★☆★☆★国際司法裁判所は11月19日、ニカラグアとコロンビアのカリブ海領海・経済水域画定に関する裁定を下し、ニカラグアが国土の約35%に匹敵する広大な海域を経済水域として認められた。同裁判所は2001年からこの問題で審理していた。
★問題の海域は、ニカラグア東方沖に北から南に並ぶサナンデレス諸島など3諸島に属する7つの群島と周辺の海。両国間で1928年に条約が結ばれ、島々の領有権と海域のほとんどはコロンビアに属すると定められた。だがニカラグアは、米軍占領下で結ばれた条約であり無効だ、と主張していた。
★これまでは西経82度が海の国境線とされていた。今回の裁定で、東に大きくずれて西経79度近くが海の国境線となった。
★ニカラグアは、大陸棚の延長上の海域は自国の経済水域だと主張し、訴えていた。ダニル・オルテガ大統領は、首都マナグアの革命広場に支持者を大動員して祝賀行事を催し、「国家の勝利だ」と宣言した。アルノルド・アレマン、エンリケ・ボラーニョスの両元大統領と歴代外相経験者も出席した。
★一方、コロンビアは島々の領有権は確認されたが、諸島の北、西、南の海域をそっくり失った。フアンマヌエル・サントス大統領は、沈痛な面持ちで「裁定は間違いだ」と述べただけだった。
★コロンビアは、旧領海・経済水域を前提として、米国と自由貿易協定を結んでいるが、修正を迫られることになった。
★一方ニカラグアは、漁業資源をはじめ生物多様性、海底資源が自国のものになった、と手放しで喜んでいる。島の領有権よりも海という、実をとったのだ。
★同裁判所は、チリとペルーの領海線確定問題で審理しており、近く裁定が出る。両国は、今回のニカラグアとコロンビアの問題に関する裁定に強い関心を示している。