バラク・オバーマ米大統領は3月22日午後訪玖を終え、ラウール・カストロ議長に見送られてハバナを出発、23日午前1時過ぎ、ブエノスアイレスのエセイサ国際空港に到着、亜国外相の出迎えを受けた。
カサ・ロサーダ(亜国大統領政庁)で23日午前、マウリシオ・マクリ大統領と、2国間関係、ブラジル情勢、ベルギーテロリズム事件などについて会談した。両国は安全保障、麻薬取締り、通商に関する協力協定に調印した。
首脳会談後の記者会見で、マクリはベルギー事件犠牲者のため1分間黙祷を、と切り出し、「アルヘンティーナが新しい地平線を切り開きつつある時にオバーマ大統領が来訪した」と歓迎。
オバーマが、亜国側の要請に応じて、1976年の軍事クーデター40周年(3月26日)に合わせて、軍政期の人道犯罪や、米政府と亜国軍政との関係に関する米政府機密文書の解禁を決めたことに「真実を知るのに貢献する」と謝意を表明した。
次いでオバーマが発言。亜国は同盟国であり地域の主導国と讃え、「マクリ大統領の最初の100日間は印象的で、素早く包含的、持続的経済政策を打ちだしたと評価。さらに、亜国は地域だけでなく国際社会の指導国になり得、協働していきたい、と持ち上げた。
記者団との質疑では、ベルギー事件とブラジル情勢に関する質問が目立った。オバーマはベルギー事件については、「世界は反テロリズムで団結すべきだ。シリア和平でも協働したいとマクリ大統領は提言した。IS潰しは最優先課題だが、その実行方法が問題だ。広範な空爆はかえってIS勢力を増幅させることになる。金融締め付けであるとか、機能する方法が重要だ」と述べた。
終わりつつある施政を問われたオバーマは、「経済を強化した。外交面の成果はクーバは一例にすぎない。イランでもある。だがシリア和平は実現していない。北朝鮮の核兵器問題もある」と答えた。
マクリは、オバーマ大統領のクーバ訪問を評価して、「クーバの若い世代に自由についての討論を活発化させる」と述べた。また「亜国は国際社会と協働しないと駄目だ。孤立はいけない」と述べ、暗にペロン派左翼の前政権との違いを指摘した。
ブラジルについて両首脳は、「我々は強力な友邦ブラジルを望んでいる」という点で同意見だった。過去の亜国軍政との関係で謝罪する気があるかと問われたオバーマは、「過去の米国とラ米との関係を逐一顧みるつもりはない」と交わした。
1時間近い記者団との会合の後、オバーマ大統領は、政庁近くにある大聖堂とサンマルティン廟を訪れた。この大聖堂は、フランシスコ法王がミサをしていた。オバーマは若者との会合では、社会主義とか資本主義とかイデオロギーに囚われずに実践的に生きるべきだ、と忠言した。
玖亜歴訪でのオバーマ発言を点検してきたベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は23日カラカスで、米政府はラ米への干渉メカニズモを復活させようとしている、と批判した。
一方モスクワでは、セルゲイ・ラブロフ露外相が、玖米首脳会談を支持。ベネスエラについては、外部から干渉されており、ロシアは事態を注意深く見守っている、と述べた。