バラク・オバーマ米大統領はクーバ滞在最終日の3月22日も忙しい日程をこなした。ハバナ市内にある野球場、ラ米スタジアムで、大リーク、タンパベイ・レイズと玖ナシオナルチームの親善試合をラウール・カストロ議長と並んで1時間余り観戦した。
そこに、友好行事に水を指す大事件の一報が入った。ベルギーでの連続テロリズムだ。大統領は直ちに、「テロ事件は挑戦であり、事件の重大性を理解する。だが脅迫に屈してはならず、我々の日常を中断させてはならない」と述べ、ラ米2ヵ国歴訪を続行することを確認した。これは米国内にある「帰国すべきだ」との批判的意見に応えたもの。
大統領は野球場を離れてからベルギーのシャルル・ミシェル首相と電話会談し、弔意と連帯を表明、事件捜査への協力を伝えた。
試合は4時間に及び、タンパベイが4対1で勝った。球場には招待された往年のクーバ人大リーガー、ルイス・ティタント、ホせ・カルデナル、元ヤンキースのデレク・ジーター、初の大リーグ黒人選手・故ジャッキー・ロビンソンの妻ナンシーと娘、コロンビア和平交渉を続ける政府とFARCの代表らも、両首脳の近くで観戦した。
オバーマはロビンソン夫人ナンシーについて、「共にここで観戦できるのは誇りだ」と述べ、ジャッキーと「野球の力」を讃えた。球場の壁には「スポーツは革命の成果」の文字が描かれている。クーバTVは、「両国は好敵手同士だが、野球という共通の情熱で団結する」と謳った。
大統領は米大使館内で、クーバ反体制派活動家および批判者17人と会合。その後、記者団に、「彼らの勇気を讃える」と述べた。「この問題(基本的人権)は引き続き両国間の懸案として続く」とも語った。
オバーマは次いでハバナ大劇場に移動、クーバ人向けに演説した。「法治国家は、基本的権利を行使する市民を一方的に逮捕してはならない」と述べ、自らの人権に関する立場をクーバ政府にあらためて伝えた。
大統領は22日午後、ラウール議長らに見送られてハバナ空港を出発、ブエノスアイレスに向かった。20日のハバナ到着時に出迎えなかった議長が見送ったのは、クーバにとって大統領来訪が有意義だったことを示している。
一方、オバーマを迎えるマクリ亜国政権は、ベルギー事件発生に伴い、国内に厳戒態勢を敷いている。
ハバナでは玖米友好行事として、ローリングストーンズや、ミネソタのセントオラフ・ジャズバンドの演奏が予定されている。
【参考:23日付毎日新聞オバーマ訪玖関係ページに、伊高談話が掲載されている。】