ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月27日、「ボリバリアーナ革命は新たな時期を迎えた」として、女性市民に力を貸してほしいと訴えた。大統領は、反政府系メディアについて、「右翼勢力(反政府勢力)による街頭暴力、破壊活動を全く伝えず、真実を覆い隠している」と厳しく批判した。
カラカスに本社を置くラ米多国籍メディア「テレスール」は同日ダマスカスでシリアのバシャール・アル-アサド大統領とインタビューした。アサド大統領は、「現在のベネスエラの状況は、シリア内戦初期とそっくりだ。政府打倒を狙って<平和行動>を展開し、そこに殺傷暴力を絡ませ、その責任を政府に転嫁する手法が使われている」と指摘した。その上で、「ベネスエラ市民は真相を認識せねばならない。反政府と反祖国は全く別ものだ」と強調した。
クーバ外務省は声明を発表、「ベネスエラとマドゥーロ大統領のOEA(米州諸国機構)脱退という勇気ある決定を断固支持する」と表明した。クーバは1962年1月、ケネディ米政権の主唱でOEAを追放されて以来、復帰していない。
声明はまた、「OEAは、西半球を支配する帝国主義の道具という伝統的役割を演じ、<我らのアメリカ>(ラ米・カリブ)の主権・独立・尊厳を傷つけている」と指摘。「今はベネスエラ政権打倒を目指しており、さらなる糾弾に値する」と糾弾した。
政府の物資供給組織CLAPのフレディ・ベルナル代表は、「右翼勢力は権力奪取のためには国全体を炎上させるのも辞さないようだ」と非難した。ベルナルはまた、大統領命令により、全国3万CLAPに「コムニカドール(通報者)」を起き、その全国網をラレク・エルアイサミ執権副大統領の指揮下に置く、と明らかにした。
ベルナルによると、★各CLAPには「民兵防衛隊」(UDM)を置き、それぞれの地域の防衛に当たる。これは、反政府勢力による政治活動と破壊活動が激化し、「内戦」状況に陥った場合に備えた対策と考えられる。
デルシー・ロドリゲス外相は、OEAで反ベネスエラの根回し役として目立ったメヒコとアルヘンティーナを批判。「メヒコはトランプのTLCAN(NAFTA)脱退取りやめと引き換えに、米国から金をもらってベネスエラ包囲網づくりに努めたのか」と指弾した。
一方、D・トランプ米大統領は27日、大統領政庁(ホワイトハウス)でマウリシオ・マクリ亜国大統領と会談。その冒頭で、「ベネスエラは混乱している、ひどい状態だ。ベネスエラ情勢はとても悲しい。何が起きるか、見守ろう」と述べた。
マクリは会談の後、「ベネスエラに民主政権を復活させねばならない」と、新たな内政干渉発言をして憚らなかった。マクリはまた、2週間内に中日両国を訪問し、6月にはアンゲラ・メルケル独首相を亜国に迎える、と明らかにした。
米共和党右翼で反カストロ派クーバ系のマルコ・ルビオ上院議員は、米タイム週刊誌上で、「マクリはベネスエラ問題で米国の強力な仲間になりうる。マクリ政権は他の諸国と共にマドゥーロ政権糾弾で米政府と協働した」と述べた。ルビオは、ラ米政策でトランプの<指南役>を務めている。
▼ラ米短信 ◎パラグアイとロシアが防衛協定調印
パラグアイとロシアは4月28日モスクワで、防衛協力協定に調印した。詳細は不明。