ベネスエラ国家防衛会議(CDN)は3月31日、最高裁の憲法法廷が28~29両日決定した国会権限代行に関し31日、検事総長が違憲だと異議を唱えた問題を協議した。その結果、国会権限を憲法法廷が代行する決定(事実上の国会閉鎖)は覆された。4月1日未明、発表された。
CDNはまた、最高裁と検察庁が対立したことに鑑み、「憲法判断の権限は憲法法廷だけに属する」ことを確認した。会議は、国外勢力による内政干渉を断固排除することも確認した。大統領に与えられた「非常大権」も取り下げられた。
さらにCDNは、南米諸国連合(ウナスール)によるベネスエラ政府と野党連合MUDの対話継続を確認、MUDに対話に応じるよう求めた。
最高裁(憲法法廷)の国会権限代行決定は内外に強い衝撃を与え、「違憲」、「お手盛りクーデター」などと厳しい批判を浴びた。それがルイサ・オルテガ検事総長の異議申し立てによって一転、CDN開催となり、最高裁決定は元に戻された。
オルテガ検事総長は従来、ニコラース・マドゥーロ大統領の支持者で、今回のような重大案件で異論を唱えることはなかった。それだけに意外性が強い。内外世論の強烈な非難を受けた大統領が検事総長を使って事態収拾に走ったのか、検事総長が法律家として信念を貫いたのか、謎が残る。
一方、米州諸国機構(OEA、加盟34カ国)は、20カ国の要請で3日、ワシントンの本部で緊急大使会議を開き、ベネスエラ情勢を話し合う。ルイス・アルマグロOEA事務総長は、ベネスエラにOEAの「米州民主憲章」を適用し、同国のOEA加盟資格を停止させるのを狙っている。
これについて、ハバナで咽頭の治療を受けているボリビアのエボ・モラレス大統領は1日、パラグアイ上院が31日、違憲と見られる強引な手法で大統領再選を可能にする改憲法案を可決したことに触れて、「アルマグロはなぜパラグアイ上院の動きを問題にしないのだ」と非難した。
同大統領はまた、昨年8月末の「国会クーデター」と内外世論から見なされたD・ルセフ伯大統領弾劾や、昨今のトランプ米政権による対墨国境での壁建設事業についてアルマグロが問題にしなかったことも指摘。アルマグロにベネスエラを指弾する資格はないと糾弾した。