ベネスエラの保守・右翼政党連合MUDは3月12日、カラカス市内で数万人を動員、ニコラース・マゥドーロ大統領の早期辞任を要求した。これに合わせるかのように、不審な事件が続発している。
ボリーバル州内では11日、送電線鉄塔がサボタージュに遭い、送電線が切断された。当局は、一人を現行犯逮捕、他の一人が死亡した、と発表した。サボタージュによる停電は、反政府派が社会的撹乱を狙ってよく用いる手段だ。
同日、ベネスエラ警察は、コロンビア国境のタチラ州内で、侵入したコロンビアの準軍部隊(パラミリタレス)の要員5人と戦闘、5人を射殺したと発表。準軍部隊は通常は国境地帯で密輸や麻薬取引に関与しているが、雇われれば社会的撹乱にも加担する。
また12日、ララ州バルキシメトの工場地帯にある「団結プロレタリア社会主義会社」倉庫に発火物が投げ込まれ、倉庫は炎上した。この会社は、「コムーナ(コミューン)直接運営社会資産会社」(EPSDC)。元の民間人所有者らが、この時期に合わせて決行した犯行と見られている。
2年前の2014年3月には、全国各地で殺傷、街頭暴力、社会資本破壊などの事件が激発していた。MUD右翼は、この種の非合法活動を再開させたい構えだ。
マドゥーロ大統領は12日、カラカス市内で支持派を大量動員した集会で演説、「私は寡頭勢力に屈服しない。任期最後の日まで辞めない」と述べた。
大統領は、全国で16~18日、バラク・オバーマ米大統領が9日に1年間延長した「ベネスエラを米国安全保障上の脅威とみなし、非常事態を宣言する」という政令と、その延長を糾弾する運動を展開すると明らかにした。
大統領はまた、4月1日からチャベス派=政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)=の党員証を更新し、勢力の確認と再結集を図るとし、4月13~14日、「祖国会議」を開いて、その後の闘争方針などを決めることにしている。
マドゥーロはさらに、聖週間に当たる19~27日の連続9日間を休日にすると発表した。電力節減と、反政府派の気勢を殺ぐのが狙いだ。
ベネスエラ原油は12日、1バレル=29・6ドルで終わり、3ドル余り上昇した。
一方、クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は11日ハバナにベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相を迎え会談、オバーマ政令延長問題でマドゥーロ・ベネスエラ政権を無条件で支持する、と表明した。
ラ米では、「ルセフ伯政権とベネスエラ政権を打倒する陰謀が同時進行している」との見方が拡がっている。ルセフ政権の政権党・労働者党(PT)と連立してきた伯民主運動党(PMDB)は12日、連立維持か解消かを30日以内に決めると表明した。もし解消されれば、国会でのルセフ大統領弾劾の可能性が一気に強まることになる。
このような微妙時期にオバーマ大統領は21~24日、クーバとアルヘンティーナを歴訪する。