2012年12月27日木曜日

安倍政権発足めぐる海外メディア論調

▼▼▼ラ・バングアルディア紙(バルセローナ):鷹派安倍と中道右翼自民党が政権に復帰した。安倍は、真珠湾を攻撃した東條内閣の閣僚(岸信介)の孫で、国家主義者の血を隠さない。自衛隊の自衛軍化や改憲を掲げており、尖閣で対立する中国および太平洋地域は懸念している。太平洋では中国が存在を強め、米国は存在を強化させつつある。安倍が活力と慎重さを兼備するのを期待したい▼▼▼NYT紙:安倍は、日本人高齢化、長年の経済低落傾向、自己主張を強めている中国の挑戦に直面する。だが近隣諸国との対立姿勢を和らげ、まずは経済回復に力を入れようとしている。景気が上向けば、来夏の参院選での勝機をつかむことになる。新外相は、普天間基地移転問題で軋轢が生じている対米関係の修復に取り組む。安倍が長年願ってきた改憲にどう取り組むのかは、いま一つ明らかでない。安倍ら保守勢力は、中国台頭に鑑み自力で対処する必要性を唱え、日米安保における日本側負担の増大を図りたい考えだ。こうした動きを中国は挑発と捉えるだろう▼▼▼朝鮮日報(韓国):社説「<独島突撃隊員>を入閣させて韓国に握手を求めるのか」ー安倍内閣の新藤総務相と稲田行政改革相は去年8月、独島(竹島)領有権を主張し金浦空港で韓国入国を拒否された。小野寺防衛相は一昨年、当時の菅首相が「日韓併合」100周年の機会に謝罪の談話を発表した際、激しく反発した。古屋国家公安委員長は今年5月訪米し、ニュージャージー州内にある「慰安婦の碑」の撤去を要求した。安倍政権は妄言・妄動を繰り返す政治家を意図的に選んで「復古オールスターチーム」を作り上げた。韓日間と東アジアに暗雲が立ち込め始めた▼▼▼AFP:自民党は圧勝したが棄権率は40%と高く、有権者は民主党を懲らしめたのだった。安倍は選挙戦中は右翼で柔軟性のない国家主義者として際立っていたが、政権に就いた今、優先政策は経済だ。安倍は日本の保守政権の伝統的政策である公共事業、紙幣増刷、金融緩和で景気を回復させようとしている。濫費家として知られる麻生副首相兼財務相は、デフレ対策を担う。安倍は、尖閣問題で対立しながらも往復貿易が去年3400億ドルだった中国なしに経済政策が成り立たないことを理解している。原発問題も抱えている▼▼▼EFE(西エフェ通信):安倍は、世界第3位の経済を活気づける課題をもって政権に復帰した。来年の参院選で勝てば、強大な権力を握ることになる▼▼▼PL(玖プレンサ・ラティーナ通信):安倍は、新しい原発の建設に意欲を示している▼▼▼ロイター:安倍は、対米関係強化を図る一方で、中国の挑戦に直面する▼▼▼新華社:安倍は選挙戦中、対中強腰と対米関係強化を公約した▼▼▼AP:安倍は過去に、国家主義的姿勢で近隣諸国を怒らせたことがある。その近隣諸国との領土紛争に煽られて、対米関係強化を図ろうとしている。鷹派安倍は、対中関係と原発問題で頭を悩ませることになりそうだ。安倍は、国際舞台では、経済・外交面で中国に後れを取っている日本の存在強化を望んでいる。中国は、尖閣問題で慎重に振る舞うよう既に警告している。