慮したことになる。

2018年5月22日火曜日

 ベネズエラ選挙最終結果判明▼マドゥーロ大統領は622万票(67・8%)▼有権者に疲労感、投票率下がる▼6月に通貨デノミ実施へ▼米国やリマグループは新たな対抗措置決定

 ベネズエラ国家選挙理事会(CNE)は5月21日、前日実施の大統領選挙の最終結果を発表した。再選されたニコラース・マドゥーロ大統領(55)は622万票(得票率67・8%)を獲得した。登録有権者913万人が投票、投票率は46%だった。

 だが5年前、13年4月の大統領選挙でマドゥーロは700万票台、17年7月の制憲議会(ANC)議員選挙で政権党連合は800万票台だった。今回600万票台に留まったのは、投票率が50%を下回ったことによる。
 2位の野党候補ヘンリー・ファルコンは197票(21%)だった。

 有権者の過半数は、長引く経済苦、政治抗争、国際社会での孤立感、チャベス派政権19年への飽きと疲れから棄権に回ったのだ。
 マドゥーロは現在の1期目の任期が終わる19年1月に2期目に入り、25年1月まで6年の新たな施政を任された。次回選挙は20年末の国会議員選挙であり、向こう2年半、選挙を気にせずに施政に集中できることになる。

 現在の任期が来年1月に切れるのは、故ウーゴ・チャベス前大統領の最終任期が13年1月に始まったからだ。マドゥーロは闘病中のチャベスに代わり大統領代行、3月5日にチャベスが死去してからは暫定大統領になり、4月の選挙に臨んだ。

 再選を果たしたマドゥ―ロは6月4日、通貨ボリーバルのゼロ3桁を外したデノミネイションを実施する。新紙幣発行で超インフレに対処しようという計らいだ。
 だが頼みの原油生産が過去30年来最低水準という日量150万バレルに低迷。トランプ米政権に起因する新たな「イラン危機」とともに国際原油価格を押し上げる要因となっている。資金欠乏から産油現場でのインフラ老朽化、労働力流出が著しく、増産に対応できないのだ。

 資金不足は、米国主導による金融封鎖が最大の原因。ドナルド・トランプ大統領は21日、ベネズエラ政府が資金調達のため進める国債販売と、国営ベネズエラ石油(PDVSA)による債務売却を規制する政令を出した。

 また米加墨亜伯智6か国は21日ブエノスアイレスで、ベネズエラ大統領選挙の結果を認めないとし、新たな「制裁」を検討するとの声明を出した。同市ではG20外相会合が開かれる。また11月30日から2日間、G20首脳会合が開催される。

 一方、反マドゥーロ連合である「リマグループ」(グリマ)加盟の亜パラグアイ伯智コロンビア秘CR巴ホンジュラス墨グアテマラ加ガイアナ・セントルシーアの14カ国は21日、ベネズエラ大統領選挙結果を認めないと表明。
 さらに「外交レベルを引き下げるため」として、ベネズエラ駐在大使召還、各国駐在のベネズエラ大使への抗議伝達の2点を決めた。また6月ワシントンでの米州諸国機構(OEA)外相会議で、「ベネズエラ問題」を議題にすることも決めた。

 国内では、分裂、弱体化して事実上「有名無実」化した保守・右翼野党連合(MUD)に代わり結成された「自由ベネズエラ拡大戦線」は21日に、活動方針を打ち出す予定。
 政府支持派論調は、「米国、欧州、グリマ、反動マスメディア群などによる策謀は敗北した」というような内容が目立っている。 

2018年5月21日月曜日

★ベネズエラ大統領選挙は現職マドゥーロ再選▼大統領は「国民対話」呼び掛け▼得票率68%弱、 投票率は46%▼「正常に実施」と国際監視団▼国軍は「大成功」と表明▼キューバ首脳が祝電▼ローマ法王からメッセージ▼米政府は選挙結果を認めず▼米国の内政干渉措置、一層厳しくなる見込み▼パラグアイが大使館をエルサレムに移転

ベネズエラで5月20日実施された大統領選挙は午後6時投票が終了。国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は同日夜、ニコラース・マドゥーロ大統領が582万票(得票率68%弱 )を得て再選された、と発表した。
 投票時間は12時間だった。有権者は2052万人。投票率は46%。マドゥーロ陣営は1000万票獲得を目標に掲げていたが、これには遠く及ばなかった。
 勝利宣言したマドゥ―ロ大統領は、国民対話を呼び掛けた。

 野党側候補は3人で、ヘンリー・ファルコン182万票(21%)、ハビエル・ベルトゥッチ92万票、レイナルド・キハーダ3万票だった。

 同盟国キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長とラウール・カストロ共産党第1書記は、別々に祝電をマドゥーロ大統領に送った。

   米国や一部ラ米諸国と連携して選挙ボイコット運動を続けてきた保守・右翼野党連合MUDなど反政府勢力は、「棄権率は70~80%に達した」との見方を根拠を示さずに示していた。

 これに対し、マドゥーロ大統領の選挙運動母体「ソモス・べネスエラ(私たちはベネズエラ)」のデルシー・ロドリゲス事務局長(制憲議会議長)は、「選挙は、棄権を呼び掛けていた側の敗北を明確にした」と述べた。
 これは「棄権率」が54%に留まったのを受けての発言と捉えることができる。

 だが国際監視団の一員としてカラカス市内を巡回したラファエル・コレア前エクアドール大統領は、「私はベネズエラの民主の祭典に参加した。投票は正常に実施された」と表明した。
 コレアは、カナダ政府が在加ベネズエラ人のための投票所設置を妨害しようとしたことに関し、同政府を厳しく批判した。

 ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ前スペイン首相も、「正常」と述べた。国際監視団は当初2000人とCNEは見ていたが、実際に到着し活動しているのは150人。

 国軍戦略作戦司令部のレミヒオ・セバージョス司令官は、全国1万4600余りの投票所のほか、電力施設などを厳重に警戒していると明らかにした。国軍兵士、警察官ら30万人が動員されている。
 またブラディミロ・パドゥリーノ国防相は、「ベネズエラは独自の運命、歴史、民主をもって選挙をしている」と強調。「きょう新たに祖国をつくる。祖国は参政、憲法順守、主権尊重によってつくられる」と述べた。
 選挙結果判明後には、「大成功の一日だった」と語った。

 一方、制憲議会(ANC)のデルシー・ロドリゲス議長は20日、「フランシスコ法王から、我が国の問題を解決する方法を見出すように、とのメッセージをいただいた。ベネズエラへの良き心の呼びかけと善意に感謝いたしたい」と表明した。
 法王はヴァティカンでの定例ミサで「平和と団結への道を探るべし」と表明した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領からは、「帝国(米国)の内政干渉と、選挙ボイコットの呼び掛けにも拘わらず、ベネズエラ民主の伝統が発揮された」との祝意がマドゥーロ大統領に届いた。

 米国のマイク・ポンぺオ国務長官は「ベネズエラ選挙は何も変革しない」と選挙を否定する見解を表明した。これに対しマドゥーロ大統領は、「クークラックスクラン(白人優越主義の極右団体KKK)の政府からの侵略は軽蔑されている」と反駁した。

 大方の予想どおりマドゥーロ再選なったが、ベネズエラへの内政干渉を厭わない米国と同調する諸国は、さらに厳しい圧力をかけてくる見込み。

 ロシア外務省は21日、米国のベネズエラへの内政干渉を厳しく非難した。

▼パラグアイが大使館を移転

 パラグアイは5月21日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移した。
式典には、パラグアイのオラシオ・カルテス大統領、Bネタニヤフ・イスラエル首相らが出席した。

2018年5月20日日曜日

 ベネズエラ大統領選挙の投票始まる▼国際監視団が各地に展開▼代表格はサパテロ前スペイン首相▼コレア前エクアドール大統領も到着▼米政府は実力者カベ―ジョ政権党副党首に「制裁」科す

 きょう5月20日午前6時、ベネズエラ大統領選挙の投票が始まった。世界各地から集まった選挙監視団が各地で監視活動をしている。
 国家選挙理事会(CNE)は、投票終了時刻を明確には表明していない。投票所に行列ができるなどして投票が長引くような場合、それを認める構えだ。

 選挙前の支持率調査では、D社がニコラース・マドゥーロ大統領43%、野党候補ヘンリー・ファルコン24%、H社がマドゥ―ロ52%、ファルコン22%。3番手はハビエル・ベルトゥッチでいずれも20%前後。ファルコンは、「ベネズエラ経済の米ドル化」を公約して注目されている。

 米国、欧州一部諸国、ラ米一部諸国は今選挙を認めないと表明している。マドゥーロ大統領は、これについて「欧州も米国も他者と対話し、他者を理解する能力を持っているはずだが」と語っている。

 CNEによれば、国際選挙監視団は2000人に及ぶという。その代表格ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ前スペイン首相(社民主義者)は18日カラカスでニコラース・マドゥーロ大統領らと会談。その後、記者会見し、「今選挙も投票の自由と安全が保障されている」と述べた。
 サパテロはまた、再選を狙うマドゥーロに次ぐ有力候補である野党のヘンリー・ファルコン候補とも19日カラカスで会談。内容は公表されていない。

 サパテロはマドゥ―ロ政権と野党など反政府勢力が厳しく対峙し始めた2016年から国際仲介団の中核として、ベネズエラ政治・政界に関与してきた。
 選挙をボイコットしている保守・右翼野党連合MUDの幹部は、サパテロ前首相を「裏切者」呼ばわりしている。これについて前首相は「選挙や対話をしなければ何も始まらない」と反論した。
 サパテロとともに、元フランス上院議長ジャンピエール・ベルや欧州連合(EU)の元高官も監視団に参加している。

 ラファエル・コレア前エクアドール大統領も参加。昨年、大統領任期を終え、夫人の故国ベルギーに住むコレアは、久々にラ米の「熱い現場」に身を置いている。
 アフリカ連合(AU)の駐米大使アリカナ・クアオもワシントンからカラカス入り。露中央選管派遣のワシリー・リハチョフも監視団に参加している。

 一方、米政府は18日、政権党PSUV(ベネズエラ統一社会党)の副党首で、大統領に次ぐ実力者のディオスダード・カベ―ジョ元国会議長に「制裁」を一方的に科した。「麻薬取引関与」などを理由にしているが、選挙直前のマドゥーロ体制への揺さぶり工作であるのは疑いない。

 

2018年5月15日火曜日

 米州諸国機構(OEA)の反マドゥーロ陣営「リマグループ」がベネズエラに20日の大統領選挙中止を「最後通牒」として要求▼背後に「軍事的選択肢」含むトランプ米政権の影▼ALBAが米政権による不安定化工作を糾弾▼ベネズエラでは選挙態勢整う 

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領の再選を阻止し、マドゥーロ政権打倒を目指す米州諸国で構成する「リマグループ」(グルーポ・デ・リマ=グリマ)は5月14日、ベネズエラ政府に対し、20日実施の大統領選挙を「合法性に欠ける」として中止を要求した。

 グリマはメキシコ市での外相・蔵相会合でベネズエラ問題を話し合い、「これが最後の申し入れだ」として選挙中止を要求した。
 米国が強大な影響力を持つ米州諸国機構(OEA、34カ国加盟)の保守・右翼陣営は、重要決定が全会一致制のため、VEN締め付け決議にことごとく失敗。そこで反マドゥーロ有志連合としてグリマを結成した。リマ市で結成されたため、グリマと呼ばれる。

 米政府は、反マドゥーロ有志連合の決議を受けてベネズエラに軍事侵攻する選択肢を重視している。マイアミに司令部を置く米南方軍の侵攻作戦計画が暴露されたばかりだ。

 加墨グアテマラ・ホンジュラスCR巴コロンビア秘智パラグアイ亜伯ガイアナ・セントルシーアの14カ国が加盟。米国は意識的に黒子として根回し役に回っている。
 セントルシーアは、ベネズエラが盟主の「我らのアメリカ・ボリバリアーナ同盟ー人民通商条約」(ALBA-TCP、通称ALBA=米州ボリバリアーナ同盟)にも加盟しており、ベネズエラ政府にとり「情報源」になりうる立場にある。
 域外からは、マリアーノ・ラホーイ右翼政権のスペインがオブザーバー的立場でグリマ会合に参加することがある。14日には参加した。

 キューバ以外の34カ国が加盟するOEAでグリマに加盟していないのは、「形式的不参加」の米国と、エル・サルバドール、ニカラグア、ハイチ、ドミニカ共和国(RD)、ベネズエラ、エクアドール、ボリビア、ウルグアイ、スリナム、およびジャマイカ、TTなどカリブ英連邦10カ国。

 構図化すれば、マドゥーロ政権をめぐる米州地図は、反対派がグリマ14カ国+米国、非反対派が19カ国+キューバということになる。グリマのセントルシーアは「鵺的存在」だ。

 一方、ALBAのダビー・チョケウアンカ事務局長(前ボリビア外相)は14日ハバナで、「LAC(ラ米カリブ)のベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、キューバなど進歩主義政権に対する米政府の内政干渉は受け入れられない」と、米政府を糾弾した。
 「進歩主義諸政権の社会政策を不安定化させようとしているトランプ米政権の国際十字軍は到底受け入れられない」とも述べ、グリマを暗に非難した。

 ニカラグア国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は14日カラカスで記者会見し、「選挙態勢は整った」とし、全国1万4638投票所(3万4143投票箱)の用意が完了したことを明らかにした。
 理事長はまた、保守・右翼野党連合(旧MUD)などが棄権を呼び掛けているのに触れ、「違法行為であり、逮捕を含め取り締まる」と警告した。

2018年5月14日月曜日

 トランプ米政権がラ米諸国を巻き込んでベネズエラに軍事介入を準備か▼アルゼンチン人ジャーナリストが米南方軍の侵攻計画を基に暴露▼筋書きは「20日のVEN大統領選挙前に攪乱工作、選挙後に周辺諸国から軍事介入」▼ニカラグア各地で略奪続く

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は5月13日、トランプ米政権と米州諸国機構(OEA)の(米国寄り)加盟諸国は、20日のべネズエラ大統領選挙前にマスメディアの宣伝作戦と並行してベネズエラで暴力活動を起こす不安定化計画を実施しようとしている、と非難。コロンビアのトゥマコに米軍部隊が集結していると、懸念を表明した。

 米国および同調諸国は選挙でニコラース・マドゥーロ現大統領が再選された場合、ベネズエラに軍事介入する計画だ、ともモラレス大統領は指摘した。

 ボリビア大統領の発言は、亜国人女性ジャーナリスト、ステラ・カロ―ニが13日、亜国紙ディアリオ・コンテキスト、ベネズエラのウルティマス・ノティシアス紙などに掲載された署名記事で暴露した「対VEN侵攻計画」を踏まえている。

 カロ―ニは、米南方軍司令官カート・ティッド海軍大将がまとめた機密文書を引用し、米軍が軍事介入する場合、パナマ、コロンビア、ブラジル、ガイアナのVEN周辺諸国が拠点となり、亜国など反マドゥーロ政権諸国が介入を支援する、と指摘した。

 また同文書には、「トランプ政権にとり、民主と安全保障に関する姿勢を示す最初の機会となろう」と記されているという。カロ―二は、「米国はチャベス主義を決定的に叩き潰そうと狙っている」と警告している。

 この「ティッド計画」は、マイク・ペンス米副大統領の「失敗国家(VEN)に国境はない」「vENのOEA加盟資格を停止させよう」、JMサントス・コロンビア大統領の「近くVENで政権が交代する」などの不穏な発言の基にもなっている。

 OEAから追放したうえでOEA諸国と「有志連合」を組んで軍事侵攻するのが、米国の常套手段。1962年、米国はキューバに対し、これをやろうとしてソ連に察知され、結果として核ミサイル危機に陥った。65年のドミニカ共和国内紛にも同じ方式で軍事侵攻した。

 一方、ホルヘ・アレアサVEN外相は13日、VEN選挙を認めないと表明している欧州や米州の国々に対し、「VENに敬意を表してほしい」と訴えた。
 VEN政権党PSUVのディオスダード・カべージョ副党首は同日、「MUD(野党連合)が棄権を訴えているのは選挙で勝てないからだ」と指摘。「国会は有名無実化しており、選挙後、国会議員資格を無効にする」と述べた。

 ヘスース・トレアルバ元MUD代表は13日、「MUDは分裂したのではなく消滅した」と明言。選挙後の再結集の備えるべく相互非難などを控えようと、旧MUD加盟会派に呼び掛けた。
 トレアルバはまた、同陣営が棄権でなく結集して投票すれば、ヘンリー・ファルコン野党候補がマドゥーロに勝つ、とも断言した。

 マドリードでは13日、マリアーノ・ラホーイ西首相とサントス・コロンビア大統領が会談、「VENの重大事態は民主的に解決すべきだ」という立場で一致した。これは米軍介入の可能性をカモフラージュする意図的発言、とも受け取られている。
 VEN周辺情勢の混乱は、2016年度ノーベル平和賞受賞者であるサントスが、米国などともにマドゥーロ政権打倒工作に走ったことにも起因する。

 ベネズエラ原油は11日、1b=66・57米ドル。

▼ニカラグア各地で略奪頻発

 反政府活動が激化しているニカラグアの首都マナグア、チナンデ―ガ、ボアコ、グラナーダ、レオン、マサヤの6都市で5月13日、スーパーマーケットなど商店が略奪された。

 被害の出ていない店の店主側は略奪に備え、棍棒、山刀(マチェテ)などで自衛している。警察は、暴徒が政権党支持派である場合、略奪を黙認しがちだという。