シリア軍の「化学兵器使用」と、これに対応した米軍のシリア爆撃をめぐり、ラ米諸国も反応している。ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月7日、米軍の爆撃について、「シリアの主権と尊厳への攻撃であり、過激な戦争主義を押し付けるものだ」と糾弾した。
さらに、「ベネスエラは戦争を前にして沈黙しない。戦争、爆撃、流血はもうたくさんだ。世界は平和と融和を望んでいる」と述べた。同国外務省は声明を発表、「シリア主権の侵害であり、国連憲章違反」と、米国を非難した。マドゥーロはまた、ベネスエラへの介入を求めてワシントン詣でしている反政府勢力を「売国奴」と扱き下ろした。
クーバ外務省も7日声明を発表した。「米軍のシリア爆撃は国連の枠外で為された不法行為であり、国連憲章と国際法の重大な違反にして、主権国家に対する蹂躙だ」と厳しく指摘。「シリアと中東地域における紛争を激化させ、交渉による可決に資さない」と批判した。
ロヘリオ・シエラ玖副外相は声明発表に際し、「化学兵器監視機関による公平かつ客観的で透明性があり非政治的な査察がなされないままの米軍のシリア攻撃を断固糾弾する」と述べた。また、シリア軍の攻撃による子供含む市民多数の死に哀悼の意を表した。
国連安保理非常任理事国ボリビアのサチャ・ジョレンティ大使は7日、安保理に米軍による一方的シリア爆撃問題に関し理事会を開くよう要請。また、「人権演説は米国の関心を呼ばない。彼らは組織的に人権を蹂躙している」と非難した。
同大使は、その後の記者会見で、「国連は、この種の重大行為について沈黙すれば共犯者になる」と警告した。さらに、「ボリビアは小国で、軍隊らしい軍隊を持たないが、原則には忠実であり、国連憲章原則を力の限り守る」と強調した。
一方、ウルグアイ外務省は7日声明を発表、シリア軍の「化学兵器使用は国際人道規約と市民の人権を損ねる野蛮な行為であり、断固糾弾する」と強調するとともに、「全当事者に戦火拡大を押しとどめるべく努めるよう」促した。
声明は続けて、「国連安保理常任理事国は、戦争犯罪や人道的危機に際しては拒否権を行使しないのが妥当だ」として、国連の介入を阻む拒否権行使を批判した。
ウルグアイの他、アルヘンティーナ、ブラジル、パラグアイ、チレ、ペルー、コロンビア、メヒコのラ米7カ国が「シリアの化学兵器使用」を非難している。これは南部共同市場(メルコスール)と太平洋同盟(AP)の計8加盟国が連携して意志表明したものだ。