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2018年6月20日水曜日

 サッカーW杯:初戦に敗れたコロンビアが悲観に陥る▼一転して、日本の「正当な勝利」讃える▼早くも監督交代説▼場外で不祥事、日本女性が気付かずに馬鹿にされる▼ベネズエラ制憲議会議長決まる▼グアテマラ火山麓は墓地化か

 W杯H組初戦で日本に敗れたコロンビアでは悲観的な論調が充満している。6月19日の各紙電子版は一斉に「敗北の悲劇」を伝えている。

 エル・エラルド紙は、「ロシア2018の悲しい初戦」と題して報道。試合開始3分後のカルロス・サンチェスの赤札一発退場について、「1986年メキシコ大会でのウルグアイ選手ホセ・バティスタの開始後52秒の退場に次ぐW杯史上2番目の早さだった」と指摘した。
 さらに、「コロンビアは日本の鉄壁の守備陣によって、動くべき空間を封じられた」と評した。

 エル・エスペクタドール紙は、「H組で最もつつましい存在と見られていた日本は正当な勝利者として競技場を後にした 」と日本チームを讃えた。

 「コロンビア:悪い発進」の見出しを掲げたAS紙は、「日本は相手が1人減った後、秩序を保ち、驚愕したコロンビアの空間を封じてしまった」と、これまた日本を評価した。

 エル・ティエンポ紙は、サランスクの競技場で観戦したハメス・ロドリゲスの娘サロメ―が試合後、母親ダニエーラと抱き合って泣いていた、と写真付きで報じている。衝撃的敗北を象徴する場面として捉えたようだ。

 当のハメスは、「顔を上げ、忍耐をもって、次の試合に希望を託そう」と表明。ラダメ・ファルカオも、「敗戦は悲しいが、この逆境を好機に変えよう。対ポーランド戦は命がけで戦う」と決意を表した。

 コロンビアのホセ・ポケルマン監督への批判も渦巻いている。「引き分けを狙っていたさなかに決勝ゴールを決められてしまった」という見方が多い。
 采配の誤りは、クアドラードとキンテーロを交代させたことと、不調のハイメを出場させたこと。この批判も多い。

 監督自身、「サンチェス退場後、試合の進め方が複雑になった」と述べ、「コロンビアの決勝リーグへの展望を日本が暗くした」と本音を吐いた。

 「大会終了後、監督が交代する可能性がある。ドイツ相手にメキシコを勝たせたフアン=カルロス・オソリオ監督(コロンビア人)が有力な選択肢だ」ーこうした観測が早くも 各紙誌面を賑わわせている。

 一方、サランスクの競技場外でも問題が起きていた。コロンビア人の男性サポーターが禁じられている酒を観客席に持ち込んで飲んでいる映像が公開され、ロシア当局は調査するもよう。
 コロンビア外務省もこの問題を把握、懸念を表明している。

 また試合後、観客席でごみを片付けていた日本の若い女性サポーター数人に、コロンビア人男性サポーター2人が、スペイン語で「私は雌犬だ。どこにでも行く売春婦だ」と言わせた映像が公開され、問題になっている。
 「これが問題の<2人のスペイン語教師>だ」と、同男性2人を糾弾する記事も出ている。「日本人女性が西語を理解しないのをいいことに卑猥な言葉を押し付けた」と厳しい。

 あるコロンビア人女性は、「いったいどんな種類のコロンビア人がロシアに行っているのだろう。恥ずかしい。すべての日本人女性と世界の女性にお詫びしたい」とSNSで発信している。

▼ベネズエラ制憲議会新議長決まる

 制憲議会(ANC)新議長に6月19日、ディオスダード・カベ―ジョ元国会議長が選出された。デルシー・ロドリゲス(前)議長がこのほど執権副大統領に転出したため、後任選びが進められていた。

 カベ―ジョは、マドゥーロ政権の政権党PSUV(ベネズエラ統一社会党)の副党首。元陸軍中尉で、故ウーゴ・チャベス前大統領の側近だった。陸軍中佐だったチャベスが空挺、戦車部隊を率いて1992年に起こしたクーデター未遂事件にも参加した。

▼グアテマラ火山の麓一帯は墓地化か

 フエゴ火山の大爆発で厚い火山灰に覆われた麓一帯は、埋没した住民の遺体や家屋を発掘しないまま、広大な墓地(カンポ・サント)になるもよう。当局者が6月19日明らかにした。
 6月初めからの爆発で、171万人が被災、1万3000人が家屋を失った。110人が死亡、197人が行方不明となっている。

2018年6月18日月曜日

 コロンビア次期大統領に右翼政党候補イバン・ドゥケ▼決選で左翼候補グスタボ・ペトロを下す▼FARCは和平合意改悪は内戦再開を招くと警告、対話を求める▼ベネズエラ外務省がニカラグア情勢で声明発表

 コロンビア大統領選挙決選は6月17日実施され、野党「民主中央」のイバン・ドゥケ候補(42)が当選した。予想通りの結果だった。8月7日就任する。

 極右のアルバロ・ウリーベ前大統領が率いる同党は、サントス現政権が2016年11月に到達したゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)との和平合意に強く反対していた。ドゥケは当確後、記者団を前に「和平合意を修正する」と言明した。

 これに対し、政党化したFARC(人民革命代替勢力 )の最高指導者ティモチェンコことロドリーゴ・ロンドーニョは記者会見で、「次期大統領に思慮分別を求める」と表明。合意が改悪されればコロンビアは再び政治暴力の巷に陥るだけだ、と警告した。
 さらに次期大統領に会って話し合う用意があると強調した。

 対抗馬の左翼・中道左翼・進歩主義路線の「人間的コロンビア運動」のグスタボ・ペトロ候補は善戦したが、及ばなかった。

 選管発表では、開票率93%段階での得票率は、ドゥケ54・28%(1031万票)、ペトロ41・54%(800万票)。投票率は44・35%。

 第1回投票は5月27日実施され、候補者5人が出馬、ドゥケ39%、ペトロ25%で、それぞれ1、2位となり、決選に進出した。

 前評判を覆せなかったペトロは、「これは敗北ではない。800万人もが私に投票してくれた」と述べ、ドゥケ次期政権に対し、野党の立場で平和構築や腐敗掃討などに尽力すると表明した。

 FARCのティモチェンコも、「従来と異なる野党勢力が国会に生まれる」と述べ、ペトロらの活動への期待を表明している。

 ペトロは上院議員、その副大統領候補だったアンヘラ=マリーア・ロブレードは下院議員になる。1991年の改憲で、決選に進出し敗れた正副大統領候補にはそれぞれ上下両院議席が与えられることになったが、国会はこの規約を昨年4月ようやく承認した。

▼VEN外務省がニカラグアに関し声明発表

 ベネズエラ外務省は6月17日声明を発表、二カラグア反政府勢力による政治目的での暴力行使を糾弾した。声明はまた、マナグアの貧困地区で2人が路上で焼き殺され、一家6人が自宅を放火され焼死した最近の事件を非難した。

 そのうえで、問題解決は対話によるしかないと強調した。声明は、暴動鎮圧のため出動しているオルテガ政権系私服武装組織による殺傷には触れていない。

 一方、ベネズエラ政府と反政府勢力の若い対話を仲介しているホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元スペイン首相は15日カラカスで、野党の民主行動党(AD)、新時代(UNT)の代表および、国家選挙理事会(CNE,中央選管)の元幹部と会合した。

 サパテロはマドゥーロ政権が、反政府政治暴力事件などに関与し収監ないし拘禁されている囚人のうち、昨年12月69人、今年6月123人、計192人を釈放したのを、和解に貢献する措置として評価した。

 

2018年5月28日月曜日

 コロンビア大統領選挙の第1回投票終了▼ドゥケとペトロの両候補が決選進出★この国で極めて稀な左右対決へ▼ウリーベ前大統領に麻薬マフィア資金使用疑惑▼エル・サルバドール政権党が次期大統領候補選ぶ

 コロンビアで5月27日午前8時から午後4時まで、大統領選挙第1回投票が実施された。登用率は53%。5人が出馬したが、予想通り過半数得票者はなく、上位2人が6月17日の決選に進出することになった。当選者は8月7日就任する。任期は4年。

 開票率99%段階で、得票率はイバーン・ドゥケ39%、グスタボ・ペトロ25%。この2人が決選に進出する。現代コロンビアでは内戦が事実上なくなった状況での初の大統領選挙であり、右翼ドゥケと左翼ペトロの左右対決が決選で実現する。

 争点は、和平合意見直し、隣国ベネズエラ問題、国内貧富格差是正など。

 第1回投票の候補者:グスタボ・ペトロ(58)、「人間的コロンビア運動」、エコノミスト、左翼。イバーン・ドゥケ(41)、「民主中央」、弁護士、右翼。ウンベルト・デラカージェ、自由党。セルヒオ・ファハルド、「市民公約」。ヘルマン・バルガス=ジェラス、「バルガス・ジェラス より良い運動」。

  ドゥケは、前上院議員で、アルバロ・ウリーベ前大統領の後継候補。2016年11月の政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍。現在は政党FARC=人民革命代替勢力)との和平合意の見直しを訴えている。

 4月9日、ハバナでの和平交渉にも参加したFARC幹部ヘスース・サントゥリチ(本名セウシス・エルナンデス)がメキシコのシナロア麻薬マフィアと組んでコカインなどを米国に密輸する計画を進めていたとして逮捕された。
 米政府は6月7日までに、サントゥリチの身柄引渡をコロンビア政府に要請する方針。米国は、サントゥリチとシナロアマフィアとの策謀は16年12月で、和平合意のすんだ後のことであり、合意にあるFARC幹部らへの免罪・恩赦の規定は当てはまらない、との立場だ。

 この逮捕事件後、FARC和平交渉首席代表だった最高幹部の一人イバーン・マルケスは、和平合意が突然破られて逮捕される危険があるとの理由で、武装解除された元FARC要員が固まっている南部の密林地帯に避難した。
 和平合意により、政党FARCは7月の新国会開会時に、上下両院に5つずつ計10議席を与えられることになっている。サントゥリチもマルケスも、その10人に含まれている。 
 因みに、FARC最高指導者ロドリーゴ・ロンドーニョ(通称ティモェンコ)は病気などを理由に大統領選挙出馬を取り止めた。

 サントゥリチは、コロンビア産の麻薬を太平洋岸からメキシコ方面に船で運び出す計画で、この船舶輸送には和平に反対したFARC分派も関与していたとされる。
 同分派は3月、エクアドールのエル・コメルシオ紙取材班3人をコロンビア国境地帯で殺害した集団。事態は極めて複雑だ。政党FARCは、ドゥケが8月政権に就いたら、FARC弾圧が始まると予測、警戒を強めている。

 一方、ペトロは元ゲリラ「4月19日運動」(M19)要員で、元首都ボゴタ市長。公約に、石油・石炭など外貨収入源の輸出を抑え、農業拡大で代替する案や、大胆な農地改革、税制改革などを挙げている。いずれも富裕層には呑めない公約ばかりだ。
 ドゥケが代表する富裕層・保守・右翼勢力は、「ペトロはコロンビアをマドゥーロ政権のベネズエラのようにしようとしている」と虚偽宣伝に躍起だ。

 第1回投票で落選した3位以下は、ファハルド(得票率23・7%、元アンティオキア州知事、元メデジン市長)、バルガス=ジェラス(7%、サントス現大統領の後継候補)、デラカージェ(2%、元対FARC和平交渉政府首席代表)の順。

▼NYTがウリーベ前大統領と麻薬組織の関係報じる

 NYT紙は5月26日、解禁された米国務省外交文書を基に、1990年代前半、アルバロ・ウリーベ(後の大統領)はメデジン麻薬マフィアから選挙資金をもらっていたもよう、と報じた。

 当時のコロンビア自由党のルイス・ペレス上院議員が米外交官との会合で語ったとされる情報によれば、お尋ね者だったメデジン麻薬マフィアの頭目パブロ・エスコバル(故人)は当時のガビリア大統領との接触を図るため、選挙資金提供と引き換えに、同マフィア幹部のオチョア一家経由で大統領と連絡が取れるようにしてほしいと持ち掛けた。
 またウリーベは、エスコバルの母親と直接連絡を取った、という。ウリーベは、NYTの報道内容を否定している。

▼エル・サルバドール政権党が大統領候補選出

 ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)は5月27日予備選挙を実施、2019年2月3日の大統領選挙に出馬する候補として、ウーゴ・マルティネス外相を選んだ。
 対立候補はジェラルド・マルティネス前公共事業相。外相は得票率70%強だった。

2018年5月27日日曜日

 サントス・コロンビア大統領が「来週NATO協賛国になる」と発表▼OECD加盟が成った日に表明▼トラテロルコ条約抵触、ラ米・カリブ平和地域決議違反などの非難高まる▼ベネズエラが米国人釈放

 コロンビアのJMサントス大統領は5月25日、同国は来週、NATO(西語でOTAN=北大西洋条約機構)の域外協賛国になると発表した。31日にブリュッセルのNATO本部で手続し、最終決定するという。

 サントス政権は、ゲリラFARCとの和平最終合意が成った翌月の2016年12月、NATOに申請、このほど最終手続き段階に達したという。
 大統領は、豪州、乳国(NJ)、日本、韓国、モンゴル、パキスタン、イラク、アフガニスタンが既に同じ資格の協賛国になっていると付言した。

 コロンビアは25日、OECD(経済協力開発機構)への加盟が認められたばかり。サントスは、その日にNATO協賛国入りを明らかにした。

 この決定に対しラ米では、NATOに米英仏の核保有3国が入っているため、「ラ米核兵器禁止条約」(トラテロルコ条約)に抵触する、という反対意見が浮上している。
 LAC(ラ米・カリブ)を平和地域にすると宣言したCELAC(ラ米・カリブ諸国機構部)の決定に反する、という指摘もある。反対意見がラ米に渦巻くのは必至だ。

 また、FARCとの和平達成で16年にノーベル平和賞を受賞したサントスの言動は受賞者にふさわしくない、との厳しい批判も出ている。サントスは今回の協賛国加盟を「ラ米最初の特権」と自賛している。

[ベネズエラ外務省は26日、コロンビアがNATO協賛国になることに関し声明を発表、「ラ米・カリブ地域の平和にとって脅威になる」と非難した。] 

▼ベネズエラが米国人釈放

 政府は5月26日、米国人ジョシュア・ホルト(24)と、その妻タマーラ・カレーニョ(赤道国系VEN人)を釈放。2人は同日、米国に飛び去った。

 政府発表によると、2人はモルモン教徒。2016年6月、スパイ容疑でVEN諜報機関SEBINに逮捕された。ミランダ州内の自宅からAK47突撃銃、M4複製銃、弾薬多数が押収された。カラカスの戦略拠点を示した地図も持っていた。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は25日カラカスで、ボブ・コーカー米上院外交委員長と外交関係をめぐって会談。コーカー上院議員はホルト夫婦釈放を求めていた。
 VEN人反政府活動家20人も26日釈放された。

2018年5月10日木曜日

 コロンビア政府とゲリラELNとの和平交渉はハバナできょう再開▼サントス大統領は8月の任期切れまでには最終合意は困難との見方示す▼新たな停戦合意が鍵▼今月27日にはコロンビア大統領選挙

 コロンビア政府とゲリラ組織「民族解放軍」(ELN、兵力1500~2000人)の和平交渉第5段階は5月10日、ハバナで再開した。
 交渉仲介国キューバのイバン・モラ代表は、2014年1月ハバナで開かれた第2回CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)首脳会議で、LAC(ラ米・カリブ)を平和地域にするという決議が採択されたことに触れ、和平合意達成に期待を表した。

 JMサントス大統領は滞在中のベルリンで、次期政権が発足する8月7日までに和平最終合意に達するのは困難との見通しを明らかにしながらも、「次期政権に良い道筋を残してあげたい」と、ハバナ交渉の進展に期待を表した。

 ELN首席代表のパブロ・ベルトゥラーンは、今年1月に終わった第1回停戦に次ぐ第2の、だが「堅固な停戦に漕ぎ着けたい」と表明。だが同代表は、2016年11月にFARCと和平合意した政府がその後、「合意事項を誠実に遂行していないことにELNは懸念を抱いている」とも口にした。

 コロンビアでは今月27日、大統領選挙が、6月17日に決選投票がそれそれ実施される。世論調査では、極右アルバロ・ウリーベ前大統領の子飼いイバン・ドゥケ候補が決選で勝つ公算が大きいと見られている。
 ベルトゥラーン代表は9日ハバナで、「選挙結果が気になる」と述べたが、「しかし和平交渉は選挙の争点ではない」と指摘した。

 コロンビア政府のグスタボ・ベル首席代表も、新たな停戦を実施し、サントス政権末期までに最終合意に到達したい意志を表明した。コロンビアでは緑の党、民主軸、進歩主義党、自由党など中道・中道左翼陣営が和平交渉支持を打ち出している。

 この和平交渉は17年2月に赤道国首都キトで始まったが、同年5月就任したレニーン・モレーノ赤大統領は先月、和平仲介国(交渉場所提供国)であることを止めた。
 その結果、新たな貸座敷はFARC和平で実績のあるキューバと決まった。ELNはかつて、チェ・ゲバラの革命思想に共鳴するゲバリスト路線をとっていた。

2018年5月6日日曜日

 コロンビア政府とゲリラELNの和平交渉はハバナに場所を移して続開へ▼エクアドール大統領の貸座敷打ち切りを受けて▼パナマ大統領が制憲議会開設方針を発表▼パナマ駐在の米大使がトランプ政権嫌って辞任

 コロンビア政府とゲリラ組織「民族解放軍」(ELN)は5月5日、和平交渉を7日以降ハバナで実施する、と発表した。キューバ政府も5日、双方からの要請を受けて和平交渉の貸座敷となることを決めた、と発表した。
 ハバナでは2012~16年、コロンビア政府とゲリラ組織「コロンビア革命軍」(FRAC)の和平交渉が続けられ、16年11月、和平は実現した。

 COL政府とELNは2017年2月、赤道国首都キト郊外で和平交渉を開始、10月から今年1月にかけての停戦に漕ぎ着けた。交渉は第5段階に達していたが、4月18日、レニーン・モレーノ赤大統領が交渉貸座敷提供打ち切りを表明、当事者双方は新たな交渉場所を探していた。

 キト交渉はラファエル・コレア前赤大統領が受け入れたが、後継者だが保守的なモレーノ大統領は貸座敷であることに必ずしも乗り気でなかった。
 3月から4月にかけて赤主要紙エル・コメルシオの取材班3人がコロンビア国境地帯で、武闘を継続するFARC分派に殺害されたのを受けて打ち切りに踏み切った。
 その理由として「ELNがテロリズムを止めていないこと」を挙げたが、不可解な説明であり、貸座敷であるのを止めたい意思表示と受け止められていた。

 ELNは1964年に武闘を開始した大学生やスペイン人カトリック神父が主体の組織。富裕層出身の神父だったカミ―ロ・トーレスも政府軍との戦闘で死んでいる。
 ELNは故エルネスト・チェ・ゲバラの思想(ゲバリズモ)を信条とし、コロンビア主義の強かった農民と共産党主体のFARCとは一線を画していた。

 ハバナでの新たな和平交渉は、19日に発足したミゲル・ディアスカネル玖国家評議会議長にとり、最初の重要な多国間外交事業となる。ベネズエラ、ブラジル、チリ、ノルウェーも保証国として和平交渉に関与している。

▼パナマが制憲議会設置方針を発表

 フアン=カルロス・バレーラ巴大統領は5月5日、新憲法ないし改憲の草案を起草する制憲議会の議員60人を選ぶ選挙を、2019年5月5日の総選挙と同時に実施すると発表した。7日から国内各界に諮問するという。

 制憲議会開設は同大統領の選挙公約だった。だが任期が残り一年余りとなった今、具体策に踏み切ったことに異論が巻き起こっている。「バレーラ派の長期支配が狙いではないか」という非難が野党からは出ている。
 総選挙では正副大統領、中米議会議員、市長、市会議員、集落役員を選出する。これに制憲議会議員が加わることになる。

 一方、米国のジョン・フィーリー駐巴大使は5日、トランプ政権下ではやっていけないとして辞任した、と公表した。米国務省は、同大使が3月9日付で辞表を提出していたことを明らかにした。

 

2018年4月29日日曜日

 コロンビア大統領選挙は右翼ドゥケ、左翼ペトロの両候補が決選進出の公算▼決選ではドゥケ優位か▼チリ大統領が縁故主義批判受け大使人事撤回

 コロンビア大統領選挙は5月27日に実施されるが、その1カ月前の4月27日、支持率調査結果が公表された。候補者は7人。過半数得票者がいない場合は、上位2候補が6月17日の決選に進出する。

 最有力候補は支持率41%のイバン・ドゥケ(41)。極右のアルバロ・ウリーベ前大統領の子飼い。ウリーベの政党「民主中央」(CD)から出馬。弁護士で、今月まで上院議員(1期目)だった。

 2番手は、32%のグスタボ・ペトロ(58)。「人間的なコロンビア」(CH)運動から出馬。青年時代に旧ゲリラ組織「4月19日運動」(M19)に参加。シパキラー市議だった80年代半ばの2年間、獄中にいた。中道左翼。
 ベルギー駐在大使、下院議員、上院議員、ボゴタ市長を歴任。2005年には「代替民主軸」(PDA)PDAから大統領選挙に出馬、133万票(得票率9%)を得て落選した。

 ドゥケとペトロが決選に進出する公算が大きい。3位以下は、セルヒオ・ファハド(連立コロンビア=CC)13%、ヘルマン・バルガス=ジェラス(前副大統領、政権党候補)8%、ウンベルト・デラカージェ(元和平交渉政府代表、自由党)2・5%など。

 決選では、ドゥヶ555%、ペトロ42・5%で、ドゥケが優位と見られている。ウリーベらは、「ペトロが勝てばコロンビアはベネズエラ化する」と、ペトロ陣営に対し激しい虚偽的罵倒攻撃を展開している。

▼チリ大統領が大使人事撤回

 セバスティアン・ピニェーラ智大統領は4月28日、実弟パブロを亜国駐在大使に任命した人事を撤回すると発表した。

 大統領は19日この人事を決定したが、野党陣営から縁故重用との非難が巻き起こった。3月11日に2期目に就任したばかりの富豪大統領は、重要人事の撤回に追い込まれ、大きな失点を記録した。

 
 

2018年4月10日火曜日

 コロンビア現代の暴力状況の走り、「ボゴタソ」(ボゴタ騒乱事件)から70年。依然解明されていないガイタン暗殺動機

 1948年4月9日、コロンビア自由党の大統領最有力候補だった政治家ホルヘ=エリエセル・ガイタンが首都ボゴタ中心街で暗殺されてから70年が過ぎた。この日、首都をはじめ各地で追悼行事が催された。
 80代の娘グロリア・ガイタンは、「父の死でコロンビアの歴史の方向性が変わってしまった」と述べた。
 グロリアは、「この国の歴史上、大きな転換を企図した政治家は2人しかいない。(大コロンビア時代の)シモン・ボリーバルと父ガイタンだ」と前置きし、「ボリーバルは王政を共和制に変えた。ガイタンは代表制民主制を直接民主制に変えようと期していた」と述べた。

 70年前、コロンビアでは1946年の大統領選挙で勝ったマリアーノ・オスピーナ=ペレス大統領の保守党強権政権が支配していた。自由党内がガイタン派と反ガイタン派に割れ、オスピーナが選挙で漁夫の利を得たのだった。
 ガイタンは、演説で「私は一介の人間ではない。私は人民だ。人民は指導者(権力者)に勝る」と強調、広範な農地改革を公約に掲げていた。
 国立コロンビア大学法学部に学び弁護士になったガイタンは、卒論として「コロンビアにおける社会主義思想」を書いていた。
 1950年の大統領選挙では、ガイタンが圧倒的支持を得て大勝すると誰もが予測していた。これを恐れたのが、保守党と、反共主義が本流になっていた米国だった。
 彼ら保守・右翼勢力は、コロンビアの自由党と共産党が1949年3月末に交わした「協力文書」を警戒していた。

 70年前の4月9日、ガイタンは友人たちとボゴタ中心街で昼食をとり、表に出たとたん、待ち受けていたフアン・ロア=シエラという26歳の労働者に拳銃で銃弾3発を見舞われた。病院に搬送され輸血を受けたが、そのさなかに死亡した。
 ロアは駆け付けた警官に促されて近くの薬局に身を隠そうとしたが、集まった群衆に引っ張り出され、私刑に遭って殺された。その遺体は綱をかけられて、中央広場方面に運ばれた。
 ボゴタではたちまち暴動・略奪が始まり、植民地風の建物多数を含む建物136か所が破壊された。死者は550~2000人に達したと伝えられる。
 暴動は全国的に波及、保守・自由両党の長年の確執と相まって状況は内戦の方向に傾斜してゆく。ガイタン暗殺に始まるボゴタ騒乱事件は「ボゴタソ」と呼ばれる。

 ボゴタソ後、ゲリラ勢力が形をとり、1959年のキューバ革命の影響もあって、60年初頭以降、にコロンビア革命軍(FARC)、民族解放軍(ELN)、解放人民軍(EPL)、キンティン・ラメ、4月19日運動(M19)などが結成された。
 ゲリラ勢力は、国軍、警察、極右自警団、麻薬組織戦闘組織を相手に戦闘、コロンビアは長期的な内戦状態に陥った。
 コロンビア史には「ビオレンシア」(暴力状況)が付きまとってきたが、ボゴタソは現代ビオレンシア開始の契機となった。

 内戦は最後に残った2組織のうち最大FARCがキューバのハバナでのコロンビア政府との4年間の和平交渉を経て2016年10月、和平に到達。FARCは今年18年の国会議員選挙に参加した。
 一方のELNはエクアドール首都キトでコロンビア政府と和平交渉を維持しているが、和平には達していない。

 「記憶と犠牲者連帯委員会」の統計では、半世紀を超える内戦で、98万3000にんが死亡、16万6000人が行方不明、3万5000人が拉致・誘拐された。当局の拷問に遭ったのは1万人。黒人・先住民ら農民713万人が土地を奪われ、国内避難民となった。負傷者は数百万人に及ぶ。

 「真実究明委員会」のフランシスコ・デロー委員長は4月9日、グロリア・ガイタンら遺族や関係者に会い、証言を聴取。ガイタン家に保管されている資料の分析作業に着手した。
 「誰がフアン・ロア=シエラにガイタン殺害を命じたか」。この謎は解明されていない。私刑加担者はどのような政治勢力の利益を代表していたのか。これもわかっていない。

 ボゴタソには興味深い逸話がある。ハバナ大学法学部学生だったフィデル・カストロが
暴動現場に遭遇、一時、「暴動に参加した」という伝説だ。
 フィデルは、当時の亜國大統領フアン・ペロン将軍が支援していたラ米大学生会議の準備会議出席のためボゴタに滞在、ガイタン暗殺の2日前、ガイタンに会っていた。
 フィデルは、群衆が警察署を襲撃して武器を奪うのを目の当たりにし、これにも閃きを得て、5年後1953年7月26日のモンカーダ兵営襲撃を決行した。
 また1948年4月末、ボゴタソの直後だが、ボゴタに集まった米州諸国外相は「米州諸国機構」(OEA)結成を決めた。
 さらに、作家ガブリエル・ガルシア=マルケスは自伝に、ボゴタソ現場に居合わせたと書いている。そして「フィデルと極めて近いところにいた」という趣旨のマジック手法を展開している。

2017年3月4日土曜日

コロンビアで過去14ヶ月間に人権活動家120人殺さる

 コロンビアのオンブズマン、カルロス・ネグレーは3月3日ボゴタで、2016年元日から17年2月20日までの期間に同国で人権活動家120人が殺害された、と発表した。他に33人が対人テロに遭い、27人が攻撃対象になった。

 16年は、コロンビア政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)との和平交渉の山場だった「和平特別法制」策定で合意した15年9月の後で、和平に現実味が増した時期だった。内戦で利益を得る極右勢力らは和平に反対、和平過程実施に関与する人権活動家をも目の敵にしてきた。

 ネグレーは、昨年末からFARCが全国各地の支配地域を離れ、武装解除のため集結地に移動したことから、FARCの居なくなった地域に極右武装組織(パラミリタレス)など無法集団が入り込み、市民殺害などに関与している、と指摘した。

 同オンブズマンは、和平合意を受けて創設された「特別捜査隊」(UEI)が一連の人権活動家殺害事件を急ぎ捜査し、活動の安全を補償するよう、政府当局に要請した。FARCが支配地域に展開していた期間は、同地域一帯で活動していた人権活動家はFARCによって安全が守られていた。

 FARCは現在、武装解除過程にあり、半年後には解除が終わり、社会復帰過程に入る。「丸腰」になった後、極右勢力に暗殺される可能性を強く懸念している。1980年代後半、FARCの政党「愛国同盟」(UP)の党首2人を含む党員3000人が殺害された事実があるからだ。

 ノーベル平和賞を昨年受章したJMサントス大統領は、威信にかけて極右による殺戮を防止せねばならない立場にある。

▼ラ米短信   ◎ルネ・プレヴァル元ハイチ大統領死去

  ルネ・ウレヴァル(73)が3月3日、心臓発作で死去した。アリスティド政権期の1990~91年首相を務めたが、91年9月末の軍事クーデターで亡命。帰国後、「民主同盟」(ALYANS)を結成、大統領の座を目指し政治運動を展開した。

 その結果、96~2001年、06~11年の2期、政権に就いた。2期とも5年の任期を満了、この国の現代民政史上、快挙とされている。2月7日のJモイーズ同国大統領就任式に出席したのが人前に出た最後だった。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ大統領がペルー大統領に注文

  ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統は3月3日、PPクチンスキ秘大統領が先ごろワシントンでDトランプ米大統領と会談した際、「ラ米は、重大な問題であるベネスエラを除いては、絨毯に寝そべる犬であり、米国には無害だ」と述べたのを「ラ米全体への誹謗で容認できない」として、発言を公式に取り消すよう要求した。だがマドゥーロはクチンスキに、将来、相互に敬意を払いながら会談したいと呼び掛けた。

 一方、タレク・エルアイサミ副大統領は3日、経済・社会政策の成果について報告、昨年の失業率は7・5%だったとし、今年は4・5%に減らしたいと述べた。極貧率は4・4%に落ちたと指摘。1999~2016年の期間に大学進学率が240%増えたと強調した。 
 
 

2017年3月2日木曜日

コロンビア革命軍(FARC)ゲリラの武装解除始まる

 コロンビア最大のゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍、戦士6900人)の武装解除が3月1日始まった。2012年11月ハバナでのコロンビア政府とFARCとの和平交渉開始から4年4カ月、昨年11月の和平最終合意から4カ月目、双方は武装解除段階に漕ぎ着けた。

 FARC要員は2月までに国内26カ所の集結地域に入っていた。国連および国連に委託されたCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)の管理下で集結したFARC要員のうち、最初の322人が武装解除に応じている。

 和平交渉を促進しノーベル平和賞を昨年受章したJMサントス大統領は1日、「きょうFARCの合法化過程が始まった。3月1日からまず要員全体の3割を武装解除する。5月1日からは3~4割を、6月1日からは残り3割方の武装を解除する」と明らかにした。全体の武装解除日程は180日。

 解除された武器には通し番号が付けられ、所有していたゲリラの氏名、武器の種類、型が登録される。武装解除がすべて終わったら武器は破壊され溶かされ、その金属で和平記念碑を3つ造る。和平交渉の実った地ハバナ、NY国連本部、コロンビアにそれぞれ設置される。

 政府は現在、エクアドールのキト郊外で2月から、第2のゲリラ組織ELN(民族解放軍)を和平交渉を続けている。

▼ラ米短信   ◎中国がプエルト・リコ投資会合に参加

 米植民地プエルト・リコ(PR)の首都サンフアンで3月1~3日、「中国・PR投資フォーラム」が開かれており、中国人投資家および企業代表150人が参加している。

 中国の石油企業は昨年12月、メヒコでのメヒコ湾深海油田開発入札で米経済水域に近い開発地区の開発権を落札している。この落札やPRでの投資は、中国の南シナ海での軍事的進出を牽制している米国への「逆牽制」と受け止められている。

 PRでは6月11日、住民投票が実施される予定で、PRの「米国併合=51番目の州化」、もしくは「独立」かを決める。「独立」が過半数を占めた場合、「(国防・外交権のない)自由連合国(ELA)」か「完全独立」かを問う新たな住民投票が10月8日実施される。

▼ラ米短信   ◎ボリビア大統領がクーバで診断

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は3月1日ハバナ入りした。喉の炎症の診断のため。エボは数日来、声がかれ、「失声症」とされている。2日後には演説機会があり、ハバナで「声の回復」を図る。

2017年2月11日土曜日

 ノーベル平和賞受賞のサントス・コロンビア大統領の選挙戦に収賄資金? ブラジル建設会社オデブレヒトの一大贈賄事件がラテンアメリカを揺さぶる

 ブラジルおよびラ米の最大手建設会社オデブレヒトに絡む贈収賄事件がラ米を揺さぶっている。同社は昨年12月21日、米司法省と司法取引し、2009~14年にラ米10ヵ国とアフリカ2カ国で総額7億8800万ドルの賄賂を贈ったと供述、波紋が拡がった。

 その12カ国は、ブラジル、亜国、エクアドール、ペルー、コロンビア、ベネスエラ、メヒコ、パナマ、グアテマラ、ドミニカ共和国、アンゴラ、モサンビーク。アフリカ両国は、ブラジルと同じポルトガル語圏。

 ペルーでは、アレハンドロ・トレード元大統領が自動車道建設事業に絡み2000万ドルを収賄していた事実が明らかになり、逮捕状が出されている。トレードは事態を察知しパリに逃亡、所在不明となっている。ペルー政府は国際刑事警察機構(インターポール)に逮捕を要請するとともに、逮捕につながる情報提供者に賞金3万ドルを贈ることにしている。

 コロンビアでは2月7日、検察庁が、2014年の大統領選挙の選挙戦時、オ社資金100万ドルが現大統領JMサントス陣営に渡った疑いがあると明らかにした。サントス大統領は直ちに検事総長に電話し、証拠の有無を尋ねたという。

 これも自動車道建設事業に絡む汚職で、1100万ドルがコロンビア側に渡されたが、100万ドルはその一部。香港企業経由で渡されたとの情報もある。検察庁は国家選挙理事会(中央選管)に調査を要請した。 

 サントスは昨年、ゲリラFARC(コロンビア革命軍)との半世紀余り続いた内戦の和平に漕ぎつけ、ノーベル平和賞を受賞した。2月7日には、残るゲリラELN(民族解放軍)との和平交渉を赤道国のキト郊外で正式に始めたばかり。サントスの威信が陰れば、FARCとの和平過程深化、およびELNとの和平交渉に影響が出ると懸念されている。

 サントスにとり「不幸中の幸い」は、14年選挙で対立候補だった右翼政党「民主中心」(CD)のオスカル・スルアガ候補もオ社から160万ドルを受け取っていた疑惑が出ていること。

 一方、パナマでは1月下旬、リカルド・マルティネリ前大統領が建設事業に絡んでオ社から2200万ドルを収賄した事実が暴露された。この金は、スイスにあるマルティネリの息子2人名義の銀行口座に入っていた。スイス政府は、同口座を凍結した。前大統領は米国に逃亡中。

 ところが事態はさらに発展、2月9日、パナマのJCバレーラ現大統領がオ社から14年の大統領選挙戦時、資金を受け取っていたと告発された。昨年4月以降、国際社会を震撼させてきた「パナマ文書」に関与しているパナマ市のモサック・フォンセカ法律事務所のラモーン・フォンセカ弁護士が暴いたのだ。

 ラモーンは、政権党「パナマ主義者党」(PP)でバレーラと長年の同志で、バレーラ政権で閣僚級の政策顧問となり、PP党首にも就任した。だが昨年3月、オ社関連の汚職事件関与が浮かびあがり、辞任した。

 9日ラモーンは検察で取り調べを受ける直前に、バレーラが選挙資金をオ社からもらっていたと爆弾発言した。パナマ社会では一気に反腐敗運動が拡がっている。

 またエクアドールのラファエル・コレア大統領は10日、先手を打つかのように、オ社関連疑惑が赤道国に及ぶとすれば、それは19日の同国大統領選挙(第1回投票)に影響を与えるための政治的策謀だ、と表明した。

 ブラジルではオ社は、国営石油ペロとブラスと絡む政財界を巻き込んだ一大汚職事件で裁かれ、収賄者の裁判や捜査が続いている。

▼ラ米短信   ◎長期受刑囚がプエルト・リコで刑期満了へ

 米本土各地の刑務所で35年の禁錮刑を受けいてきたプエルト・リコ独立派のオスカル・ロペス=リベーラ服役囚(74)は2月9日、インディアナ州テレホート刑務所を出され、民間航空機で島都サンフアンの空港に身柄を移された。

 バラク・オバーマ前大統領は1月17日、ロペスを5月17日に釈放する減刑措置を発表していた。今後は、実の娘クラリサの家族と暮らす「自宅軟禁」の形で5月までの刑期を勤める。

 サンフアンのカルメン・ユリーン市長は、ロペスには市の安定職が待っている、と明らかにしている。 
 
 

2017年2月8日水曜日

コロンビア政府とゲリラELNがキトで内戦和平交渉開始

 コロンビア政府とゲリラ組織民族解放軍(ELN)が2月7日、エクアドール(赤道国)政府の肝煎りで、内戦和平のための公式交渉を開始した。8日、第1段階の実質交渉に着手、40日間をかけて、段階的停戦実施方式や、交渉への「社会参加」について話し合う。「社会参加」に備え、コロンビアの社会団体80が加盟する「和平社会会議」 がキトで会合している。

 交渉開会式は、キト郊外にあるイエズス会所有のカスアパンバ農園で挙行され、ギヨーム・ロング赤外相、コロンビア政府交渉代表フアン・レストゥレポ、ELN代表イスラエル・ラミーレス(作戦名パブロ・ベルトゥラン)が演壇前列に並んだ。赤道国と並ぶ保証国のクーバ、ベネスエラ、チレ、ブラジル、ノルウェーの代表も出席した。招待者140人、報道陣60人も参加した。

 ロング外相は「コロンビアの和平は我が国の和平であり、南米の和平であり、大なる祖国(ラ米)の和平だ。国境に壁を建設する者がいる傍ら、我々は平和な国境を拓こう」と挨拶した。トランプ米政権を皮肉った発言だ。

 レストゥレポ政府代表は、内外世論は内戦終結を待っていると前置きし、ELNに「合法政治をするよう促す」と述べ、併せて「誘拐戦術を打ち切るよう宣言してほしい」と要求した。

 これに対しラミーレスELN代表は、「政治解決を図る用意がある。ELNは内戦中の暴力への責任をとるが、政府も同様に
責任を取るべきだ」と注文を付けた。ラミーレスはELN序列第2位の最高幹部の一人。

 ELNはクーバ革命の影響を受けた北東部サンタンデル州の学生らが、クーバでゲリラ訓練を受け、1965年初め結成した。解放の神学の司祭だったカミーロ・トーレスはELNに参加、1966年戦死した。

 スペイン人神父も参加、73~98年、マヌエル・ペレス神父が最高司令を務めた。98年に病死し、後をニコラース・ロドリゲス(67)が継ぎ、今日に至る。戦闘員の現有勢力は2000人と見られている。

 政府とELNは、最大ゲリラ組織FARCが和平過程に入っている今、「ラ米最後、コロンビア最後の和平、つまり<完全な和平>に漕ぎつける」点で一致している。

▼ラ米短信   ◎ハイチ大統領が就任

 アイチのジョヴネル・モイーズ大統領が2月7日就任した。任期は5年。「テトゥ・カレ・ハイチ党」(PHTK)所属。昨年11月20日の出直し大統領選挙で55・6%を得票、当選した。だが不正批判が相次いだ。

 バナナ業者である大統領は、就任演説で「発想を変えれば、この国は良くなる」と述べ、野党勢力に協力を呼び掛けた。人口の8割が他は農民。国民の60%は貧困状態にある。

 モイーズはまた、「国外出稼ぎ労働者が帰国できる条件を整備する」、「司法を政治目的に使わない」、「国家資金を開発に回す」ことなどを約束した。

 就任式には、隣国ドミニカ共和国(RD)のダニーロ・メディーナ大統領、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領、海を隔てた隣国クーバのエステバン・ラソ国会議長、米国務省のトーマス・シャノン政務担当次官補らが出席した。

▼ラ米短信  ◎亜伯両国がメヒコに関係強化を呼び掛け

 ミシュエル・テメル伯、マウリシオ・マクリ亜の両大統領は2月7日ブラジリアで会談。南部共同市場(メルコスール)加盟両大国間の関税障壁撤廃、メルコスール強化、メルコスールと太平洋同盟(AP)との関係強化などで一致した。

 マクリ大統領は、エンリケ・ペニャ=ニエト墨大統領と6日電話会談したと明らかにし、「南方に意識的に顔を向けているメヒコ」との経済関係強化を図りたい、と述べた。伯亜は、メルコスールと日本、韓国、カナダ、ノルウェー、アイスランド、スイスとの関係強化でも一致した。

 亜伯両国はかつては左翼・進歩主義政権同士として関係が良好だったが、今は保守・右翼政権同士として仲が良い。双方ともにこのところ経済が縮小、対策を迫られている。

2016年12月29日木曜日

コロンビア国会でFARC恩赦法が成立

 コロンビア国会は12月28日、サントス政権とゲリラFARC(コロンビア革命軍)との内戦和平最終合意に基づき、FARC要員を恩赦・赦免する新法を可決した。上院は賛成69、反対無し、下院も賛成121、反対無しだった。

 和平合意に反対している保守・右翼代表格のアルバロ・ウリーベ前大統領の政党「民主中心」は両院での議決に不参加だった。このため反対票がなかった。

 恩赦法成立を受けてJMサントス大統領は同日、「和平を固めるための第一歩だ」と評価、国会に敬意を表した。FARC最高司令ティモチェンコも、「平和への長い道のりの一歩だ」と歓迎した。

 当局によると、法成立によってFARC武装要員5700人は国内20カ地域および6地点に集結、武装解除してゆく。来年1月30日までに、恩赦対象にならない要員の数を確認する。人道犯罪など重罪は恩赦対象にならない。

 一方、服役中の軍・警察要員1200人には来年2~3月に仮出所が認められる模様。

▼ラ米短信   ◎クーバ経済が22年ぶりに後退

 ラウール・カストロ国家評議会議長は12月27日、人民権力全国会議(国会)で演説、2016年の経済が0・9%後退したと明らかにした。議長は、輸出品の国際価格低下による輸出収入減少、ハリケーン被害、外資不足などを原因として指摘した。

 クーバ経済は1989年11月のコメコン体制崩壊を受けて90年から縮小。1993年には36%マイナスとなった。だが94年からはわずかずつ成長、2003年には89年の水準を回復していた。ラウールは、2017年には2%成長する見込みと語った。

▼ラ米短信  ◎パラグアイで女性保護法発効

 パラグアイで12月28日、女性統合的保護法が発効した。女性への暴力を禁止、フェミニシディオ(女性殺し)は重罪扱いとなり、禁錮10~30年の実刑が科せられることになった。

 女性はまた、性教育を受け、避妊方法を知り、妊娠回数を決める権利を認められた。

 

2016年12月27日火曜日

コロンビアがNATOと協力合意に向け交渉開始へ

 コロンビアのJMサントス大統領は12月23日、国軍へのナビダー(クリスマス)の祝辞で、コロンビアは北大西洋条約機構(OTAN=NATO)から加盟国外の協力国として協力交渉をすることを承認された、と明らかにした。

 コロンビアはウリーベ前政権期末からOTANに対し、情報交換と組織犯罪対策で協力関係を結ぶよう働きかけてきた。OTANは、サントス政権がFARCとの内戦和平合意に達したのを受けて、協力交渉開始を受け入れた。

 OTAN側には、従来と異なる形でOTANに対応する意志を示しているトランプ次期米政権を牽制する意図もある。コロンビアは、米国にとり、南米で唯一の明確な軍事同盟国である。

 これに対しベネスエラ外務省は26日、南米に不安定要因および戦争要因を広めることになり、断固反対し糾弾する、との声明を発表した。また、サントスが2010年に故ウーゴ・チャベス大統領との会談で、OTANとの交渉は進めないと伝えた外交上の約束にも反する、と非難した。

 さらに、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)はLAC(ラ米・カリブ)地域を「平和地域」と宣言しており、CELAC加盟国のコロンビアは、同宣言の精神にも反しており、南米諸国連合(ウナスール)、非同盟諸国運動の精神にも反する、と厳しく指摘した。

▼ラ米短信  ◎クーバの2016年重要ニュース

 クーバ国営ラディオ・アバーナ・クーバ(ハバナ放送=RHC)は12月26日、今年の同国重要ニュース10項目を発表した。トップに11月25日の革命指導者フィデル・カストロ前国家評議会議長の死去を置いたほかは、時系列的に並べている。

 2月11日、ロシア正教のクリル大主教来訪および12日ハバナ空港での同大主教とローマ法王フランシスコとの歴史的会談。両宗教指導者の会談は、1054年の「大分裂」以来初めて。

 3月20~22日、バラク・オバーマ米大統領来訪。1928年にカリヴィン・クールリッジ大統領が第6回汎米会議出席のため訪れて以来88年ぶりの米大統領来訪。

 4月16~19日、第7回クーバ共産党(PCC)大会。新しいクーバ社会主義モデルの概念化策定を決議。

 5月1日、ハバナ放送創立55周年。

 6月7日、ハバナが世界の「素晴らしい都市」に指定される。

 9月、クーバ製皮膚癌用薬品「エベルフェロン」の使用が薬品登録されている諸国で認可される。

 10月5日、グアンタナモ州がウラカン(ハリケーン)・マシューに見舞われ、6300万ドルの被害出る。

 10月26日、国連総会での経済封鎖解除要求決議が賛成191カ国、反対無し、棄権2で採択された。米国とイスラエルは初めて    反対せず棄権した。

 11月14日、受刑囚787人を赦免。殺人、強姦など重罪犯は赦免対象から除外。

 11月25日、★フィデル・カストロ死去。 




 
 

2016年12月16日金曜日

コロンビア国会にFARCが会派と代議員を置く

 コロンビア政府と和平合意したゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)は12月15日、国会上下両院に3人ずつの政治代表を置いた。女性政治活動家イメルダ・ダサら6人は同日、選管に会派「和平と和解の声」運動(MVPR)を届け出た。

 ダサら3人は下院、他の3人は上院に属す。審議の際、発言権は持つが投票権は持たない。FARCは来年前半に予定される武装解除と社会復帰の完了後、政党化し、2018年の国会議員選挙と大統領選挙に参加する計画だ。MVPRは、FARC政党化までの繋ぎ役を果たす。当面の役割は、和平合意実施過程の監視と検証。

 ダサは1980年半ばに出来たFARCおよび共産党の政党「愛国同盟」(UP)に所属していた。UP幹部3000~4000人が秘密警察や極右勢力によって暗殺されたが、ダサは生き残った幹部の一人。ダサは87年に暗殺未遂に遭いスイスに亡命、昨年帰国したばかり。他の5人も弁護士、政治学者、大学教授ら知識人。

 ローマ法王は16日、ヴァティカンにJMサントス大統領とアルバロ・ウリーベ前大統領を招き、個別に会談してから3者会談に入った。右翼のウリーベは内戦継続を主張、和平に頑迷に反対してきた。法王は、犬猿の仲のサントス・ウリーベ両人の対話を促し、和平過程実施に向けて協力態勢をとるよう促した。

 サントスは法王を前に、ウリーベに協力を求めたが、ウリーベは最終和平合意内容の修正が不十分と主張、協力に応じる姿勢を見せなかった。

 サントスは法王との会談では、和平最終合意調印時のボリグラフォ(50ミリ銃弾で作ったペン)を贈った。このペンには「銃弾はコロンビアの過去を書いた。未来は平和が書く」という言葉が刻まれている。調印時にサントスがFARC最高司令ティモチェンコに伝えた言葉だ。

 一方、コスタ・リカ警察は15日、サンホセ市内の民家からFARCの隠し資金として現金48万ドル(約15億コロンビアペソ)を押収した。ウリーベ前政権は08年3月エクアドール北部への越境軍事攻撃を決行、FARC幹部ラウール・レジェスらを殺害したが、その時奪ったパソコン資料から隠し資金の存在を突き止めていた。隠し資金はエクアドール、ペルー、パナマ、メヒコ、スペイン、米国にもあった。

 コロンビア司法省は14日、FARC要員中、最初の110人が赦免されたと発表した。来年初めにかけて、さらに約300人が赦免される運び。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ最高裁が国会に大統領弾劾審議禁止を命ず

 ベネスエラ最高裁は12月15日、保守・右翼野党連合MUDが進めていたニコラース・マドゥーロ大統領の事実上の弾劾を狙う審議を違憲として止めるよう命じた。

 圧倒的多数の議席を握るMUDは10月25日、「憲政・民主秩序の崩壊および経済・社会基盤荒廃に鑑み大統領政治責任を宣言する手続き」開始で合意。これに基づき審議していた。

 一方、マドゥーロ大統領に次ぐ実力者デョオスダード・カベージョ国会議員(前国会議長)は15日テレビ定例番組で、亜国警察がデルシー・ロドリゲス外相に暴力を振った問題に触れ、亜国大統領マウリシオ・マクリを「マクリは卑怯者」と糾弾。ベネスエラ駐在の亜国大使には「出て行け」と言い渡した。

▼ラ米短信  ◎クーバがラム酒で債務返済を提案

 チェコ政府は12月15日、クーバ政府が2億7600万ドルの債務をラム酒で返済したいと持ちかけてきた、と明かした。この債務は1989年のコメコン体制崩壊前に発生していた。

 チェコ側は、少なくとも一部は現金で返済してもらいたいが、ラム酒とクーバ製医薬品での返済受け入れもあり得る、と受け止めている。
 一方、ハバナの反体制派声明によれば、「白衣の女性たち」のベルタ・ソレル代表が15日、警察に身柄を拘禁された。

  

2016年12月14日水曜日

コロンビア憲法裁が和平立法審議短縮を承認

 コロンビア憲法裁判所は12月13日、サントス政権とFARC(コロンビア革命軍)が結んだ内戦終結のための最終和平合意の国会審議を大幅に短縮するための包括的審議(ファーストトラック)を合憲と認めた。国会が6月、同審議を可決していた。

 これを受けてJMサントス大統領は同日上院に、内戦中、戦争犯罪、人道犯罪など重罪を除く罪を犯した者を恩赦もしくは赦免する法案を提出した。

 憲法裁はまた、和平合意を次期政権以降の政権が遵守するようにすることなどのため、大統領政令を法令と同一効力を持つようにすることを認めた。

 FARCは12月2日以降、国内の予備集結地に集合しつつある。そこから最終集結地に入り、関係立法を待って、武装解除と社会復帰を同日から180日以内に完了することになっている。

 2018年に次期大統領と国会議員の選挙があるため、政党化してゆくFARCとしては、17年前半中に関係諸法が成立発効するのを望んでいる。FARC指導部は13日、和平合意に異議を唱える司令級幹部5人を追放した。

 コロンビアでは今年、労組・人権・環境運動などの社会的指導者が94人殺され、28人が負傷し、279人が脅迫された。これを受けて、米連邦下院の人権派ジム・マクガヴァンら議員38人が連名で、ジョン・ケリー国務長官に対処を求めた。

 一方、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は13日、通貨ボリーバル・フエルテ(bf)の新旧紙幣交換に際し、コロンビアとの国境を72時間閉鎖する命令を発した。

 ベネスエラはまず、現行の100bf紙幣(公定15米セント、闇で同2セント)を回収しているが、コロンビアの組織犯罪団が同紙幣を大量にコロンビア国内に持ち去り隠匿している事実を確認、国境閉鎖に踏み切った。

 15日からは1万bf、2万bfなど高額紙幣が段階的に流通してゆく。ベネスエラは超インフレに苛まれており、紙切れ同然の価値しか持たなくなった旧紙幣では買い物や取引が困難になっていた。だが、いずれデノミネーションが来ると予測されている。

▼ラ米短信  ◎次期ブラジル大統領最有力者はルーラ元大統領

 伯紙フォーリャデサンパウロは12月13日、世論調査結果を公表。2018年実施の次期大統領選挙の予想出馬者の中で、労働者党(PT)のルイス=イナシオ・ルーラ=ダ・シルヴァ元大統領が支持率25%で人気一番手になった。

 2位は、「持続可能網」(REDE)のマリーナ・シルヴァ15%、3位は、伯社民党(PSDB)のアエシオ・ネヴェス11%。不人気のミシェル・テメル現大統領(伯民主運動党=PMDB)は、4%で6位だった。 

2016年11月25日金曜日

コロンビア政府とFARCが新和平合意書に調印

 コロンビアのJMサントス大統領とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の最高指導者ロドリーゴ・ロンドーニョ(ティモチェンコ)は11月24日ボゴタ市内のコロン劇場で、内戦終結のための新最終合意書に署名した。大統領は、これを「コロン劇場合意」と名付けた。署名が済むと、和平交渉代表団、国会議員ら800人の来賓は総立ちで拍手し、「やった、やった」と叫んだ。

 最初の合意書は8月まとまり9月26日カルタヘーナで調印されたが、10月2日の国民投票では超僅差で承認されなかった。その直後、サントス大統領はノーベル平和章受賞が決まった。大統領は、その「威光」にも支えられてFARCと再交渉に入った。11月12日ハバナで新合意書がまとまり、この日の調印となった。

 大統領は調印後に演説、「内戦の死者、行方不明者、負傷者、被害者と家族は途方もない苦難を強いられた。内戦は国を暴力の迷路に陥れた。内戦の高く痛ましい負債があるが、我々はこの歴史的機会に内外に向けて、新らしい合意書に署名した」と強調。全政党、全勢力に積極的支持を呼び掛けた。

 大統領が明らかにした日程によると、国会は28日以降、新最終合意書承認の是非を決める。これは国民投票に代わる手続きだ。承認されれば、その5日後、FARCゲリラは国内各地に特定されている集結所に集結。90日後に武装解除を開始、150日後には武装解除が終わる。FARCが保持していた武器はすべて、国連の代理機関であるCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)に渡される。

 サントスは、「武装解除されたFARCは政党になる。新合意はカルタヘーナ合意よりも優れている」と述べた。

 FARCのロンドーニョ最高司令は署名後、「新合意には全既得権益享受者の意見も反映されている。局外者は誰もいない」と指摘。「人民は暴力と不寛容に飽き飽きしている。屈辱や見せかけの取り繕いでなく、深い変化を求めている。内戦に終止符を打ち、矛盾を文明的市民として解決するため、言語を唯一の武器とする」と語った。

 ロンドーニョはまた、「コロンビアは(1948年の政治家ガイタン暗殺以来)70年、暴力抗争に苛まれ、半世紀に亘って内戦が続き、和へ交渉が33年間も断続的に続いた」と、2012年以来のハバナ和平交渉に至った経緯を振り返った。

 一方、最高裁は24日、元国家諜報機関兼秘密警察(DAS)長官ミゲル・マサ=マルケス退役将軍に、政治家暗殺事件関与の罪で禁錮30年の実刑判決を下した。

 1989年8月18日、ボゴタ郊外のソアチャ市で遊説中、自由党大統領候補ルイス=カルロス・ガランが銃撃され殺害された。事件の黒幕アルベルト・サントフィミオ元下院議員は24年の禁錮刑に服役中だが、マサ=マルケスはサントフィミオから依頼され、麻薬組織メデジンマフィア、警察、極右殺害団と連携、ガラン暗殺を決行した。

 ガランは、人望と人気が高く、次期大統領の最有力候補だった。この大物暗殺(マグニシディオ)は1948年のガイタン暗殺事件の再来と捉えられた。  

 

2016年11月22日火曜日

コロンビア政府とゲリラFARCが新合意書調印へ

 コロンビアのゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の最高幹部ロドリーゴ・ロンドーニョ(ゲリラ名ティモチェンコ)ら書記局員は11月21日、ハバナからボゴタに到着した。24日に政府と新たな内戦終結最終合意書に調印するためだ。

 8月にまとまった最終合意書は9月26日カルタヘーナで調印され、10月2日国民投票にかけられたが、賛成49・8%、反対50・2%の超僅差で拒否された。

 このためサントス政権とFARCはハバナで修正協議に入り、11月12日、新たな最終合意書をまとめた。和平後のゲリラの処遇などに変更が加えられた。

 双方は24日、ボゴタで調印。これを受けてJMサントス大統領は、国会に審議を要請する。審議終了後、国会が合意書承認の是非を決める。新たに国民投票を実施するには、準備期間が長くなり、巨費が必要なためだ。

 和平に反対する右翼・保守勢力の代表格アルバロ・ウリーベ前大統領らは21日、政府和平交渉代表団と会い、新たな最終合意が絶対的決定にならないよう要請した。

 一方、FARC書記局は21日、サントス大統領宛ての公開書簡を発表。その中で、今年に入ってから左翼の社会・農村活動家200人が秘密結社を装った支配階層に暗殺されており、彼らの責任逃れ、無処罰は絶対に許せない、と糾弾した。

 書簡は、そうした階層は内戦で利益を得てきた者たちだと指摘。過去にFARCの政党部門「愛国同盟」(UP)の幹部ら党員5000人が暗殺・殺害された事実を取り上げ、「政府に道義的責任がある」と強調した。

2016年10月2日日曜日

コロンビアで内戦終結の是非を問う国民投票実施

 コロンビアで10月2日、内戦の終結を決定づける「和平最終合意」の承認の是非を問う国民投票が始まった。同日夜(日本時間3日午前中)に結果が判明する見通し。

 コロンビアでは1960年にゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍、共産党武等部門)の前身組織が武闘を開始。政府軍の攻勢で後退を余儀なくされていたが、64年ごろから軍事的に対峙できるようになった。

 90年代にはFARCが軍事的に政府軍を圧倒。政府はクリントン政権期の米国に軍事支援強化拡大を要請。ブッシュ政権時に
ウリーベ・コロンビア極右政権との間で軍事協力関係が拡大深化、FARCは次第に劣勢になっていった。

 2012年8月、FARCはフィデル・カストロ前クーバ議長、故ウーゴ・チャベスVEN大統領の勧告を容れて和平交渉を受け入れた。交渉は同年11月、ハバナで始まった。

 クーバがFARC、ノルウェーがコロンビア政府のそれぞれ「保証国」、ベネスエラとチレがそれぞれの「同伴国」となって、交渉を側面支援した。とりわけクーバのラウール・カストロ議長の尽力が大きかった。

 クーバは2013年7月からオタワで米国と国交正常化を目指し秘密交渉を開始。コロンビア和平交渉と並行する形となった。玖米は14年12月、正常化合意に達し、15年7月、54年半ぶりに国交を再開した。

 コロンビア政府とFARCは15年9月ハバナで、和平後に内戦中の人道犯罪などを裁く法制で合意。さらに今年8月停戦合意に達し、両者の間での戦火は消えた。

 9月26日カルタヘーナ市でJMサントス大統領とFARCのティモチェンコ最高司令は和平最終合意書に署名。これを受けて国民投票が実施された。

 米州の東西冷戦は玖米国交再開で氷解。もう一つの冷戦構造だったコロンビア内戦が今、終わりつつある。コロンビアの第2のゲリラ組織・民族解放軍(ELN)と政府との和平交渉も近く開始される見通し。

2016年9月27日火曜日

★★★コロンビア和平調印、54年続いた内戦終結

 コロンビア・カリブ海岸のカルタヘーナ市にある会議センターで9月26日、1960年以来続いていた政府軍とゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の内戦に終止符を打つ「最終和平合意書」の調印式が催され、JMサントス大統領とロドリーゴ・ロンドーニョFARC最高司令(ゲリラ名ティモチェンコ)が調印。内戦は正式に終焉した。

 署名には、銃弾で作られたペンが用いられた。戦争から平和に移行するという意味が込められてる。会場には「喜びの歌」の曲が流れた。

 双方は2012年11月からハバナで和平交渉を続け、今年8月、停戦に合意した。FARCは9月半ば過ぎ全国代表者会議を開き、和平合意で一致した。FARCは武装解除、社会復帰を経て、政党として政治に参加する。

 今回の内戦終結により、米州に残存していた東西冷戦の残滓がほぼ消えた。残るは、コロンビアの第2のゲリラ組織「民族解放軍
」(ELN)と政府の和平で、交渉による和平は時間の問題となった。

 サントス大統領は調印後の演説で、「世界から戦争が減った。コロンビアの戦争がなくなったのだ!」と歓喜、「これは単なる署名ではない。もう戦争はこりごりだというコロンビア人の宣言だ」と指摘した。さらに「問題が終わったわけではない。克服すべき問題が残っている」と述べた。

 ロンドーニョ司令は、「我々FARCに起因する全犠牲者に謝罪する」と切り出し、拍手を浴びた。サントス大統領を「勇気ある交渉相手」と讃え、「今後は非武装で政治に参加する。心も武装解除する」と強調。和平交渉の保証国となったクーバとノルウェー、交渉同伴国となったベネスエラとチレに謝意を表した。またラウール・カストロ玖議長、故ウーゴ・チャベスVEN前大統領、ニコラース・マドゥーロ現VEN大統領の名前を挙げて感謝した。

 調印式にはラ米20カ国のうち、大統領選挙を控えているハイチとニカラグアなど数カ国を除く15カ国以上の大統領とラウール議長が出席した。

 パン・ギムン国連事務総長も出席したが、国連はラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)にFARCゲリラ集結、武装解除、停戦監視、和平検証の任務を委託している。

 米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長も出席した。OEAは、地雷除去に協力する。コロンビアはアフガニスタンに次い敷設・放置された地雷が多い国とされている。

 ジョン・ケリー米国務長官、ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領、フアン=カルロス前スペイン国王、世銀・IMF・米州開銀の各理事長らも出席した。ケリー長官は調印式後、マドゥーロVEN大統領と両国関係について会談した。

 コロンビアでは10月2日、調印された和平合意への承認を懸けた国民投票が実施される。世論調査では、有権者の3分の2は賛成している。