ブラジル選挙最高裁判所(TSE)は4月4日、ヂウマ・ルセーフ前大統領とミシェル・テメル現大統領が2014年に正副大統領として当選した選挙時、不正資金を用いたとされる容疑の裁判の判決公判日程開始を今月下旬まで延期した。この日開始の予定だったが、ヂウマ被告側弁護団が証人証言日程を延期するよう求め、これを認めたため。
同選挙で敗れたPSDB(伯社民党)は16年12月、ヂウマ-テメル陣営は、建設会社最大手のオデブレヒト社から3400万ドルをもらい、それを選挙資金に組みん込んだとして、選挙無効を求めて提訴した。
PSDBが、選挙で勝てない労働者党(PT)を叩き潰す狙いで提訴したのは明らか。ヂウマ(PT所属)と、次期大統領選挙での最有力候補と目されるルーラ元大統領(PT)=不正蓄財などで公判中=を有罪で「参政権8年停止」に追い込めば、選挙で勝つ公算が膨らむからだ。
ヂウマは、訴訟の基となったオデブレヒト前社長マルセロ・オデブレヒト(服役中)の証言について、「(資金を提供したという)マルセロの証言は偽りだ。おそらく拷問されて言わされたのだろう」と語っている。ルーラは、「一時も早く(国会でなく)直接選挙で大統領を選ぶべきだ」と主張している。
テメルはPMDB(伯民主運動党)所属で、昨年、PTと袂を分かち、PSDBと結託して強引にヂウマ大統領を国会での弾劾裁判にかけ失職させ、自分が後釜に座った。
裁判で有罪になれば、ヂウマは8年間公職に就けなくなり、テメルは大統領の座を追われることになる。そうなれば国会が下院議長を暫定大統領として、新大統領を選ぶことになる。その新大統領の任期が半年を上回る場合は、大統領選挙実施に道が開ける。
かつての正副大統領は今は敵同士で、共に被告になっている。両被告の弁護団は、TSEが却下の判決を下すのを望んでいる。ヂウマは既に弾劾で失職、テメルは支持率が10%しかないが2018年末までの残り任期を全うしたいからだ。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラ大統領が「選挙実施」を口にする
ニコラース・マドゥーロ大統領は4月4日、訪問先のアプレ州で、「来年は大統領選挙であろうと地方選挙であろうと選挙がある。だから闘おう」と述べた。
大統領選挙は18年10~12月に実施される見通し。州知事・州会議員選挙は16年末までに実施されねばならなかったが延期
されてきており、今年半ば実施という観測も出ていた。
だが、この日の大統領発言は、大統領選挙と州選挙を来年同時に実施する可能性をも示唆している、と受け止められている。
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